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18.みおの過去と新たな決意

私たちの日常は、一見すると平凡で変わり映えのしないものかもしれません。朝目覚めて学校や職場に向かい、決まりきったルーティンの中で一日を過ごす。けれども、その「日常」の裏側には、私たちが知らない不思議な世界が広がっているかもしれません。

本作『日常の向こう側:朝霧の神社と猫耳の友人』は、そんな日常と非日常が交わる瞬間を描いた物語です。主人公・つとむは、普通の高校生として何気ない毎日を送っていました。しかし、ある朝、怪我をした猫を助けたことをきっかけに、彼の世界は一変します。猫耳を持つ不思議な少女・みおとの出会い、そしてディスガイズという存在との関わりが、つとむの日常に新たな彩りを加えていきます。

この物語を通じて、私は読者の皆さんに「見えないものの存在」や「日常の裏に隠れた非日常」に対する新たな視点を提供したいと考えています。私たちが普段当たり前だと思っている世界の裏には、無数の秘密や冒険が潜んでいるのかもしれません。そして、その秘密に気づくことで、私たち自身の日常もまた豊かに、そして鮮やかに変わっていくでしょう。

つとむと共に、日常の向こう側に広がる未知の世界を探求する旅に出かけてみませんか?彼の物語を通じて、皆さん自身の心の中に眠る冒険心を呼び覚ますきっかけとなれば幸いです。

それでは、つとむの冒険の始まりにページをめくりましょう。


つとむとみおは一度立ち上がったが、鶴田に呼び止められ、再び座り直した。「何ですか?」とみおが問いかけると、鶴田は優しく微笑みながら尋ねた。「みおさんが、なんでも屋を始めたんだね?」「はい、私が始めました。つとむは私が誘ったんです。それに、とうかさんという猫のディスガイズの方も一緒に手伝ってくれています。」みおは、誇らしげに説明した。「そうかい、手紙を受け取ったのは君だったのか。」鶴田は静かに頷いた。「え?もしかしてあの手紙は鶴田さんが送ったんですか?」みおが驚いて尋ねると、つとむも興味深そうに「手紙って?」と鶴田に聞いた。鶴田は頷いてから話を始めた。「そうだよ。あの神社の土地は、もともと私の祖先が管理していてね。あそこに神社を建てたのも私の祖先なんだ。」みおとつとむは驚きつつ耳を傾ける。「そして、この町は昔から多くのディスガイズたちが住んでいたんだ。彼らの相談や集会の場として作られたのが君たちの事務所さ。私も昔、仲間たちと同じような活動をしていたんだよ。しかし、歳を重ねるうちに後継者を育てようと思った。それが…」鶴田は意味深に言葉を止めた。「私の父ですね。」みおは、少し淋しげに言った。「あぁ、そうなんだ。彼はとても正義感が強くて、真っ直ぐな性格でね。私は、彼がこの役目を継ぐと思っていた。」鶴田は懐かしそうに語った。「でもその時、父と母は失踪してしまった。」みおの声には、苦しみが滲んでいた。「すまない、嫌なことを思い出させたね。」鶴田は申し訳なさそうに謝った。つとむは驚き、「みお、どういうことなの?」と問いかけた。鶴田はつとむを見つめて説明を続けた。「私も彼らの行方を長い間探していたんだ。そんな時、彼らを探しているもう一人の人物がいると知った。それが君だったんだよ、みおさん。」「それを、なぜ教えてくれなかったんですか?私がどんな気持ちで探し回っていたか、知っていたはずなのに。」みおの声には怒りが混じっていた。「すまない、君を巻き込みたくなかったんだ。でも、君が探し続けることは理解していた。だから、君の父がなんでも屋をしていたことを伝え、情報を集めることを薦めたんだ。そして、とうかは元々私の秘書の一人で、まいこさんの双子の妹なんだよ。彼女を君の側に置いておくことにした。」鶴田は冷静に答えた。つとむが驚いて声を上げた。「ちょっと待ってください!僕を誘ったのにも何か理由があるんですか?」「いや、それは違うよ。手紙には、仲間を作りなさいと書いただけだ。」鶴田は穏やかに微笑んだ。みおはつとむを見つめ、静かに言った。「それは私が決めたの。手紙を受け取って動揺して、猫の姿で街を歩いていた時、とうかさんに助けられて。それで彼女が怪我をしたのを見て、自分も何かしなきゃって思った。そこに君が来て、優しく彼女の手当てをしていたのを見て、君なら一緒に居れるとと思って誘ったの。」つとむは驚きながらも笑顔で答えた。「あの時、学校まで送ってくれた猫ってみおだったんだね。黙っていても大丈夫だよ、ありがとう。」鶴田は二人の様子を見守りながら言った。「つとむ君が加わったのは、運命ということだろうね。そのペンダントが光るのも理解できる。」「どういうことですか?」つとむが尋ねると、鶴田は再び優しく微笑んだ。「君たちは女神様に会ったんだろう。そのペンダントには、〈正しき勇者の素質を持つ者に力を貸す〉という伝説があるんだ。とうかさんはそれを知っていて君に渡したんだろう。正解だったようだね。」みおが疑問を抱きながら聞いた。「鶴田さん、あなたも女神様に会ったことがあるんですか?」「いいや、私は一度もお会いしたことはないよ。だが、その伝説を聞いたことがあってね。」鶴田は答えた。「僕たちにはそんなこと一言も言っていなかったのに…」つとむは少し驚きつつ、そう言った。「そうかい、女神様は気まぐれだからね。」鶴田は笑った。みおは真剣な表情で尋ねた。「これから私はどうすれば良いんでしょうか?」「君はこれからも父を探すんだろう?」鶴田は優しく促す。「はい。」みおは力強く答えた。「いいかい、一人で探すのはやめるんだ。君の父も、仲間と一緒に動かなかったから消えてしまった。何でも仲間と共有して行動しなさい。困った時に助けられなくなってしまうからね。」鶴田はみおに強く諭した。「困った時はまたここに来るといい。私も協力するから。」鶴田が微笑むと、そこにとうかが静かに入ってきた。「みおさん、つとむさん、これからもよろしくお願いします。」とうかは深く頭を下げた。「さて、長く話したね。レン君のところへ行こうか。」鶴田が立ち上がり、3人もそれに続いた。「とうかさん、よろしくお願いします。そして、つとむもね。」みおが笑顔で言うと、つとむも「もちろん、よろしくね」と返した。

一行は、レンとまいこが待つ部屋に入った。「みおさん、つとむさん、見てください!こんなにたくさん装備を揃えてくれたんです!」レンは嬉しそうに叫ぶ。「すごい、ありがとうございます鶴田さん。」みおも感謝を述べる。「さぁ、準備を整えて霧ヶ岳へ向かおう。」つとむはそう言って3人を促した。彼らは鶴田に別れを告げ、まいこととうかに霧ヶ岳の入り口まで案内される。まいこは書記を渡しながら「ここからは自分たちで進んでください。道順は途中までですがここに記されています」と言った。「みおさん、つとむさん今回は、私は待っています。頑張ってくださいね。」「とうかさん、待っていてくださいね。」みおは振り返り、そう告げると、つとむとレンと共に霧ヶ岳の中へと進んでいった。霧が漂う森の中で、彼らは慎重に一歩ずつ歩みを進めていった。


あとがき

この物語を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

物語を通して、主人公のつとむが日常の中に潜む非日常に出会い、新たな冒険へと踏み出す姿を描きました。彼の孤独な朝から始まり、みおやとうかとの出会いを通して変わっていく日々は、私たち自身の人生の中にも共鳴する部分があるのではないかと思います。

つとむの物語は、一見普通に見える日常が、少しの視点の違いや誰かとの出会いによって鮮やかに彩られることを教えてくれます。そして、未知の世界や不思議な出来事が彼を待ち受けているように、私たちの人生にもいつどんな瞬間に変化が訪れるか分かりません。この物語を通して、読者の皆さんにもそんな新たな発見や冒険心を感じてもらえたなら、これ以上嬉しいことはありません。

また、みおやとうか、けんたといったキャラクターたちは、つとむの成長を支えながらもそれぞれの物語を秘めています。ディスガイズという存在が何を象徴するのか、そして彼らの生きる世界にどんな秘密が隠されているのか、これからの展開で少しずつ明らかにしていきたいと考えています。

つとむが出会う日々の小さな出来事が、彼の心にどんな変化をもたらしていくのか、そして彼らがどのようにして自分たちの世界と向き合っていくのか――続く物語の中でさらに深く探求していく予定です。

最後になりますが、この物語を通じて、少しでも皆さんの日常に新たな視点や心の彩りを加えることができたのなら幸いです。これからも、つとむたちの物語を見守っていただければと思います。

ありがとうございました。

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