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17.鶴田家の秘密と薬草の謎

私たちの日常は、一見すると平凡で変わり映えのしないものかもしれません。朝目覚めて学校や職場に向かい、決まりきったルーティンの中で一日を過ごす。けれども、その「日常」の裏側には、私たちが知らない不思議な世界が広がっているかもしれません。

本作『日常の向こう側:朝霧の神社と猫耳の友人』は、そんな日常と非日常が交わる瞬間を描いた物語です。主人公・つとむは、普通の高校生として何気ない毎日を送っていました。しかし、ある朝、怪我をした猫を助けたことをきっかけに、彼の世界は一変します。猫耳を持つ不思議な少女・みおとの出会い、そしてディスガイズという存在との関わりが、つとむの日常に新たな彩りを加えていきます。

この物語を通じて、私は読者の皆さんに「見えないものの存在」や「日常の裏に隠れた非日常」に対する新たな視点を提供したいと考えています。私たちが普段当たり前だと思っている世界の裏には、無数の秘密や冒険が潜んでいるのかもしれません。そして、その秘密に気づくことで、私たち自身の日常もまた豊かに、そして鮮やかに変わっていくでしょう。

つとむと共に、日常の向こう側に広がる未知の世界を探求する旅に出かけてみませんか?彼の物語を通じて、皆さん自身の心の中に眠る冒険心を呼び覚ますきっかけとなれば幸いです。

それでは、つとむの冒険の始まりにページをめくりましょう。

つとむ、みお、レンの3人は、鶴田の家に到着した。目の前には大きな門がそびえ立ち、みおは門を見上げて感嘆の声を漏らす。「うわ~、すごいね。」みおが言うと、つとむも驚きを隠せず「でかい…」と呟く。しばらく門の前で立ち止まっていると、一台の車が門を通過していった。「ねぇ、今の人じゃない?」つとむが言うと、みおは頷き「きっとそうだよ。でも、勝手に入っていいのかな?」と不安げに答える。そんな時、秘書のような格好をした女性まいこが近づいてくる。「すいません、何か御用でしょうか?」まいこが尋ねる。「すいません、実は鶴田さんに聞きたいことがありまして…」みおが説明し始めるが、秘書のまいこは警戒した表情を浮かべている。「聞きたいこととは何でしょうか?」とさらに突っ込んでくる。「この家の裏にある霧ヶ岳にあるとされる薬草なんですけど…」みおが話すと、秘書のまいこは一瞬、怪訝そうな顔をしてから、厳しい口調で言った。「薬草?貴方たちは学生さんですよね?」「はい、僕は霧野高校2年の日向つとむです。」つとむが名乗ると、みおも続けて「私も彼と同じ学校の東雲みおです。私たちは、朝霧の神社でなんでも屋をしていて、今回、ここにいるレン君の依頼でその薬草を探しているんです」と説明する。しかし、秘書のまいこは納得しない様子で「なんでも屋?すいませんが、鶴田に訳のわからない方をお会いさせるわけにはいきません。お引き取りください」と冷たく言い放つ。「どうかお願いします、少しだけでもお話をさせてください!」つとむが必死に頼み込むが、秘書のまこは頑として譲らない。「お引き取りください」と再び言い放たれると、後ろから鶴田が現れる。

「まぁまぁ、宮地さん、お話くらいは聞きますよ」と優しい声で秘書のまいこをなだめる鶴田。「旦那様、本当に良いのですか?」と秘書のまいこは心配そうに尋ねるが、鶴田は微笑みながら「大丈夫ですよ。さぁ、お三方、どうぞ」と促す。まいこが道を譲り、3人は屋敷に案内され、お座敷に通される。

並んで座った3人の前に鶴田が現れ、まいこが彼らにお茶を差し出す。「ありがとうございます」とみおが礼を言うと、レンも「ありがとうございます」と丁寧に感謝を述べる。鶴田が話を始める。「それで、何を聞きたいのかね?」「ある薬草のことなんですけど…なんでも治す薬草を探していて、その薬草が霧ヶ岳にあると書かれた絵本を持ってきました」とつとむが説明する。レンも続けて、「この絵本に描いてあって、僕のお母さんの病気を治したいんです」と話し、絵本を差し出す。「それと、この絵本の作者が鶴田さんだっていうことを知って、ここに来たんです」とみおは裏表紙を指差しながら説明する。鶴田は絵本を手に取り、ページをめくりながら懐かしそうに微笑む。「この絵本はどこで?」「おばあちゃんの家で見つけました」とレンが答えると、鶴田は頷き、「そうか、なるほど」と思い出に浸るように呟く。「何か知っているんですか?」つとむが尋ねると、鶴田はゆっくりと話を始めた。「君たちはディスガイズなんだね?」

その言葉に3人は驚き、目を見合わせる。「はは、すまないね。いきなりで驚かせてしまった。どれ、私も正体を見せよう」と言いながら、鶴田は指輪を外して机に置く。その瞬間、つとむのペンダントが光り出し、鶴田の顔は白い羽毛に覆われた鶴のような姿に変わった。「おぉ、そのペンダントは鹿の女神様からの授かり物だね」と鶴田は感心しながら言う。「はい、私とレン君はディスガイズです」とみおが答える。「君は?」と鶴田はつとむに尋ねる。「僕は人間です。でも、みおに誘われてなんでも屋をしています」とつとむは答える。「そうか、そのペンダントが光るということは、君も選ばれた者なのだろう」と鶴田は頷きながら言った。「選ばれた者?どういうことですか?」とつとむが聞くが、鶴田は笑いながら「今は知らなくても、いつか分かるだろう」と答えた。本題に戻り、鶴田は続ける。「さて、この絵本の話だが、なんでも治す薬草は確かに存在はするよ。」「本当にあるんですか?」とみおが驚き、3人は喜びを隠せない。「その薬草、どこにあるんですか?」とつとむが興奮気味に尋ねるが、鶴田は申し訳なさそうに首を振る。「すまない、どこにあるかは知らないんだ。見つけたのは私の祖父だけだからね。祖父がその薬草を見つけたのは、霧ヶ岳の奥深くだった。」鶴田は昔話を始めた。「祖父は薬草を研究する優れた薬師だった。ある日、霧ヶ岳を探索中に毒の刺のある木に触れてしまい、絶望的な状況に陥った。しかし、その時に見つけたのがその薬草だった。蕾が壺のような形をしていて、その中の蜜を舐めると毒が引き、体調が回復したという話だ」と鶴田は懐かしそうに語る。「お祖父さんはその薬草を持ち帰らなかったのですか?」とみおが尋ねる。「もちろん、持ち帰ろうとしたが、家に着く頃には薬草が黒く腐ってしまったらしいんだ」と鶴田は答える。「じゃあ、どうすれば良いんですか?」と不安そうにするレン。鶴田は優しく微笑み、「安心しなさい。祖父は蜜を保存する方法を見つけることができなかったが、後にあるものを作り出したんだ」と言い、秘書のまいこを呼ぶ。「宮地さん、あれを持ってきてください」と鶴田が指示すると、しばらくして宮地が小さな箱を持って戻ってきた。鶴田は箱を開け、中から小さな鉄飾りの壺を取り出す。「これは祖父が残したもので、いつか薬草を見つけた時に使いなさいと言われていたんだ。」「こんな物があったんですね」とみおが感心して言う。「もし君たちが必要なら、これを使って欲しい」と鶴田は壺をレンに手渡した。「ありがとうございます。頑張ります!」とレンは力強く答えた。「それに霧ヶ岳に入るなら装備が必要だろうから、宮地さんに用意してもらいなさい」と鶴田が言うと、秘書のまいこが3人を案内しようとしたが、鶴田はつとむとみおを呼び止めた。「申し訳ないが、お二人は少し残って貰えますかな。」


あとがき

この物語を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

物語を通して、主人公のつとむが日常の中に潜む非日常に出会い、新たな冒険へと踏み出す姿を描きました。彼の孤独な朝から始まり、みおやとうかとの出会いを通して変わっていく日々は、私たち自身の人生の中にも共鳴する部分があるのではないかと思います。

つとむの物語は、一見普通に見える日常が、少しの視点の違いや誰かとの出会いによって鮮やかに彩られることを教えてくれます。そして、未知の世界や不思議な出来事が彼を待ち受けているように、私たちの人生にもいつどんな瞬間に変化が訪れるか分かりません。この物語を通して、読者の皆さんにもそんな新たな発見や冒険心を感じてもらえたなら、これ以上嬉しいことはありません。

また、みおやとうか、けんたといったキャラクターたちは、つとむの成長を支えながらもそれぞれの物語を秘めています。ディスガイズという存在が何を象徴するのか、そして彼らの生きる世界にどんな秘密が隠されているのか、これからの展開で少しずつ明らかにしていきたいと考えています。

つとむが出会う日々の小さな出来事が、彼の心にどんな変化をもたらしていくのか、そして彼らがどのようにして自分たちの世界と向き合っていくのか――続く物語の中でさらに深く探求していく予定です。

最後になりますが、この物語を通じて、少しでも皆さんの日常に新たな視点や心の彩りを加えることができたのなら幸いです。これからも、つとむたちの物語を見守っていただければと思います。

ありがとうございました。


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