錬金術師 vs 世界神カイ
異世界を支配しようとするカイが現れ、アルはかつての親友との再会を果たすことになる。その再会は、決して喜ばしいものではなかった。
アルが一歩踏み出すと、目の前に立つのは、地球の異能者部隊を率いるカイ=ヴェルハルトだった。かつて、アルとカイは親友だった。しかし今、彼の目は鋭く冷徹で、アルに対して何の感情も持っていないように見える。
「アル……ついにお前と対峙する時が来たようだな」
カイの声には冷たさが滲んでいる。その瞳は、アルを見下ろすように冷徹に輝いていた。
「カイ……どうしてこんなことを?俺たちは、仲間だったじゃないか」
アルは問いかけるが、カイの顔には答えの代わりに、鋭い笑みが浮かんでいる。
「仲間だと? そんなもの、最初から無かったさ。お前の異能は弱い。それに、今の僕の力にお前は必要ない」
カイは冷徹に言い放つと、空中で手を一振りした。その瞬間、彼の周囲に魔力が集まり、青白い雷撃が周囲を包み込む。カイの異能、《崩滅雷撃(デストル=ボルト)》が発動したのだ。
アルは一瞬後退し、リリスがすかさず彼の前に立ち、精霊魔法で防御のバリアを張る。しかし、そのバリアもカイの雷撃には耐えきれず、弾け飛んでしまう。
「リリス、下がってろ! 俺がやる!」
アルの声が響くと、リリスは少し躊躇いながらも、すぐに後退した。その間にも、カイの雷撃は再び放たれ、アルの周囲を襲う。アルはゴーグルのレンズを反射させ、雷撃の軌道を解析しながら、自身の異能を駆使してその攻撃をかわしていく。
「来い、アル。お前がどんなに必死に逃げても、僕の力には敵わない」
カイの冷徹な声が響く中、アルは覚悟を決めて立ち上がった。彼は自分の異能を駆使して、まずは周囲の環境を利用することにした。ゴミ山から拾った金属や廃材を再構成し、カイの雷撃を防ぐ盾を作り上げる。
「ゴミ? 違う。素材だ」
アルはそう呟くと、再構成された巨大な金属の盾を掲げて、カイの次なる雷撃を受け止めた。その盾は、古代の技術を宿した神兵の力によって、カイの攻撃を吸収し、反転させることができる。
「何だ……!?」
カイは驚きの声を上げ、攻撃を一瞬躊躇した。アルの異能《再構成》が彼の力を吸収し、そのまま反撃する形となったのだ。しかし、カイはすぐに態勢を立て直し、冷静に再び雷撃を放った。
「ふん、どうせその盾も一時的なものに過ぎない。だが、お前が力を使いこなせるとは思わなかったよ、アル」
アルはその言葉に苦笑を浮かべながらも、次の手を考える。カイの雷撃は直線的で破壊力が極めて高い。それに対抗するには、ただ防御を固めるだけでは意味がない。
「いや、これが本当の『再構成』だ」
アルは心の中で決意を固め、手を前に出すと、その場にあった大量の廃材を錬成して、巨大な機械のような武器を作り上げた。その武器の形は、まるで戦車の砲塔のようで、カイの雷撃を迎撃するために特化された形状をしている。
「リリス、援護してくれ!」
リリスはすぐに精霊魔法を使い、アルの武器を強化する。火属性の精霊の力を貸し、炎を帯びた剣を作り上げる。その力で、アルはカイに立ち向かう準備が整った。
「カイ、俺の力を甘く見すぎだ」
アルは強い意志を込めて、その巨大な武器を振りかざし、カイに向かって突撃した。カイの雷撃がアルを直撃するかと思った瞬間、アルはその攻撃を受け流し、反撃の一撃を放った。
「これで決める!」
アルの一撃がカイに迫り、激しい衝撃が走る。その瞬間、カイは苦しそうに声を上げ、雷撃を放つことができなくなった。
「カイ……!お前の『力』は、もう俺の力には届かない!」
アルの声が、カイの耳に届いた。だが、カイは目を閉じ、静かに言葉を吐いた。
「……まだ終わっていない」
その言葉に、アルは一瞬戸惑い、そして気づく。カイが持っていた本当の力が、まだ解放されていないことを。




