110話:五獣の力
「はぁ……はぁ……!」
オメガちゃんが、アリアさんのそばで膝をついた。
「オメガちゃん!!!」
「私は……大丈夫……。それと……多分、アリアちゃんも大丈夫なはず……」
オメガちゃんは、息を切らしながら言った。
「アリアさん……治ったかな……?」
「わからない……。だけど、一旦気絶させることはできた……。洗脳は大抵、気絶させると治るからね」
「そうなんだ……。でも、よくさっきの攻撃で、アリアさん死ななかったね……」
「ああ……。あれは私が攻撃を当てる直前で、手加減したからだよ」
「え……!?」
てっきり、あのとてつもない勢いのまま、攻撃したかと思ってた……
しっかり手加減してたんだ……
「でも、ヒヤヒヤしたなあ〜……。あまり手加減し過ぎても、気絶させられないし……。かと言って、力が入りすぎると殺しちゃうし……」
「よくそんな絶妙な力加減で攻撃できたね……」
「まあ、私、手加減だけは慣れてるから!」
オメガちゃんが少し笑いながら言った。
「そういえば……。オメガちゃん、何で最初から、全力でアリアさんと戦わなかったの?」
私はこのことが引っ掛かっていた。
最初から、五獣の力を使えば、アリアさんをあまり傷つけずに済んだはず……
「それはね……。五獣の力を最大に使うには、一度死にかけないと使えないんだ」
「え……?」
「いつも私が使ってる変形する武器あるでしょ?あれが、光の五獣の力……収束する光〈メビウス〉。普段、この力は最大50%しか使えないの」
オメガちゃんは、地面に落ちていた槍を触りながら続けて言った。
「だけど、自分自身が死にかけると、五獣の力は自己防衛に入る。自己防衛時のみ、五獣の力の全力を使うことができるんだ」
「なるほど……」
「まあ、五獣の力だって、そんなに万能じゃないってこと。しかも、一回全力を使うと、しばらく使えないしね」
「え……!?じゃあ次、全力が使えるのは……」
「うーん……早くて3ヶ月後かな?」
そんな……
じゃあ、この3ヶ月の間に、ピンチな状況になっても……
誰も対抗できない……?
それはまずい……!
どうにかして、早く私の魔力を上げないと……!
じゃないと、ピンチな時にみんなを助けれない……!
私が、自身を奮い立たせていたら……
「あ……。梨花ちゃん、服ボロボロ……」
オメガちゃんは、私の全身を見て言った。
「そういえば……。私、ずっと学校の制服で戦ってた……」
「ちょっとまって!今、着替えがある場所探してみる!」
オメガちゃんは、そう言い、目を瞑った。
すぅ〜……
はぁ〜……
オメガちゃんの息の音が響く……
「うん……!見つかった……!訓練場の近くの更衣室にあるよ!」
オメガちゃんは、目を開けて言った。
「わかった!行ってくる……!」
あ……
でも、私が更衣室で着替えている間に、アリアさんに何かあったら……
「大丈夫!アリアちゃんのことは私に任せて!」
オメガちゃんが、私の考えていたことを察したかのように言った。
「ありがとう……!」
私は足早に更衣室に向かった。




