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間章・とある王子様の日常

読んでくださった方、ありがとうございます!作者はPCの前で拝んでいます。


今回は、王子様サイドを描いた番外編です。…まだ3回目なのに番外…。もしかしたら【間章、2~】という形で続くかもしれません。よ、よろしくお願いします。(見捨てないでくださいー)

【とある近衛(29歳・独身)の観察記】

 部屋の壁に浮き出る、最高級の樫材だけが持ち得る美しい木目に私は見とれた。これこそが自然の奇跡と、職人のもつ神技の融合のたまものか、と。

 ………ちなみに私の主はこの執務室の持ち主であり、そうである以上、いかに美しかろうと壁の木目など腐るほど見ている。はっきり言ってしまえば365日ほぼ休みなく毎日見ており、見飽きているといっても全く過言ではない。その木目に今更感動してみているのは何故かと言えば、ただ単純に暇だったのである。木目に感動したふりをして自分を誤魔化さないと、立ったまま寝そうなほどの眠気のせいでもある。事実柱の影に控える従者達は、あっちでもこっちでも船をこいでいる。正直羨ましい。

 そして、この暑苦しくもったりとした眠気の原因である人は、執務室の中央で、この部屋の主である人に熱弁をふるっていた。曰く、わたくしは決して殿下に翻意をもっていたわけではなく、…税を懐にしたのも、貴族として下民に対する当然の権利で…、わたくしのような高貴な身分のものを非難するとは、他の官吏たちも身の程を知らない……うんぬんかんぬん。

 この人確か税金横領して、そのことに対する王家からの処置を聞きに来たはずなのだが、何を根拠にこんなに偉そうなのだろうか。しかも、前に言ったとおり、やたらめったら話が長い。しかも話題がループしているし。

「ですから殿下、わたくしめも今回のことを反省し、次からは決してかような失敗は繰り返しませぬゆえ不問に」

「ああうん、わかった。じゃあイルバルツク島の管理庁の長官を任せるから、今すぐ準備をして」

「………なん、ですと」

 手元の書類から目線をあげないまま放たれた主の言葉に、男性のループ現象がぴたりと止まった。記憶に曖昧だが、住民がいるかなーいないかなーどうかなー?といった感じの孤島への、事実上の左遷を言い渡された男性の口から、乾ききった声が漏れる。しかしそれに帰るのは、サラサラと紙にペンを走らせる音だけ。

「…っイルバルツクなどという片田舎に、このわたくしを送るですとっ!?」

「だからそう言っている。一度で理解したなら聞き返さないでくれるかな、面倒くさいから。ああ、ちなみに家財は4分の3没収するから、荷造りはとても楽だと思うよ。後のことは気にせず、静かに余生を過ごしてくれ」

「なっ…!」

 絶句した男性…王宮の執政官の1人であった貴族を前に、その時はじめて、執務机に座っていた方が顔を上げた。と言うかこの方は、相手に対する実質的な社会的・政治的死刑宣告を、顔も上げずにおこなっていらっしゃった訳だ。…このあたりから、性格のスバラシサの予想が出来てしまいそうなあたりが悲しい。

ゆったりと顔を上げた方、レスト・ファリシアン・リュファス・アレクサンドル皇太子殿下は、差し込む夕日に鮮やかな赤銅色の髪をつやめかせてあお向いた。少しつり気味の紅茶色の瞳が、柔らかく、穏やかに細められる。

「海とか海とか海とかあって楽しいよ、きっと?海に潜ったら君のご親戚にも会えるんじゃないかな。存分に運命の再会を満喫してきてくれて構わないよ」

 ああでも今冬だけど、と付け足して笑ったレスト様に、もと執務官殿(えらのはった素敵な魚顔。影でのあだ名・鯰様)の顔が今度は違う意味で見事に引きつる。

…いつものことながらこの方は、何故こうも的確に相手の弱点をえぐるのだろうか。しかも、一見すると慈愛溢れるようないーい笑顔で。同情をこめて鯰さ…いやいやいや、もと執政官殿(45歳、先頃奥様に逃げられた、酒癖最悪)を見ていた私の前で、怒りのためか、もと執政官殿の顔が黒赤く染まる。額に汗を噴出させ、彼が噛み付くように喚く。

「お待ちください!わたくしの家は、かつては王国でも10指に入る高貴な家柄!加えてわたくしの父は長らく陛下の財政長官として尽力しておりました!」

「ああ、確かに君の父君は優秀だった。50歳足らずで亡くなられたことは残念でならない程にね」

 おかげでお前みたいな役立たず七光り男が執政官になってしまったのだから、とか、思ってるんだろうなあのお顔は。恐らく私だけでなく、その場にいた従者達全員がそう確信したと思うが、残念ながらもと執政官殿は絶望的に空気が読めなくていらっしゃったようだ。レスト様の言葉に勢いづいたらしく、足を一歩踏み出す。

「そうです!その血を引くわたくしを、あんな少量の横領ごときで左遷とは…!」

 ああ、この人終わったな、と、その時私は確信した。

「職を失うのと首を失うの、どちらがいい?」

「…は……?」

「だから、今の職を失って海で親戚と戯れるのと、首と一生サヨナラするの。どっちがいいかって聞いてるんだよ?」

 くびとさよなら。その子どもめいた言葉の意味は、もと執政官殿にもわかったらしい。それが“仕事をクビになる”ことではなく、文字通り、首と胴を断ち切ることを意味するのだと。…それは、紛れもなく極刑の示唆だった。

けれど、もと執政官殿の本能はそれを感じても、心はそれを信じたくはなかったらしい(当然だ。私もレスト様以外なら信じない。…というか信じたくも無い)。血の気が引き、脂汗のにじんだ顔のまま、その厚く肉に埋もれた首が、信じられないとでも言いたげに左右に振られる。

「ま、まさか、…あんな小額の金で…」

「その“小額”の税金は、国民の生活を守るためにあるのであって、お前のそのビール樽のような腹を育むためのものじゃないんだよ」

 ……レスト様、台詞だけ見れば国思いの真摯な皇太子殿下ですが、浮かべている笑みが凶悪すぎます。目が血の色に染まりそうな勢いです。…いや、ビール樽の腹とか言っている時点で、あんまり真摯な皇太子殿下っぽくはないですが。

「さて、流石にわかっているとは思うけど、同じ言葉を3度も繰り返してあげるほど、僕は寛大じゃない。ついでに言えば、お前のような小物にこれ以上時間を割くほど暇でもない。選択肢は二つ。今すぐ答えないなら強制的に後者だ。僕にとっても、判子をペコンと押すだけで、目の前から不快なものが消えてくれるのは悪くない。…さぁ、どっち?」

 艶やかなほど冷酷な笑みを浮かべたレスト様を前にして、がくり、ともと執政官殿の膝が折れた。

 それは、権勢を誇った人間が、持っていた権のすべてを失った瞬間だった。



「素晴らしい。サスガは殿下。俺が見ても惚れ惚れする悪役顔ですね。」

 呆然自失状態のもと執政官殿が、従者達に丁重に送り出されて数拍。不意に響いた拍手の音と、笑みを含んだ爽やかな声音に、レスト様の眉間に皺が寄った。

 この国広しといえども、この方にこんな顔をさせられる御仁は多くはない。そして予想にたがわず、入ってきたのは秀麗な容姿をした男性だっ…た?

 語尾が疑問系になったのには訳がある。入ってきた方の容姿が秀麗なのは事実だ。予想した方でもある。だがその方…カークランド殿の服装が少々奇抜だった。白に薄い紫のストライプのシャツ。これはいい。私の感覚からすれば多少派手だが、別段構わない。軽く羽織った丈の短めの黒色のベストも普通だ。同色のスラックスも通常のものだ。けれど…、スラックスの上から腰に巻きつけるようにした膝上を覆う巻き布…巻きスカートにも見えるものはいかがなものだろうか。スラックスの上からとはいえ、黒字に鮮やかな紫、ピンク、ミントグリーンで刺繍がしてあるためかなり派手だし、奇抜な部類に入る格好だ。少なくても城をおとなう格好ではない。

いや、似合うか似合っていないかといわれれば物凄く似合っているが。というかこれが似合うのが凄い。美形はいいですねカークランド殿、と、ひがみを込めて遠い目をしてみる。将来を嘱望された若手実業家で人気作家で、しかも美形で女性にももてるなんてどういうことですかレイ・カークランド殿。私に人生を絶望しろといいたいのですか。

けれど、その美形っぷりに何の感銘も受けなかったのか、レスト様は冷たい半眼でもって、入室してきた方を一瞥した。

「ちょっと近衛、室内に変態女装男がいるんだけど。気持ち悪いこと山の如しだからとっとと屋外に叩き出せ」

「あはは、やだなぁ殿下。これはメルクトの少数民族の民族衣装まねただけで、今日は女性衣装じゃありません。それに、それを言うなら殿下のエセ王子様スマイルのほうが数段気色悪いですよ。…だってぇ、アタシの場合はこんなに似合ってるんだものぉぉっ」

 少し高めで艶やかな男性の美声が、ハスキーな女性の美声に切り替わった瞬間、レスト様から凍えるような殺気が飛んだ。延長線上にいた私は震え上がるが、その視線の直撃を受けたカークランド殿は、何故か楽しそうに笑っている。これはもはや、日常とかした光景なのだった。

豪商カークランド家の時期当主であるカークランド殿は、定期的にレスト様のところにやってくる。どうやらレスト様の仕事を手伝ってくださっているようだし、噂に違わぬ才気溢れる方ではあるのだが―――今日のように、男性の服装で来てくださるときはまだしも、時々何故か女装でいらっしゃる。そして、カークランド殿が女装をして来たときのレスト様の荒れっぷりは、それはもう、凄まじい。なにせこの殺気が始終続くのだ。はっきり言って寿命が縮む。ついでにきりきりと胃が痛むのだが、胃潰瘍だろうか。

 なのに何故、あの殺気をうけて楽しそうなのだろうか、この方は。

「気色悪い。出て行け消えろ、世界から」

「ひっどぉぉぉい!殿下のツレナイお言葉で、アタシの硝子のようなハートは粉々よ!」

「世界から猥褻物が一つ減って何よりだね」

「今の今まで猥褻物と会話してたくせにぃぃっ」

 もしかしなくても、それはもと執政官殿のことですか、カークランド殿。

「ドアの前から動かないと思えば、やっぱりアレから逃げてたのか。この卑怯者」

 そしてその“アレ”もと(以下略)ですかレスト様。

「ええぇぇぇええ!?だぁーって、目があったら窓から突き落とすか、すぱっと叩ききっちゃいそうだったんだものっ!ド紫に金に赤にオレンジの上着!じゃらじゃらじゃらじゃら金鎖つけて…っ!あんなのがアタシの視界に入るだなんて、アタシの美意識が許せないわ!!」

 美意識で殺人予告をしないでください、カークランド殿。あなたなら本気でやりそうです。

「まぁ僕も、あの脂ぎったビール樽が両断されたこところで、紙くずほどにも構わないんだけどね。とゆうか、口調直さないならいますぐ出て行け?」

「はいはい。わかりましたよ敬愛なる皇太子殿下」

 ………………………………この御二方にとって、あのもと執政官殿の命は、雑談一つ分以下の価値だったらしい。麗しい貴公子二人の語り合う姿を見て、その時私は心の底から思った。この御二方、怖い、と。





【とある“将来を嘱望された才気溢れる実業家の”のお仕事】

 人払いをお願いしたら、殿下はため息を一つついて、ぴっと掌を横に払った。合図にこたえて、部屋に控えていた従者の人達が音もなく部屋から退いていく。いつものことと言えばそうだけど、あの音の無さっぷりはもはや特技だよね。

最後の最後に、殿下の横に大抵付き添っている近衛の人――あれ?そういえば名前なんだっけ――が、ふらふらしながら扉の前で一礼し、出て行った。あの人、会うたび会うたび顔色が悪くなっていってる気がするんだけど、いつか過労死とかしないだろうか。

心労かなー、殿下の傍にいるのって神経削りそうだし。繊細でか弱い俺には無理そうな仕事だ。

「…何か失礼なことと図々しいこと考えてない?」

「いいえ、なにも」

 不快そうな声をそしらぬ顔で流して、それはともかくと、俺は集めてきた資料を殿下にひょいと差し出した。頼まれていた“仕事”と、その“おまけ”。糸でとじた“仕事”のほうを脇に押しやり、“おまけ”のほうをやる気なさげに幾枚かめくった殿下は、一拍置いてこの上なく愉しそうに笑った。わぁ、悪役全開の顔。一応王子様なのに。

「組合会幹部の不正取引の記録とその契約書ね。身内のはずの組合商人を売り払うとは、酷い商売仲間もいたものだよね?」

 王都の商人を束ねる組合会。その幹部の不正取引ともなれば、幹部自身はもちろん、それを抑えられなかった――実際には容認した――組合長も、重罰は免れない。結果、組合そのものが取り潰され、新たな編成を王家の手で加えられる可能性も高い。そのことを揶揄する殿下に、俺は肩をすくめてみせた。

「あんなものがはびこるから、この都市の小麦の値段は異様に高いんですよ。今は王都…つまりは国王直轄地の権限振りかざして無理をまかり通らせてますけどね。こんな馬鹿馬鹿しいナカヨシコヨシ、その内淘汰されるに決まってます。そろそろ他都市の不満も抑えきれないでしょうし、外国から良質・格安の小麦でも入ってくれば、それこそ一発ですしね」

 王都は流行に聡いぶん、新しいものが広がるのは早いですから。付け加えると、殿下はお行儀悪く頬杖をつく。

「どうせ淘汰されるなら放っておいたらどうだ?うち(王家)にも何件か嘆願書が来ている。長くもって2、3年。それから先は今の専売状態は勝手に瓦解するさ」

「俺の見える範囲で崩したいんですよ。勝手に瓦解した場合、俺でも商品の値の下がり方を掴みきれません。それ相応の商才の無い人間と商家はつぶれるしかなくなります。」

 それほどまでに、今のこの町の商売は異常なのだ。…商家として、組合に名を連ねていれば、それだけで利益を得られるぬるま湯の中で過ごしてきた人間に、逆境に落とされた状態での戦いが出来るわけがない。

 返した言葉に、殿下はくつ、と軽く喉を鳴らした。幼さを残した顔立ちに不釣合いなほどの冷たさで、紅茶色の瞳がすがめられる。

「才もなく、努力もしない輩など滅びればいい。それは僕の持論だし、君もそうだと思っていたのだけどね?――それともまさか、生き抜く自信がないとでも?」

 恐いな、と軽く笑って、俺は肩をすくめて見せた。

「俺は今まで何年かを下町で過ごしてきて、いかに強欲じじいの息子だろうと、世間知らずなだけで心優しいのが何人もいるのを知ってますから。叩けば多分伸びますよ」

「本音は?」

「崩れた後の商家の面倒を、どこぞの王子様に断る余地なく押し付けられて全て一人で見るよりも、叩いて叩いて叩きまくった友人達に助けてもらったほうが楽そうでいいなー、と」

「基本的にやる気ないよね君。まぁいいや。時期を見て王家から公表して諮問会に呼びつけるよ」

「感謝します。殿下」

「しなくていいから馬車馬のように働きなよ」

「イヤです」

 即答したけど、殿下は肩をすくめて見せただけで何も言わなかった。どうせ、いざとなったらあらゆる手段を用いて死ぬまで働かせよう、とか思ってるんだろうな。他国に高飛びしたくなってきた。

 …でもまぁ、

「やっぱり、出来うる限りは頑張ってみせますよ」

「…へぇ、良い心がけじゃないか」

「僕を崇拝してくれる可愛らしい淑女レディたちと、ご近所の皆さんと、母親とすぐ下の妹と、それから愛しい末妹のためにね」

 すっと、殿下の目線が上がり、初めて興味を覚えたような、不思議そうな顔をした。そんな顔をして初めて、年相応の顔になるんだ、この人は。

「そういえば、やたらと溺愛してるよね、その末妹。確かその妹だけ義理だったけ。…どんな娘?」

 その時俺は、酷く緩んだ顔をしていたと思う。自慢の妹のことをきかれて、嬉しくてしょうがないって顔を。

「俺と俺のすぐ下の妹に、あったかいものをくれた子ですよ」

 殿下は一瞬真顔になって、そうか。と言った。そしてそれ以上何も聞かなかった。俺の言葉の中から、何かを見つけ出そうとでもしているように。





追記

【戻ってきた近衛が耳にして、頭を抱えて座り込みたくなった皇太子殿下と将来を嘱望された才気溢れる若手実業家、兼小説家の会話】


「あー、そういえば殿下、俺の新作小説の構想聞きたいですよね?」

「言っても聞かないとは思うけど、全く聞きたくない」

「俺の最新作にして、最高傑作。その名も、灰かぶり姫の物語」

「……はぁ。…灰かぶり《シンデレラ》姫、ね。…それはまた、酷い名前の姫君もいたものだ」

「ちなみにモデルは、うちの末の妹です」

「――――――は?」

「あだ名がシンデレラちゃんなので。まぁ、俺としては本当の名前で呼びたいんですけど、諸事情があって」

「どんな諸事情があれば、妹をシンデレラ呼ばわりする必要が?…君の妹が哀れになってきた。まさかその脳内に溢れる変態的欲望のはけ口にしてないだろうね」

「まさか!今日も夜中にベッドに入って仲良く一緒に寝ていたら、怒鳴られたほどで…」

「いい加減にしないと猥褻罪でしょっぴくよ変態」

「えー?やだなぁ殿下ったら。……わかりましたから捕縛状製作し出さないで下さい。まぁその話はこっちにおいといて。あらすじ、聞きたいですよね?」

「……聞くから出て行け」

「あ、やった。舞台はこの国なんですよ。しかも時代は正にいま、この時。モデルは我が家です。早くに母親をなくした少女が継母と二人の義理の姉にいじめられ、日々涙に濡れてすごしているところからはじまります」

「城に来るたびのお前の発言を見るに、君は末妹を溺愛していたと思うけど?というかさりげなく姉妹と言うな」

「すぐ下の妹も、シンデレラちゃんのことは可愛がってますよ。俺は“生理的に受け付けない”と拒否られてますが」

「激しく同感」

「酷いな殿下。まぁともかく、お城で王子様の結婚相手を見つけるパーティーが開かれても、継母は彼女に家事を言いつけ、二人の姉を引き連れてお城に行ってしまいます。それでも健気に家事を頑張るシンデレラの前に、名付け親の魔法使いが現れ、彼女に魔法のドレスをくれます。喜ぶシンデレラに、けれど魔法使いは言いました。“魔法が続くのは12時の鐘がなり終わるまで。それまでには必ず帰ってくるのよ”、と」

「何でそんな中途半端な魔法かけたのさ、魔法使いは」

「だって男は狼なんですよ?うちの可愛い末妹が、理性を失った王子に襲われて食われたら困るじゃないですか」

「………その理性を失って襲い掛かる馬鹿王子は役柄的に僕なんだけど?」

「細かいことを気にしたら負けです王子様。まぁともかく、シンデレラの魅力にころっといった王子様は、彼女を見つけ出そうと都中を探し回ります。どうやって見分けるかは未定ですけどまぁ適当に」

「君はよっぽど僕を、女を追いかけまわす馬鹿王子にしたいわけだ?」

「気のせいです、王子様。ってゆうか殿下。で、色々紆余曲折あって、シンデレラは王子様と結婚して幸せになったのでした。めでたしめでたし。って感じですね」

「一晩話しただけの女を、権力乱用してまで追いかけて捕まえる女好きな王子なら、浮気は結婚後もし放題だろうね。幸せは短そうだ」

「夢のないこと言わないでくださいよ殿下。ああほら、近衛の方が戻ってらっしゃいましたよ」

「ああ、この変態がもう帰るそうだから、城外に放り出…何頭かかえてのたうってんのさ君は?」


あれ…シリアス…?シリアス風味…?駄目だ。王子様と「姉」を組ませるとシリアス風味になる…。何故…?


えー、そして王子様の性格は見ての通り悪いです。そしてさりげなく、シンデレラより年下設定となってます。

シンデレラ・16~17歳 王子・14~15歳 「姉」(性別的に間違ってるほう)・20~21歳ほど、です。


嫌味なやつらですよね、この二人…。

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