10話:騎士団長と副騎士団長と猫と
私は騎士団長室の扉をノックした
コンコンッ
「はい。どうぞ〜」
「アリアs…!」
アリアさんは私の顔を見た瞬間に抱きついてきた。
「よかった、梨花ちゃん…私、梨花ちゃんが死んじゃったら…私…」
「アリアさん…」
「梨花ちゃん…もっとぎゅーってして…」
「もちろん…」
「梨花ちゃん…好き…」
「私もです…」
アリアさんは私の胸の中で泣いた。
「アリアさん…その、手に持ってるものは?」
「あ、これ…梨花ちゃんにあげようと思って」
「私に?」
「これ、サラマンダーの素材で作ったチョーカー。つけてみて」
私はアリアさんから貰ったチョーカーをつけた
これは…!
「アリアさん、これ、すごく力がみなぎってきます!」
「そうなの!サラマンダーの素材はね、すごい力を秘めていて、適切に加工すれば力がみなぎってくる装備を作ることができるの」
「これ、アリアさんが作ったんですか?」
「そうだよ。梨花ちゃんへの、入団祝い!」
「ありがとうございます!」
「そうそう、入団試験で何があったか教えてくれる?私、にゃも助くんからざっくりしか聞いてないからさ」
私はアリアさんに入団試験であったことを話した。
サラマンダーに襲われたこと。剣が勝手に修復したこと。それと、自分だけの技を作れたこと…
「なるほど…梨花ちゃん、すごい成長だね!剣術の才能はやっぱり私以上かも…」
「それで、ファイさんとイヴちゃんで話してて出た話題が、私が無属性魔法を使えるんじゃないのかって…それで、適正魔法検査を受けたいんですけど…」
「適正魔法検査?いいわよ。今からやりましょうか!」
「今からって…」
「梨花ちゃん、私の手を触って。」
「こうですか?」
「そう。じゃ、始めるね」
その瞬間、アリアさんの手と、私の手の感覚が共有されたような感じになった。
「はい!これで終わり!」
「今のでわかったんですか!?」
「うん。大体はね」
「それで…結果は?」
「結論から言うと、多分、無属性だよ」
「多分って…?」
「うーんっとね。なんて言ったらいいんだろう…薄いって感じかな?」
「薄い?」
「うん。それっぽい感覚はあるんだけど、薄くて、あんまり感知できないって感じ。でも、これから魔力を高めることができれば、もっと、しっかりした感覚になるかも」
「なるほど……」
その時、ドアをノックする音が聞こえた。
「アリア、入るぞ」
あ、茜音さんだ。
「どうぞ、女王様」
茜音さんが部屋に入って来た。
「梨花さん、無事だったか!よかった…」
「あk…んん、女王様、お久しぶりです」
「梨花さん、入団おめでとう。しかも、もう自分だけの技を身につけたらしいな!流石だよ」
「ありがとうございます!」
「今日は、サラマンダー討伐祝いと、入団祝いも兼ねて宴を用意した。楽しんでくれ」
「本当ですか!?楽しみだな〜!」
「それと、アリア…」
「はい!女王様!」
「アリアも、梨花さんの少数精鋭部隊に入ってほしい。」
「え…?私もですか?私、騎士団長の仕事もあるのに、入ってよろしいのですか?」
「ああ、むしろ入ってくれ。梨花さん、にゃも助くん、イヴ、アリアは剣術・魔法の才能が最もある。だから、これからの魔物との戦いは、この4人を主に前線に置くつもりだ」
「わかりました!」
え!マジで?
アリアさんも入ってくれるの!
すごく嬉しい!
だって、私の推しのイブちゃんと、アリアさんに挟まれながら冒険が出来るなんて!
「それと、少数精鋭部隊用の家を、城の敷地内に設けた。魔法、剣術の研究や普段の生活を送れるようにしてあるので、ぜひ使ってくれ」
「つまり、シェアハウスみたいな感じですか?」
「まあ、そういうことだ」
マジで!?
推したちと一緒に生活できるの!?
「今日から使わせてもらいます!!アリアさんも今日からどうですか?」
「じゃあ、私も今日から使わせてもらいます!」
「イヴと、にゃも助くんには、このことはもう伝えてある。2人とも今日から住む予定だそうだ」
「じゃあ、梨花ちゃん。一緒に荷物をまとめて、そこに行きましょうか!」
「はい!」
そうして始まった。
イヴちゃんとアリアさん、にゃも助との共同生活と冒険が!




