105話:羽
もう一度歩き始めてから、約3時間が経った。
私たちはようやく森を抜け、平地の一本道を歩いていた。
「もうそろそろかな」
オメガちゃんが、少し疲れている声で言った。
「ねえ、アリアさんってどこにいるの……?街の中?」
「うーん……街というよりかは国かな?ただ、ちょーと訳ありでね……」
「訳あり?」
「まあ着いたらわかるよ」
そういい、またしばらく歩き始めた。
1時間くらい歩いただろうか。
オメガちゃんが急に立ち止まった。
「よし!梨花ちゃん、私に捕まって」
「え?」
「アリアちゃんがいる国は、地形的に空からしか入れないの。だから、今から空を飛ぶよ!」
そういえば……
オメガちゃんには羽が生えていた。
だけど、オメガちゃんは私よりも一回り小さいから……
私を抱えた状態で空を飛べるのかな……?
そんなことを考えていたら……
「大丈夫大丈夫!私、結構力持ちだから!」
どうやら、オメガちゃんには私の考えていたことがお見通しだったらしい。
オメガちゃんは私のそばに行き……
「よいしょっと!」
私を片手でひょいっと持ち上げ、肩に担いだ。
「ふぇ……!?」
私は、あまりにも驚いて変な声が出た。
「だから言ったでしょ!力持ちだって!」
ビュン!
オメガちゃんは笑いながら、勢いよく空へはばたいた。
私は頭の整理がついていなかった。
私よりも小柄な子が、私を軽々と持ち上げたこと。
しかも、飛行機にすら乗ったことがないのに、生身で空を飛んでいること。
すべてが驚くことばかりだった。
私はちらっと下を見た。
地面がかすんで見えた。
「ひぇ……」
私はこの時、恐怖を覚えた。
そして、同時に高所恐怖症であることを知った。
私は、恐怖感を和らげるため目をつむった。
その時、ふと頭の中にこんな疑問が浮かんだ。
そういえば……
オメガちゃんって何歳なんだろう……?
1000年前の魔力紛争で、男の人と一緒に戦ったって言ってたから……
え……
1000歳以上……?
「あの……オメガちゃん?オメガちゃんって何歳?」
私は、おそるおそる聞いた。
「うーん……。あんまり覚えてないけど、多分3000歳かな?」
私は一瞬思考が止まった。
こんな小さくて可愛らしい女の子が……
3000歳……?
「あ、でも私、監視官の中でも若いほうだよ」
オメガちゃんが付け足すように言った。
私はさらに困惑した。
じゃあ、アルファさんとか、あのグリフォンは何歳なの……?
下手したら5000歳くらいいってるんじゃ……
しばらく困惑していたら、急にオメガちゃんが飛ぶのをやめた。
「梨花ちゃん、目を開けて」
オメガちゃんが私にこう告げた。
私は恐る恐る目を開けると……
目の前の地面には、大きな穴が口を広げていた。
「なに……これ……?」
「ここが目的地だよ……」
オメガちゃんが少し暗い声で言った。
「梨花ちゃん、ちょっと耐えててね」
「へ……?」
ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!!
オメガちゃんは急にものすごい勢いで、穴に向かって滑空した。
「うあああああああああああああ!!!!!!」
すごい風圧が襲ってくる。
私は一瞬、意識を失いかけた。
ビュゥゥゥゥゥン……
フゥ……
急に滑空が止まった。
「梨花ちゃん!大丈夫?」
「なんとか……」
「よかった……。もう目を開けて大丈夫だよ」
私は言われるがままに目を開けた。
その瞬間……
私は驚きを隠せなかった。
目の前には、見慣れた風景が広がっていたからだ。
「これって……。ウェンター王国……!?」




