98話:女王
「きゃ!」
「うわ!」
私は、廊下を通っていた人を押し除けて王室まで走った。
「いたぞ!!!侵入者だ!!!」
ちっ……!
もう見つかったか……!
「やばいニャ!追っ手が近づいてきてるニャ!」
「大丈夫……!あとちょっとで……」
見えた……!
王室の扉!
私は目の前の王室の扉を押した。
ガゴンッ……
重々しい音で扉が開くと同時に、王室に飛び込んだ。
「はぁ……はぁ!!!」
私は王室の床に手をついて、荒い息を整えた。
「ほう……C-999とにゃも助……。お前たち、記憶があるのだな……」
目の前から、冷たく、そして重い声が聞こえた。
「女王……!!!!!!」
「まあ、ここまで来れた褒美だ……。この世界の真実について、もう少し語ってやろう……」
パチンッ……!
女王が指を鳴らした瞬間……
ブゥゥゥゥゥゥゥン……
王室全体の時間が止まった。
にゃも助と、追っ手の兵士の動きも同時に止まった。
「この魔法……見覚えがあるだろう?メリーナの闇属性魔法だ」
「それで……私を殺すつもり?」
「いや、まだ殺しはしない。ただ……いずれは死んでもらう」
「ふざけんな!!!!!!」
私は大声で叫び、剣を構えた。
「今のお前に何ができる?」
「やってみなきゃわからない!!!」
「無理だな」
ギンッ……
突然私の体が硬直した。
「私の前では、お前は無力だ」
なに……
この感覚……
体験したことのない、恐怖と絶望……
「お前は大人しく、私の話を聞くといい」
女王はゆっくりと口を開いた。
「私は世界を滅ぼすために、この世界を作った。だから、私の存在はこの世界で絶対のものだ」
女王は、険悪な顔で話を続けた。
「だが……C-999が記憶を持って生まれてくるのは予想外だった。なぜお前に記憶があるのかは、私にもわからない……。これでは計画は頓挫してしまう……」
女王は恨めしそうに言った。
「だが……」
女王はニヤリと笑った。
「この状況を打破する方法を思いついた……」
パチンッ……
女王はまた指を鳴らした。
「それは!!!そもそもの設定を変えることだ!!!」
「設定を変える……?」
私はようやく口を開けた。
「ああ……。今、フェブラスの存在自体を消した」
「は……?」
女王はニヤリと笑いながら言った。
「フェブラスの正式名称は、Fight of Virtual Existence&Ruin Sequence……。つまり、お前を強化し、世界を滅ぼすためのプログラムだ」
「…………」
「だが、こいつらにお前の強化をさせるのはやめた。お前は自分の力で、もっと高みを目指すべきだ……」
「……。それはなんで……?」
「今までよりも努力し、高みに行ったお前を、この手で殺したいからだよ!」
女王は高笑いをしながら言った。
「なんで!私がお前なんかの言うことを聞かなきゃいけないの!!!!!!」
私は剣を構えて、女王に突撃した。
「無駄だ」
ドゴッ……!
女王に腹を思いっきり殴られた。
「ガハッ……!」
「今のお前には何もできない。だから、半年だけ時間をやる。もっと強くなってから私を殺しにこい!!!」
女王は見下しながら言った。
「今……殺してやる……」
薄れゆく意識の中、私は霞んだ声で言った。
「ふっ……。次は、この程度のパンチでくたばるなよ……」
ブゥゥゥゥゥゥゥン……
女王の手の中に、小さな時空の歪みができた。
「半年後、お前を殺してやる!!!だから、アリアとイヴと一緒に強くなってこい!!!!!!」
ブゥゥゥゥゥゥゥン……!
女王の時空がどんどん歪んでゆく。
「相反する特異点!!!!!!」
ブゥゥゥゥゥゥゥン……!
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!
その瞬間、私は時空の歪みに飲み込まれた……。




