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15.作戦決行と恋?

前書き

私たちの日常は、一見すると平凡で変わり映えのしないものかもしれません。朝目覚めて学校や職場に向かい、決まりきったルーティンの中で一日を過ごす。けれども、その「日常」の裏側には、私たちが知らない不思議な世界が広がっているかもしれません。

本作『日常の向こう側:朝霧の神社と猫耳の友人』は、そんな日常と非日常が交わる瞬間を描いた物語です。主人公・つとむは、普通の高校生として何気ない毎日を送っていました。しかし、ある朝、怪我をした猫を助けたことをきっかけに、彼の世界は一変します。猫耳を持つ不思議な少女・みおとの出会い、そしてディスガイズという存在との関わりが、つとむの日常に新たな彩りを加えていきます。

この物語を通じて、私は読者の皆さんに「見えないものの存在」や「日常の裏に隠れた非日常」に対する新たな視点を提供したいと考えています。私たちが普段当たり前だと思っている世界の裏には、無数の秘密や冒険が潜んでいるのかもしれません。そして、その秘密に気づくことで、私たち自身の日常もまた豊かに、そして鮮やかに変わっていくでしょう。

つとむと共に、日常の向こう側に広がる未知の世界を探求する旅に出かけてみませんか?彼の物語を通じて、皆さん自身の心の中に眠る冒険心を呼び覚ますきっかけとなれば幸いです。

それでは、つとむの冒険の始まりにページをめくりましょう。

月曜日の朝。つとむたちは高校へ向かう途中で作戦を決行するためにスタンバイしていた。みおは手前の角で待機し、その奥の角ではつとむ、しおり、そして依頼者のりくが緊張しながら待っている。「こちらみお、さらさんを確認しました。もうすぐ予定の位置です。」無線越しにみおが報告する。「了解。」つとむが返事をすると、みおから「今、通過したよ!」との合図が送られた。さらが近づいてくるのを見て、つとむはりくに声をかける。「よし、りく君、歩きだして。」「う、うん。頑張る。」りくは小さく答え、ゆっくりと歩き出した。緊張で心臓の音が早鐘のように響く。しおりも「りく、いい?さらさんが追い付いたら声をかけるんだよ。」と念を押す。りくが一歩一歩進んでいくと、後ろからさらが少しずつ近づいてくる。「頑張れ。」しおりが小声で応援する中、さらとの距離がどんどん縮まっていった。二人がもう少しで並ぶという瞬間、みおの声が響く。「今、話しかけて!」「今だ!」しおりも続けて合図を送る。つとむたちは、りくが声をかけるのを期待して祈るように見守っていた。しかし、さらはりくの隣に並ぶことなく、無言のまま先に歩き去ってしまった。「あれ?どうしたんだろう。」しおりが戸惑ったように呟く。「緊張したのかな。」つとむが言うと、みおも同意しながら「そうだね、りく君のところ行こう。」と3人でりくに駆け寄った。しおりはりくに声をかける。「りく、どうしたの?」りくは気落ちした表情で答える。「ごめん、話しかけられなかった。」「緊張した?」つとむが優しく尋ねると、りくは小さく頷いた。「まだ、大丈夫。明日も頑張ろう。」みおがりくを励まし、翌日に希望を託した。

火曜日の朝。つとむたちは再びスタンバイしていた。「今日は声をかけられるよ。」みおが自信満々に言い、しおりも「りく、頑張って。」と声をかける。「うん、頑張る。」りくは気合を入れて歩き出した。しかし、さらが近づいても、りくはまたも声をかけることができなかった。「皆、ごめんなさい。」りくが肩を落とす。「ううん、明日頑張ろう。」つとむがりくを励まし、再び翌日に期待を寄せた。

水曜日の朝。いつものポジションに4人はスタンバイし、さらを待っていた。りくが歩き出し、さらが近づいてくる。しかしまたも、りくが声をかけることはなかった。「りく、大丈夫だよ。明日頑張ろう。」しおりが優しく声をかける。「うん。」りくは小さく返事をした。

木曜日の朝。みおはりくに向かって「今日こそは、できるよ。」と励まし、つとむも「頑張って。」と応援する。りくも「うん。」と気合を入れ直して歩き出したが、またしても声をかけることはできなかった。

その日のお昼休み、4人は屋上に集まり、みおはため息をついた。「どうしよう。」「う~ん。」しおりも考え込む。りくは肩を落とし、「ごめんなさい。僕のために考えてくれたのに……」と申し訳なさそうに呟いた。「大丈夫だよ。今週は、あと1日あるから。」つとむが元気づけるように言う。「でも、どうする?何かアイデアないかな?」みおが考え込むと、しおりが提案した。「そうですね。例えば、気を引く方法があれば良いんだけど。」「ハンカチを落とすとかどう?」つとむがアイデアを出すと、みおの顔が明るくなった。「それ、良いかも!明日、やってみよう。」つとむの提案に全員が同意し、りくは再び頷いた。「うん、頑張る。」最後の金曜日に向け、4人は新たな決意を胸に作戦を練り直した。りくの想いを届けるため、次の日こそ成功させるという強い気持ちで、彼らは再び戦いの朝を迎えようとしていた。

金曜日の朝。今日こそはと意気込むつとむたち。みおがりくに声をかける。「今日こそはできるよ。ハンカチを落とすタイミングは、昨日話したタイミングね。」「うん、ありがとう。」りくは緊張した様子で頷く。しおりも続けて「頑張ってね。」と励まし、つとむも「頑張って。」とエールを送った。4人はいつものポジションにスタンバイし、さらがみおの前を通過するのを見守る。りくもその合図を受けて歩き始める。さらがりくに近づいてくると、つとむが小声で指示を出す。「今だ、りく、落とすんだ。」りくはさらが背後に近づいたタイミングで、ハンカチを地面に落とした。するとさらがそれに気づき、ハンカチを拾い声をかける。「ちょっと、ハンカチ落としましたよ。」「あっ、ありがとうございます。」りくはぎこちなく礼を言う。さらがりくの顔を見ると、「なんだ、亀井君じゃん。」と少し驚いた様子で笑った。「う、うん。」りくは頷くだけで、なかなか話が続かない。「それじゃあ、また学校で。」さらはそのまま去ろうとする。後ろで見ていたみおが焦って、「ダメ~。もっと話しかけなきゃ!」とつぶやき、つとむたちは慌ててりくに声援を送る。「あっ、あの~。」りくは勇気を振り絞り、さらに声をかけた。「ん?何かあった?」さらが立ち止まり、りくの方に振り返る。「これ、返してなかったから。」りくは鞄からペンを取り出し、さらに差し出す。「あ~、これそうだったね。ありがとう。忘れてたよ。」さらは微笑んでペンを受け取る。「返すの遅くなってごめんなさい。」りくは申し訳なさそうに言うと、さらは笑顔で「ううん、良いよ。全然。図書委員の時だっけ?」と答える。「うん、そう。」りくが返事をして鞄を閉めようとしたその時、さらが急に話を始めた。「ねぇ、その本、好きなの?」さらがりくの鞄の中に見える本を指差す。「えっ?」りくは一瞬戸惑ったが、さらが「ごめん、その~、鞄の中から見えちゃって。」と言うと、りくは安心したように「うん。この作者が好きで。」と答える。「私も!この作者の本が好きなんだ。それにこのシリーズが特に好きで…あっ、ごめん私ばかり話してるね。」さらは少し恥ずかしそうに微笑む。「ううん、大丈夫だよ。」りくは安心して言う。「こんな話、他の子とはできないから楽しい。」さらが笑顔を見せる。「僕も……あの、よければ学校まで一緒に行かない?」りくは思い切って誘ってみた。「うん、良いよ。」さらは快く答え、二人は楽しそうに話しながら一緒に歩き出した。みおが嬉しそうに後ろで見守りながら、「良い感じじゃん。」とつぶやく。「そうだね。」つとむも満足げに頷き、しおりも「良かった~。」とほっとした表情を見せる。後ろにいた3人は微笑みながら、りくの小さな一歩を喜んでいた。

その日のお昼休み、つとむとみおが屋上で食事をしていると、しおりとりくが現れた。「お疲れさま!ねぇ、さっそく聞かせてよ。どうだったの?」みおが興奮気味に問いかけると、しおりは「ちょっと、みおそんなに焦らないで。」と苦笑しながら、りくと一緒にベンチに座った。「えっと、上手く話せて……それにペンも返せた。」りくが控えめに話すと、みおがすぐに「で、感触はどう?」と食いつく。つとむが苦笑して「みお、今回は話をしたいって依頼でしょ。」と指摘すると、みおは少し残念そうに肩を落とした。「そうでした。ごめん。」しおりがりくに尋ねる。「で、仲良くなれそうなの?」「うん。彼女も本が好きだし、今度からは、もっと話せそう。」りくが笑顔で答えると、みおも嬉しそうに「良かった。これで依頼達成で良い?」と確認する。「うん、ありがとう。」りくは3人に頭を下げ、感謝の気持ちを伝えた。しおりも「2人ともありがとうね。」と感謝を述べる。「ううん、なんか楽しかったしね。」つとむは笑顔で答え、みおも楽しそうに頷いた。「そうだね、楽しかった。」こうして、亀のりくの「恋」の依頼は無事に達成されたのだった。

あとがき

この物語を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

物語を通して、主人公のつとむが日常の中に潜む非日常に出会い、新たな冒険へと踏み出す姿を描きました。彼の孤独な朝から始まり、みおやとうかとの出会いを通して変わっていく日々は、私たち自身の人生の中にも共鳴する部分があるのではないかと思います。

つとむの物語は、一見普通に見える日常が、少しの視点の違いや誰かとの出会いによって鮮やかに彩られることを教えてくれます。そして、未知の世界や不思議な出来事が彼を待ち受けているように、私たちの人生にもいつどんな瞬間に変化が訪れるか分かりません。この物語を通して、読者の皆さんにもそんな新たな発見や冒険心を感じてもらえたなら、これ以上嬉しいことはありません。

また、みおやとうか、けんたといったキャラクターたちは、つとむの成長を支えながらもそれぞれの物語を秘めています。ディスガイズという存在が何を象徴するのか、そして彼らの生きる世界にどんな秘密が隠されているのか、これからの展開で少しずつ明らかにしていきたいと考えています。

つとむが出会う日々の小さな出来事が、彼の心にどんな変化をもたらしていくのか、そして彼らがどのようにして自分たちの世界と向き合っていくのか――続く物語の中でさらに深く探求していく予定です。

最後になりますが、この物語を通じて、少しでも皆さんの日常に新たな視点や心の彩りを加えることができたのなら幸いです。これからも、つとむたちの物語を見守っていただければと思います。

ありがとうございました。

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