1/1
メシマズ世界大戦とおいしい平和の詩
いただきます
焦げついた希望が空を覆い
冷えたスープが銃の代わりに注がれる
世界は味覚を失い
戦場に散るのは、悲鳴をあげる野菜たち
パンは石に、米は灰に、
涙を吸った塩が国境を越えて
不味の帝国はタルタルの壁を築く
—口にすれば、言葉さえ苦くなる—
だが一人のスパイスが立ち上がる
忘れられたレシピ帳を胸に
優しき火加減と愛の手つきで
鍋に調和を呼び戻す
エプロンは旗となり
フライパンは盾に、箸は希望に変わる
唾をのむような調和の旋律が
食卓に、そして世界に流れ込む
そうして生まれた「おいしい平和」
それはただの味ではなく
分かち合い、癒し、祝福のかたち
—戦火を越え、心に満ちる味わい—
誰もが笑って口にする
「これは…ほんとうに、うまいね」
その一言が、世界を救ったのだった。
ご馳走様