街の中で凍える、小さな世界の異次元な寒さ
「プレムフレストという街が凍らされたらしい」
何もかも情報が錯綜しすぎて何が本当の情報なのかは分からないらしい。
生存者がゼロ、それ故に街の中の情報は全くない。皆が憶測で話していることで、噂で溢れかえってしまっている。
街に近づき直接確認しようとしたものもいたが、そんな人は誰も帰ってこなかった。近づけば自身も氷漬けになるそれだけのことだった。
「寒いね」
そんな中でも生きている人がいた。
ほんの小さな漏れるような一言から、白さを超えるような空気が口が空へと消えていった。
身体は寒さで凍えていたが、薄着をしていた彼女らはここからは離れようとはしなかった。
「……そうだな」
ベンチに小さく座り込む彼女。その隣で俺は腕をかけ包み込む。
「!…暖かい……」
「もうここには俺たちしかいないな、見てみろよ周りは地獄絵図だぞ」
俺は必死に笑顔を取り戻そうとしていた。しかし今は悴むような少しの笑顔しか出せず、満点の笑顔を彼女は見えなかった。
「そうだね」
しかし、俺の願いは叶わず、俺たちの間には沈黙が流れ込んだ。
「……私はもうどうしようもないよ、この力も」
「でも!!」
俺は最後の力を絞り抜いて彼女の方を見る。
「だって、うぅもうぁゔ、ぼう、耐えられないでしょ。体が凍りついてきてる、足も、……もう動かないでしょ」
「それでも俺……」
「目を覚ましたら、ちゃんと新しい人探して、幸せになってよ」
その言葉を最後に意識が朦朧してきた。俺の目には彼女が立ち上がり、笑顔で去っていた姿が残っていた。先ほどまでの笑顔とは違う全てが吹っ切れたような微笑みで、目は潤い、頬をつたうように涙がこぼれ落ちた。
……待てよ、待てよ。
……声をあげようとしても、唇が震えてている。
ああ、もう腕も動かねぇよ。
彼女から落ちた涙は彼女の身から離れ落ちた瞬間に、氷の滴へと変わっていた。
それから、意識が戻り、もう一度二人が出会うのは、凍土が溶け、彷徨う旅の先であった。
しかし、ここから世界は混乱を生み、後の二人の足掛かりへとなることをまだ誰も知らない。




