表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/21

13.女神とペンダント・依頼達成

前書き

私たちの日常は、一見すると平凡で変わり映えのしないものかもしれません。朝目覚めて学校や職場に向かい、決まりきったルーティンの中で一日を過ごす。けれども、その「日常」の裏側には、私たちが知らない不思議な世界が広がっているかもしれません。

本作『日常の向こう側:朝霧の神社と猫耳の友人』は、そんな日常と非日常が交わる瞬間を描いた物語です。主人公・つとむは、普通の高校生として何気ない毎日を送っていました。しかし、ある朝、怪我をした猫を助けたことをきっかけに、彼の世界は一変します。猫耳を持つ不思議な少女・みおとの出会い、そしてディスガイズという存在との関わりが、つとむの日常に新たな彩りを加えていきます。

この物語を通じて、私は読者の皆さんに「見えないものの存在」や「日常の裏に隠れた非日常」に対する新たな視点を提供したいと考えています。私たちが普段当たり前だと思っている世界の裏には、無数の秘密や冒険が潜んでいるのかもしれません。そして、その秘密に気づくことで、私たち自身の日常もまた豊かに、そして鮮やかに変わっていくでしょう。

つとむと共に、日常の向こう側に広がる未知の世界を探求する旅に出かけてみませんか?彼の物語を通じて、皆さん自身の心の中に眠る冒険心を呼び覚ますきっかけとなれば幸いです。

それでは、つとむの冒険の始まりにページをめくりましょう。


オルゴールの音色が桜の木の下に広がり、その優しい旋律が心を包み込む。つとむのペンダントが再び光を放ち始め、その光はひとつに集まり、形を成し始めた。みおはその光の形に気づき、驚きの声を上げた。「えっ!女神様?」そこに現れたのは、鹿の女神みずほだった。彼女は微笑んで、優雅に姿を見せた。「ふふ、とても綺麗な音色でしたね。しおりさん、見つかって良かったですね。」しおりは深々と頭を下げた。「はい。ありがとうございました。これで祖母に聴かせてあげられます。」とうかがしおりの肩に手を置き、穏やかに言った。「しおりさん、さっそくおばあさんに聴かせてあげましょう。」しおりは頷き、「そうですね。女神様、みおさん、つとむさん、ありがとうございました。」と感謝の言葉を伝えた。そしてとうかも同じく、「みおさん、つとむさん、私もしおりさんに付き添います。」と言い、二人は祖母のもとへと走り出した。その場に残ったつとむは、ペンダントを手に取り、鹿の女神に尋ねた。「女神様、このペンダントに何かしたんですか?」ペンダントの光の意味を問いただすつとむに、鹿の女神みずほは静かに答えた。「それは、そのペンダントを私が作ったからです。私は影に生きるディスガイズたちを常に見守ってきました。でも、見守るための写し鏡が必要でね、遠い昔にそのペンダントを作って力を込めたの。」つとむは驚きを隠せなかった。「このペンダントを女神様が…」鹿の女神みずほは頷き、「はい、私も最近はその存在を忘れていたんですけどね。そんな時、とうかさんがそのペンダントをつとむさんに渡して、映像が映り始めたから面白いことになりそうだと思って、いろいろ手を加えたの。」つとむはさらに驚き、「もしかして、けんた君の時に光ったのって…」と問いかけた。「そうそう、あの子がディスガイズだったってこともあるけれどね。それに少し見た目を変えて私のところに来るように誘導したりね。」女神は微笑みながら続けた。「まさか!あの謎の老婆も女神様だったんですね!」つとむは驚きの声を上げる。「そういうこと。」女神は優雅に頷いた。「来てもらったことで、こうしてそのペンダントから出ることができたの。でも、今後は基本的に見守るだけだから安心してね。」つとむは少し戸惑いながらも、「は…はい。(覗かれはするんだ……)」と応じた。鹿の女神みずほはふと、みおの方に目を向けた。「そういえば、みおさん。その箱の中身、他にもあるから確認しておきなさい。では~。」そう言い残して、女神は光の中に消えてしまった。つとむは箱に目をやり、「箱の中身って何だろう?」と呟いた。みおは箱の中を覗き込み、咄嗟に何かを取り出した。「これは!…どうして。」つとむが心配そうに、「どうしたの?」と尋ねたが、みおはそれを隠すようにして、「ううん、何でもなかった。」とだけ答えた。みおは、そっと箱を閉じ、気を取り直して言った。「私たちもそろそろ帰ろう。」つとむも頷いて、「そうだね。」と言い、二人はその場を後にした。

事務所に戻った二人。みおはつとむに頼んだ。「つとむ君、そこの活動日誌にしおりさんの依頼を書いておいてもらってもいい?いつもはとうかさんが書いてくれているんだけど、今はしおりさんと一緒にいるから。」つとむは頷き、「分かった。書いておくよ。」と引き受けた。「ありがとう。」みおは微笑んで、自分のデスクへ戻った。時間が少し過ぎると、二人は各々の机で作業に集中し始めた。みおはパソコンの画面に視線を落とし、画面にはある事件の記事が映し出されていた。「男女二人の不自然死、自殺か?他殺か?」というタイトルが目に入る。みおの手元には、箱の中にあった手紙と写真が収められた一通の封筒があった。彼女の表情は険しく、何かを考え込んでいる様子だった。「よし、終わった。みおは?」つとむが声をかけるが、みおは集中しているのか反応がない。「みお?どうかしたの?」つとむが再び声をかけると、みおはハッとして顔を上げた。「えっ!何でもないよ。私たちも帰ろう。」みおは慌ててパソコンを閉じ、立ち上がった。二人は楽しそうに話しながら、朝霧の神社を後にした。「何か、食べて帰ろうよ。」みおが提案すると、つとむも笑顔で応じた。「いいね!そうしよう。」

その頃、病院ではしおりが祖母にオルゴールの音色を聴かせていた。しおりの祖母は涙を浮かべながら微笑んでいた。「ありがとうね、しおりちゃん。聴けて嬉しいよ。」しおりも笑顔で頷いた。「うん、良かった。」彼女の表情には、安堵と喜びが溢れていた。病室の外では、とうかがその様子を見守りながら微笑んでいた。しおりの探し物が見つかり、心の中で浮かんでいた重荷が解き放たれた。そして、月に浮かぶうさぎの姿も、どこか優しい微笑みを浮かべているようだった。


あとがき

この物語を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

物語を通して、主人公のつとむが日常の中に潜む非日常に出会い、新たな冒険へと踏み出す姿を描きました。彼の孤独な朝から始まり、みおやとうかとの出会いを通して変わっていく日々は、私たち自身の人生の中にも共鳴する部分があるのではないかと思います。

つとむの物語は、一見普通に見える日常が、少しの視点の違いや誰かとの出会いによって鮮やかに彩られることを教えてくれます。そして、未知の世界や不思議な出来事が彼を待ち受けているように、私たちの人生にもいつどんな瞬間に変化が訪れるか分かりません。この物語を通して、読者の皆さんにもそんな新たな発見や冒険心を感じてもらえたなら、これ以上嬉しいことはありません。

また、みおやとうか、けんたといったキャラクターたちは、つとむの成長を支えながらもそれぞれの物語を秘めています。ディスガイズという存在が何を象徴するのか、そして彼らの生きる世界にどんな秘密が隠されているのか、これからの展開で少しずつ明らかにしていきたいと考えています。

つとむが出会う日々の小さな出来事が、彼の心にどんな変化をもたらしていくのか、そして彼らがどのようにして自分たちの世界と向き合っていくのか――続く物語の中でさらに深く探求していく予定です。

最後になりますが、この物語を通じて、少しでも皆さんの日常に新たな視点や心の彩りを加えることができたのなら幸いです。これからも、つとむたちの物語を見守っていただければと思います。

ありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ