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チャイムの音で目が覚めた。ベッドサイドに置かれたアナログ時計に目を遣ると、時刻はもうじき午後六時だった。閉めたカーテンの隙間はほんのり暗い。
レイナは隣でぐうぐう眠っていた。チャイムの音で起きないなんてと笑えてきたが、別に彼女は番犬ではないのだから仕方ない。
ボクサーパンツとジーンズを手早く履いて、レイナを起こさないよう、静かに階下へと下りる。
たぶん、中年夫婦が夕食のバーベキューセットを持ってきてくれたのだ。確か夕食は午後六時からだと言っていた。午後七時には日が落ちきって、真っ暗になってしまうから。
暗くなったら火を消して、星を見よう。ここなら天の川も見えるかもしれない。
織姫と彦星を探してみるのもいい。
それにしても腹が減った。
今夜は奮発して、一番高いセットを予約したんだ。肉が好きなレイナもきっと喜ぶ。
俺は心底浮かれながら、いそいそと玄関ドアを開けた。
「南野啓太だな。未成年者誘拐の容疑で逮捕する」
了
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
以下、あらすじ欄に書いている内容の答え合わせです。
【答え合わせ】
・この物語は終始気持ち悪いですが、ラスト一文を読むとさらに気持ち悪くなります。
→南野啓太が高架下で拾ったのは最初から犬ではなく少女でした。南野の小学生時代の手記は、ミスリードの意味と、現在の南野を作った原体験はこれですという意味で挟んでいます。
犬に興奮する男も気持ち悪いですが、少女に興奮する男はもっと気持ち悪いですね。いずれも現実世界では絶対にあってはならないことです。




