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終焉のゴミ山、最後の錬成

 カイが最後の力を放つため、周囲の空間が一瞬で静まり返った。アルはその瞬間に全ての動きを止め、気を引き締める。あたりの空気は重く、何かを予感させる。


 「これは、ただの雷撃ではない……!」


 アルは心の中で警告を鳴らし、急いでリリスに指示を出す。しかし、カイの目の前で立ちすくんでいるだけでは間に合わない。彼はすぐに《再構成》を発動し、周囲の素材を急いで集めて武器を作り出す。だが、その間にもカイの力は膨れ上がり、時間が足りないのを感じる。


 「アル、気をつけて!」


 リリスが叫びながら、彼の背後に飛び込んで防御の魔法を展開する。しかし、魔法のバリアは瞬時に砕け、カイが放つ新たな攻撃に立ち向かう術がないことを知る。


 「――最後の一撃だ」


 カイがゆっくりと呟いた言葉が、アルの耳に届く。次の瞬間、カイは手を天に向け、全身を雷に包みながら、巨大な雷撃を放つ準備を始める。その攻撃は、ただの雷撃ではない。空間そのものを切り裂き、時間をも歪ませる力を持つ、まさに「崩滅雷撃」の真髄だった。


 「そんな……!」


 アルは立ち尽くしながらも、必死に周囲を見渡し、何か使える素材を探し始める。だが、時間はない。カイの力が圧倒的すぎて、普通に考えれば勝つことなど到底無理だ。


 「ゴミだろうと、俺の素材だ」


 アルは呟き、すぐに周囲の廃材から最強の武器を作り出す。だがその武器には、特別な「力」が込められていた。それは、リリスが復元した精霊魔法の力を完全に封じ込めた、未知の兵器だった。


 「リリス、これで……!」


 「うん、信じてるよ、アル」


 リリスの言葉に力を得たアルは、その武器を構え、全身全霊でカイの放つ崩滅雷撃に立ち向かう。雷撃が迫る中、アルはその一瞬の隙を見逃さず、最強の錬金を解放した。


 「《再構成・完全防御型》!」


 瞬間、アルが構えた武器から広がる光の壁が、雷撃を吸い込み、反射する。その力が、崩滅雷撃を打ち消し、空間が歪むことすら許さない。光の壁が、雷撃を逆流させ、カイの力を自分に返すかのように働く。


 「何だ……!?」


 カイは驚愕の表情を浮かべながらも、力を強化しようとするが、すでにアルの錬金術が上回っていた。アルは一歩、また一歩と前進し、最後の一撃を放つ。


 「これが、俺の本当の力だ!」


 その瞬間、アルの作り上げた兵器から放たれる破壊的な光の衝撃が、カイを直撃した。その衝撃でカイは膝をつき、手にしていた雷撃の力が徐々に消え去っていく。


 「……お前が、こんなことを……」


 カイは呻きながらも、ふとアルを見上げた。その目には、悔しさと認めたくない現実が浮かんでいた。アルは無言で彼に近づき、冷静に言った。


 「カイ、もう終わりだ。異世界を支配するなんて無理だよ。お前が目指していたものは、結局他人の力を借りて無理に築いた『虚構』だ」


 カイはその言葉をどうしても受け入れられなかった。しかし、すべての力を使い果たし、倒れたカイを見て、アルは悲しげな表情を浮かべる。


 「……これで終わりじゃない」


 アルはそう呟くと、リリスに視線を送った。リリスは微笑みながらうなずき、力を尽くして彼を支える。


 「ありがとう、アル……」


 その瞬間、異世界全体にひび割れが走り、世界の崩壊が始まる。アルは決意を新たにする。


 「終わりではない。新しい世界を作るために、最後の錬成をしなければ」


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