116話:憎悪
ガゴンッ……
オメガちゃんが、城の扉を開けた。
「っ……!」
扉を開けた瞬間、あたりに血生臭い匂いが漂った。
この匂いだけでわかる。
おそらく、城の中は……
ただ、玄関には誰も居なかった。
私たちは、とりあえず吹き抜けのホールまで進んだ。
「っ……!ひどい……」
ホールには、無数の怪我人が横たわっていた。
その中には死人もいた。
私はそばにあった死体を見た。
死体は腕の一部がなくなっていた。
「土の五獣……。なんで……?」
オメガちゃんがボソッと言った。
その時……
「とおりゃああああああ!!!」
私に向かって、上から何かが飛び降りてきた。
ガギンッ……
私は剣で、それを受け止めた。
「っ……!!!!!!」
「お前たち!どっから侵入してきた!」
それは、鉄パイプを持ったアルカちゃんだった。
「ちょちょちょ!!!アルカちゃん、落ち着いて!!!」
「っ……!なんで私の名前を……?」
「それは……」
私は、アルカちゃんに、全てを話した。
998回歩んだ人生のこと。
そして、ルイアさんに、ここの案内されたこと。
「お姉ちゃんに、案内されたのはわかったけど……。998回の人生は信じられるかよ!」
「まあ、そうだよね……」
そりゃそうだ。
誰だって、998回同じ人生をループしたなんて言われても、信じるわけがない。
「それで、お前たち何しにきた!」
「私たちは、土の五獣を倒しにきたの」
アリアさんが言った。
「あいつを倒す?それは私がやることだ!お前たちにやらせるか!!!」
「1人で倒せるわけないじゃない!!!」
「あいつは……!あいつは!私の友達も、王国も殺したんだぞ!しかも……女王まで死んじまった!」
「ちょっと待って!アリス女王死んじゃったの……?」
私は言った。
「死んだよ……。1人で五獣に挑んでね……」
アルカちゃんは、ぼそぼそと話し始めた。
「最初、砂漠の方からドガンと大きな音が聞こえたんだ。その音の調査をしに王国騎士団が砂漠に向かった……。だけど、帰ってこなかった……」
アルカちゃんが一つ息をついた。
「音が聞こえた次の日、王国にツノが生えた犬みたいな動物が現れたんだ。その動物は、建物を次々と壊し、そして人を殺し回った。残ってた王国騎士団が倒そうとしたけど、無理だったんだ」
オメガちゃんの目から涙が落ちる。
「女王は、私たち生存者を地下に避難させた後、1人で立ち向かったんだ。その時は、みんな女王なら勝てるだろうと思っていた。だけど……外が静かになったから様子を見に行ったら、女王は……死んでいた!しかも、体がズタボロだった!!!あいつが食ったんだ!!!五獣が!!!」
オメガちゃんが叫ぶように言った。
「なるほど……。それは辛かったね……。だけど、何でそれが土の五獣だってわかったの?」
オメガちゃんが聞いた。
「お姉ちゃんが、昔、お母さんに言われたことを思い出したんだ。〈この世界には神様がいる。五獣っていう神様が。この神様のおかげで、みんなが幸せに暮らせてるんだよ〉って言われたことを……」
「でも、だからって、あれが五獣なんてパッと見でわからないはず……」
「ううん。私、なんか直感でわかったんだ。ああ……あれが五獣なんだって……」
アルカちゃんが言った。
「直感でわかった……?あ!そっか!始祖の魔法だ!!!」
「え……?」
「始祖の魔法の持ち主は、魔力と強く結びついてる。だから、始祖の魔法を持っている人は大きな魔力を持っている存在のことに気づきやすいんだ!!!」
オメガちゃんが納得したように言った。
オメガちゃんが言った瞬間……
バン!!!!!!
城のドアが急に開いた。
私たちは急いで、城の玄関に向かった。
そこには、ボロボロになったルイアさんが居た。




