101話:五獣
「光は……私」
少女は俯きながら、そう言った。
「どういうこと……?じゃあ、あなたは神様なの?」
「神に近しいってだけかな。ただ、私はあくまで仮の五獣なんだけどね」
「仮……?」
「うん。前の光の五獣を殺して、力を奪い取ったの……」
女の子は少し低い声で言った。
「光の五獣を殺した……?なんで……?」
「それは、〈魔力紛争〉のせいなの……」
「魔力紛争……?」
「うん」
女の子は暗い顔で、話を続けた。
「1000年前に起きた、五獣と人間の戦争のことだよ」
「なんで、五獣と人間が戦争をしたの?」
「それは、魔法の母アリーネ・リンポスが、民衆に魔法を広めたからなの」
続けて、女の子は魔力紛争の話をした。
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本来、魔力を使うことができるのは五獣だけだった。だけど……アリーネは、人間でも魔力を使う方法を見つけてしまった。
見つけただけならよかったんだけど……
それを民衆に広めたことが、五獣の逆鱗に触れたんだ。
怒りに満ちた五獣は、人間に攻撃を仕掛けた。
人間たちは、圧倒的な力を誇る五獣の前には、手も足も出なかった。
だけど、1人の男と、その仲間……。そして、アリーネは、それでも五獣に立ち向かったの。
そして、彼ら……ううん、私たちは……
男の命の犠牲、それと寝返った炎の五獣〈エリファリア〉のおかげで、五獣の一体……光の五獣を殞落させることができた。
光の五獣の殞落、炎の五獣の裏切りが重なり、残りの五獣は狼狽えて撤退した。
こうして人間は魔力紛争に勝利して、魔法を手に入れることができたの。
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「ちょっと待って!エリファリアって五獣なの!?」
「うん。彼女はフェネクスを殞落させて、その力を半分とはいえ、奪い取ったからね」
「でも!メメントモリだって、フェネクスの力を持ってたはず!」
「五獣になれる者は、五獣を殞落させた者だけ。だから、メメントモリは五獣になれなかったんだ」
「じゃあ、なんで魔力の存在の彼女が、五獣になれたの?」
「ああ……。それは……」
女の子は先ほどよりも暗い顔になった。
「わかんない……」
「そう……」
確かに、エリファリアの強さは、天使の中でも群を抜いていた。
それは、彼女が天使でもあり、炎の魔力を司る神でもあったからだったんだ。
だけど、なんで魔力だけの存在が五獣になれたんだろう?
しかも、オメガちゃんは、それを話したくなさそうな感じだし……
「とりあえず!暗い話はここでおしまい!」
女の子は少し無理に笑いながら言った。
「梨花ちゃん、これから先どうするの?」
「うーん……とりあえず、にゃも助とイヴちゃん、アリアさんを探さなきゃ」
「オッケー!じゃあ、ちょっと待ってて!今から探すから!」
「探すって……どうやって?」
私が聞く前に、少女は目を瞑っていた。
スゥゥゥゥ……
ハァァァ……
女の子の静かな息の音だけが聞こえる。
その瞬間、少女は目を開いた。
「うん!見つかった!距離的には、アリアちゃんが1番近いかな」
「え……あ!」
そっか!
忘れてた!
この子は監視官を統べる監視長!
だから、監視官と同じように、世界全体の様子を見ることができるんだ!
「じゃあ、梨花ちゃん!行こっか!アリアちゃんのところに!」
「でも、どうやって行くの?」
「え?徒歩だよ」
「徒歩!?何分くらいかかるの……?」
「うーん……ざっと半日以上かな!」
少女はわざとらしく笑って言った。
「さ!行くよ!」
少女は龍の死体の中から、槍のようなものを引き抜き、急足で前へ進んだ。
私は、急いでその背中を追いかけた。




