100話:監視長
「あなたは……」
私は、目の前の女の子のことを、朧げながら覚えている気がした。
ただ、思い出そうとしても、なぜか思い出せなかった。
「私は監視長のオメガ!梨花ちゃん!今回のCもよろしくね!」
「よ……よろしく……」
この子……
謎すぎる……
「……?あ!そうだよね!急に私の名前を言われても、何もわからないよね!」
女の子は、少し申し訳なさそうな顔で言った。
「じゃあ、一つ聞いてもいい……?監視長って……?」
「監視長って言うのは、監視官をまとめる役職のことを言うの」
「じゃあ、アルファさんとか、あのグリフォンの上司ってこと?」
「そういうこと!だから、この世界のことと、現実世界のことは、ほぼ全てわかるよ!」
「じゃあ!なんで、今まで黙って見てるだけだったの!!!あなたがいれば、世界がこんなことになる前に対処できたはず!!!」
私は大きい声で言った。
わかっている
この子に八つ当たりをしたって、どうにもならないことは……
だけど……
私は自分の気持ちを抑えられなかった。
「ごめんね……。私も助けたかったんだけど……できなかったんだ」
「え……?」
「梨花ちゃんは覚えてないかもしれないけど……C-1で私たちは、女王を倒す一歩手前までは追い詰められたの。だけど、それは失敗に終わった……」
女の子は少し俯きながら、話を続けた。
「梨花ちゃんが女王に殺された後、私は時空の狭間に閉じ込められた。そして、世界から存在ごと消された……。だから、何回も繰り返されてる世界を、黙って見ることしか出来なかったの」
「じゃあ、なんで今ここにいるの?」
女の子はふうと一息ついて、こう言った。
「それはわかんない」
「は……?」
「気がついたら、森の中にいたの。それで、目を閉じて世界の現状を感じ取ったら……今までとは理の流れが違うことに気がついたの」
女の子は不思議そうな顔をして、また話し出した。
「で、なんでかな〜って考えてたら……梨花ちゃんがピンチなのを感じ取って、急いでここに来たってわけ!」
情報が多すぎて、理解がしづらい……
てか、この子も「理」って……
前に、白髪の女の人も言ってた……
とりあえず、1番わからない「理」のことを聞かなきゃ……
「理の流れって……?」
「理の流れっていうのは、この世界の設定みたいなものだよ。でも、今回はいつもと違う。今までいたはずの、フェブラスがいなくなってるし、五獣の活動が活発になってるし……」
「ちょ、ちょっと待って!五獣とかCってなに?女王も言ってたけど……」
私は戸惑った。
初めて聞く用語が多すぎたからだ。
女の子は少し真剣な顔で答え出した。
「五獣って言うのは、属性を司ってる神みたいなもの。火はフェネクス、土は麒麟、水は白虎で闇はケルベロス。そして、光は……」
その瞬間、女の子の顔が暗くなった。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「光は……私」




