第十四章 灰かぶり姫・綻(ほころ)び
…昨日書いていたら、またもワードがフリーズして、書いてた半分ほどが吹き飛びました…。
ご忠告いただいたのに学習できない作者です…。そして投稿が遅くてすみません…。
『では、今日の会談はここまでにしましょう』
愚にもつかない交易の些末な改定案を手に言うと、幼さを残した王子と、彼の隣で会談につきそっていた教授家の紋章の顔覆いをした娘…恐らくはイエーガーの姫君が、ほっとしたように肩の力を抜いた。
そして、緊張が解けたようにようやく微笑むレスト殿下に、安心させるように笑いかける。
『長い時間拘束してしまい、申し訳なかったな』
『…いいえ。僕も、勉強になりました。ありがとうございます、マルス殿下』
『いいや。…だが、最終日には少し大きな案件もある。良くお休みになられることを』
『…大きな案件?…なんでしょうか…?
『緊張をしないでいただきたい。今回はこちらから、そちらにも利益あるお話をお持ちしたのだから』
こつん、と指先で、胸元に飾られた黒石を弾くと、緊張したようだったレスト殿下の顔が、不思議そうに変わる。そのいとけなさに、私は心底の親しみを込めて小さく笑った。
そのいとけなさと、愚かしさに。
「…物価が思ったよりも上がっておりませんね」
「…恐らく組合会からの資金で、物価の上昇を抑えているのだろう。こちらに寝返った奴らに連絡が取れないことを考えると、裏切り者の資産を取り上げたのだろうな」
「…ですが、利に聡い商人が、言われるままに従うでしょうか?」
「奴らは所詮この国の人間だからな。国を売ったと暴露されれば、国内での一切の販売ルートを失うことになる。…国を売った事実を隠蔽することを条件に、脅して従わせたのだろう」
まったく小賢しい。と、不快さのままに吐き捨てて、そして、手に持ったグラスをく、と呷った。
澄んだ琥珀色をした極上の酒は、しかし、酒豪たる私の頬を染めることはなく、ただ、心地よい酒気となって喉を下るのみ。
全く、という風に頷いた従者であるトゥラードが、無言のまま、すぐさま酒を注ぎ足す。
「あの王子は聡明ですが、素直すぎますので、レイ・カークランドの策でしょうな」
「だろうな。全く、難儀なものだ」
ふ、と一瞬、あの聡明と呼ぶには素直すぎる王子の顔に何かの歪みを覚えたが、それを打ち消して、新たな酒に口をつける。どうでもいいことだ。今、私がすべきことは、目の前にある身の程知らずな敵…金髪の軽薄な商人、レイ・カークランドを叩き潰すことだけなのだから。
そして私は、銀面に映る完璧な美貌へと、視線を走らせた。
「―――――ところで王子殿下」
「なんだ、トゥラード」
「…右手に持っている鏡をお放しください」
「何故だ。この私の輝かしい美貌から目を背けるなど、宇宙の大罪だ」
返事はあったものの、今までの会話中一度たりとて鏡から視線を外すことのなかった第一王子殿下の目線は、やはり手鏡から離れることはない。
ちなみにこの手鏡は、細い革紐で複雑な文様を編み、合間合間にルビーやダイヤモンド、そして『黒牡丹』を配した土台に鏡をはめ込んだ、一流の職人の技が光る逸品だが、この方が見ているのは当然の如く鏡の面…つまるところ自分の顔である。
今までの会話中。付け加えるのならその前から。
「…いえですからクリームはとれていますので。1日立ったのに取れてないわけはございませんので鏡を見る必要はございません」
「クリームがとれていようといるまいと、私の美しさから目を背けるなど人間に出来るわけがない」
………………そうだった。先日の出所不明コーヒークリーム直撃を受け、かつ件のレイ・カークランドにそれを目撃されたこの方は怒り狂ってはいたが、それを一時間以上引きずるような繊細なお心とは無縁なお方だったのだ。現在進行形で鏡映りの角度研究をしているようなお方なのだ。
「ふっ、我ながら罪な美貌だ」
……時々思うが、このお方本当はもしかしてひょっとして馬鹿じゃなかろうか。…いやいやいや、この方はうちの国の第一王子殿下で女性からの人気もべらぼうに高くてかつ能力もおありになる自慢の王子なのだから、そんな訳が…、
「月女神、今日も私は美しい」
「……………」
……………やはり阿呆かもしれない。
ちなみにディアナは王子の恋人の名前でも何でもなく、ロワナにおいて、月と魔性の美しさをつかさどる女神の名前だ。
ここで言う意味を私に聞かないでほしいものだ。解らないし正直解りたくもない。…と言うか人の話を聞く気はないのかこの野郎…ではなくこのお方。
「…そういえば、レイ・カークランドにおくった奴等はどうした?」
「脅しをかける間もなく撒かれたそうです」
「当人には脅せぬか。では、奴の周囲の人間を傷つけろ」
「なっ…」
さも当然のように言われた言葉に絶句する。けれど、王子は意にかいすることなく、目線も未だに鏡から離れない。
「手下のものを使うなよ?ばれたときに面倒だ。町でやくざ者でも雇え」
「おっ…お待ちくださいマルス殿下!」
「何だ」
「いきなり他国のものを…それも直接の政敵でもないものを傷つけるなど、ゆるされませぬ!」
自分だとて、これが国家の大事であれば反論などしない。例えこれが、罪なき100人の娘を殺してこいといわれようとも、従う覚悟はとうにできている。だが、これは違う。これは、勝たねばならない勝負ではない!
「何故だ?」
「…何故と申されても…」
「この私に不快な思いをさせたのだぞ?相応の罰があって当たり前ではないか」
不思議そうな声に、先ほどまでの間抜けな空気は消え去り、かわりに背筋がぞっと凍った。
ああ、この王子は、いけない。
この王子にとって、国家の大事も小事変わらない。いやそれどころか、手慰みのためのチェスやブリッジの勝敗とすら、変わらないのだ。ただ、負けることが許せない。どれ程瑣末なことだろうと、自分の上を誰かがゆくのが許容できない。全力で、叩き潰す。
それはある意味、理想的な王者の気風とも言えるのかもしれない。だが…この王子の思考には、行き過ぎという観念がない。
今回、自分達が販売をしたい『黒牡丹』。それをより高価に売りつけるために、相手国の物価を上げて、貴族の購買意欲を上げるという考え自体は悪くなく、むしろ、「良い」と思ったからこそ、国の者達も、その強引さに気付きながら、それを許した。この王子ならば、そつなく圧力を隠し通すと考えたからでもある。
けれど、
『黒牡丹』はそもそも法外なほど高価な品だ。値段の上昇を図らなくても、充分にこちらに有利な取引足りうる。向こう…レイ・カークランドにしろ、王都組合会にしても、こちらへの譲歩の証として、既に上がっている小麦の値段を下げようとまではしていない。
この取引の勝者はこちらだ。例え一端を抑え込まれようと、その結果は変わらない。だからこそ、レイ・カークランドなどという、所詮は一介の商人のことなど放置して構わないのに。
この王子には、それがわからないのだ。
(ああ…)
この王子が王となれば、絶対的な君主となるだろう。けれど、そこには一切の反対意見も新たな発想も生まれることはなく、そしてこの王子が一瞬でも隙を見せれば、周囲の人間に屠られることになる王宮をつくるのだろう。
このお方は他国のものから皇太子として目され、ご自身もそれをあえて否定なさろうとはしない。しかし、事実それに最も相応しい血筋と能力を持ちながら、このお方は正式には「ロワナの第一王子」ではあっても、「ロワナの皇太子」…つまりは時期国王だとは明言されていない。
聡明で民からの人気も高い第一王子を、何故公式に皇太子として立てないのかと聞いた自分に、王が苦く笑って、「あの息子の傍には、誰がはべること叶うのだろうな?」と問い返した王の声が、よみがえる。
「王子にブラックオパールのことを切り出そうにも、あの小賢しい奴に動かれては面倒だ。すぐにでも同行者でも傷つけさせて脅しをかけておけ。この私に逆らったことを、そして己の卑小さを、思い知らせるためにもな。―――やくざ者の数人など、金でも渡せば今すぐにでも見つかろうよ」
「………」
「どうした?トゥラード。何か不都合があるか」
「…いいえ。仰せのままに従います」
鷹揚に頷く第一王子殿下から、礼にかこつけて目線を外す。…ああ、この自分も。幼少のみぎりからこのお方におつかえして来た自分にも、この方を諌める言葉は口に出来ない。この無邪気なほどに残酷なお方の不興を買うことが、恐ろしい。
『あの息子の傍には、誰がはべること叶うのだろうな?』
ああ、陛下。おそらくそれは、今のままでは誰一人、叶わぬのでしょう。
こそり、と覗き込んだ執務室に、レスト様はいなかった。それに安心して、入り口の脇のチェストに、持ってきた籐籠を置いて扉を閉める。
一安心、と息をついたとき、後ろにいた人が穏やかな声を上げた。
「だいじょうぶでしたかー?スィリスお嬢さん」
「オーベールさん。ありがとうございます。すみません、お付き合いいただいて」
皇太子殿下直属の近衛隊長の1人…つまりはとても高位の人だと発覚したオーベールさんは、けれど、相変わらず気安い態度で私に接してくれる。
オーベールさんは本当に親切な人で、現在、あのロワナの王子殿下との会談で多忙とお聞きしたレスト様にお菓子を届けにきた、という、我ながら物凄くどうでも良い用事に付き合ってくれている。本当にありがたい。むしろ申し訳ない…。
「いいえー、いいんですよー。レスト様も、喜びますからー」
「だと、いいのですけれど…」
「勿論ですじゃ!このように可愛らしくも可憐な乙女から、手作りの、手作りのぉぉおおお!…お菓子を贈られるとは何と羨ましくも恨めしい!じぃは羨ましさに涙が…涙が出ますぞぅ」
「…今何処から…いえ、そうではなくて。あ、あの、多めにお作りしてきましたので、よろしければ、お食べください…」
「なんとぉっ!!?このじぃにまでですかのっ!?おおう何たる光栄。――――どーじゃオーベール、羨ましかろう妬ましかろう!」
「わぁ、いいですねー。羨ましいですねー」
明るいなぁ、この方たち。ダールトン将軍は、私の警護を担当してくださっている方らしいのだけれど。この国でも有数の権威であられるはずなのに、この軽さはいったい…。
それにしても、ダールトン将軍そもそもどこから出てこられたんだろうか…?いや、この方々は軍人で、私はただの小娘だからわからなくてもしょうがないの、だろう。そういうことしよう。気にしたら負けだ。
「…オーベールさんの分も、あります…」
「わぁ、わたしもですかー?ありがとうございますー」
「いえ…」
「ぬぅ!?上司に遠慮せんかい、オーベール」
「え、だって美味しそうですしー」
いえ、美味しくありません。あくまでも手作りのレベルです。優しい方達だから言ってくれていることはわかっているけれど、微妙にいたたまれない…。どうしようか、とりあえず、もっと料理の腕を上げよう。練習しよう。
「見つけたわっ、アタシのマイっ・スウィートっ・シンデレラちゃぁんっ!!!」
うん。もう、なんて言うか…もうこの人たちいきなり背後から現れるの止めてくれないだろうか本気で。
どんっという衝撃。そして、足元の白と薄灰色のストライプのロングスカート。ああ、今日はそっちなんだ。
「痛いです重いです離して下さいお姉さま」
「あらヤダ女の子に重いなんて言ったらイヤよ。あたしのガラスのようなハートは粉々だわ!」
ですからあなたは性別的には男性です。それ以前に、全力でタックルされればどれだけ体重がかるかろうと重いし痛いんです。更に付け加えるのなら、全然まったく傷ついてるようにも見えません。
非難をこめた目線に、「いやーんこわーい」とか言いながら、やっと体が開放されて、小さく息をつく。
振り返って見上げた先。予想通りと言うか確信したまま、金色の髪をてんこもりのピントビーズ細工とで芸術的に結い上げたお姉さまが悪びれることなく立っていた。
…珍しいことに、今日はど派手ピンクのドレスではなく、上はシンプルな黒のシャツに、下は白地に細い紫の、足首まで覆う…なんだろう、オーバースカート…?という格好だった。
ちなみにいつもに比べればシンプルではあっても、目元にお化粧はしているし粉はたいてるしで、思いっきり女装だ。なのでお姉さまであっている。
「今日はドレスじゃないんですね?」
「急ぎだったから動きやすさを追求したのよっ。衣装がどうであれ、アタシの美しさの前には無意味だわっ!」
ならいつももう少し大人しい色を身につけてください、とは、多分むだなので言わないことにする。
「はぁ。…なんでわかったんですか?私だって」
今の私は背中側を壁に、正面をオーベールさんとダールトン将軍と言う大柄な二人に囲まれていたはずなのだけれど。
「このアタシがシンデレラちゃんの香りに気付かないワケないじゃない」
「……」
さも当然のように言わないで下さいお姉さま。
…念のために言うと、私は何の香水もつけていない。…まさか本当に匂いでわかったとは言わないけれど、お姉さまが言うと本気っぽくて嫌だ。
半ば現実逃避に走っていた私の横で、ダールトン将軍が嬉しそうに声を上げた。
「おーおーおー!カークランドの若…」
「いやん将軍。カークランドの“嬢”ですっ」
「おーおーおーそうじゃったそうじゃった」
あっさり受け入れるんですね、ダールトン将軍…。そしてオーベールさんも指摘しないんですね…。
普段からこの格好で、城の中まで上がりこんでいるのだろうか、と考えると、知らずに目が遠くなる。
「あのーカークランドさんー」
「あら何かしら、近衛さんその2の方!」
兄様…それもしかしてオーベールさんのことですか?なんですかその、いかにも「名前を全く覚えていません」と言った感じの呼び方は。失礼にもほどがあります。
「レスト様が女装で女口調で城内にいたら叩き出せって命令をうけてしまってるんですけどー」
「あらヤダ殿下ったら照れ屋サン。見逃してくれたりしないかしらっ?」
「レスト様怒ると怖いんですよー」
「えーけちねっ殿下ったら。…しょーがないなぁ」
わざとらしく溜息をつく声音はもう男性のもので、そして腰の脇についている金具に触れた兄様がそのまま手を引くと、長く幅の広い布がずらずらっと外れて、下に穿いていたらしい、シンプルな黒のスラックスが現れる。ついで盛りだくさんのビーズを次々外して数本のピンで前髪を整え、目元の化粧などを手早くぬぐうと、そこにいたのはもうお姉さまではなく、兄様だった。
…と言うか、
「ありなんですか、そういうの…」
「アリなんです。こーゆーの」
ぼそっとつっこんだ声に、上機嫌に笑った兄様が、ばさっと私の肩にそれをかぶせてきた。…いいのだけど。かなり大ぶりだけど、ストールとして使えなくもないし、いいのだけど。
あ、生地がさらさらで気持ちいい。
「それはともかく、若はロワナに行くのですじゃろ?殿下からお聞きしたのですじゃ」
「…ええ。日帰りとか短かすぎますよねー」
(…え…?)
あっさりとこたえた兄様に、言葉を失う。ロワナに、行く?今、兄様は、ロワナに行くと、言ったの?
…だめだよ。だってロワナは。
『忘れて』
(っ…なに…?)
一瞬頭を走った小さな痛み。…違う。今はそんなことを気にしている場合じゃない。だって、今、兄様は。
「兄様、ロワナに行くって…」
「ロワナの名産は何でしたかのぅ」
「荀果じゃありませんでしたっけ?俺は甘さが強すぎてそこまで好きじゃないですけど、お土産買ってきますよ。待っててくださいね。将軍」
「ほぉーうっ?何と何と、楽しみな申し出ですのぅ」
まるで当たり前のことのように、会話はさらさらと流れて行く。楽しげに会話する兄様たちを見上げて、私は湧いてくる暗い不安に、無意識に胸元を握り締めた。
「さてっ、シンデレラちゃん、寄って行きたいところとかあるかしらっ」
「…いえ、特には」
「アタシは古書店に本をとりに行きたいの。付き合ってくれると嬉しいわ」
「構いません」
こたえて、兄様兼お姉さま御用達の、あやしげな古本屋さんに行くための近道(これまたあやしげな路地裏)を曲がる。狭い路地裏。こつこつ、と硬い靴音だけが響く。
路地裏が薄暗いからか、ふと肌寒さを感じて、ショールがわりに羽織ったもと・兄様の巻きスカートを胸元でかき合わせた。
そのまま、無言。こつ、こつ、こつ、こつ。
あれからダールトン将軍とオーベールさんと別れて、こうして家に帰る道すがら、私はほとんど口を開いていない。けれど、町の雑踏ならともかく、こんな静かな場所ではそれはいかにも不自然で。頭から外したピンをくるくると回して遊んでいたお姉さま…いや、(口調こそふざけたように女性のままだけど、男装だから)兄様は、私の顔を覗き込むように首をかしげた。
「もぉう、シンデレラちゃん、そんなに暗い顔をしちゃイヤよっ。乙女たるもの、心にはいつも花束を、瞳には常に星空を、そして声には百万の鈴の音をもたなくちゃダメなのよっ!」
「そんなうるさそうな声は嫌ですお姉さ…あの…」
「あら?なぁにかしらシンデレラちゃん?」
「……兄様」
「…うん、何?」
迷って、それでも兄様を呼ぶと、兄様は静かに立ち止まった。
つられて足を止め、見上げた先。真っ直ぐな瞳がこちらを見下ろす。静かな、深い菫の瞳。見ていて辛くなるくらい、真摯な色。
「ロワナに、行くって」
「うん。言ってなくて、ごめん。…でも日帰りだから、すぐに帰ってくるよ。人使い荒いから、殿下は」
「そうじゃなくてっ」
私はけして聡明ではないけれど、兄様たちが動いていることと、ロワナの王子様が無関係だと思うほどには鈍くない。なのに、
確かに私は、兄様のやろうとしていることを聞かないと決めた。だけど、兄様、あなたは…。
「そうじゃ、なくて…。兄様、危険なんじゃないですか?兄様は、…ロワナは、今…」
「大丈夫だよ」
どくん、と、心臓が鳴った。
ああ、言われて、しまった。今は、絶対に言われたくない言葉。見たくない表情。思わず足が無意識に兄様から距離をとり、靴の裏がじゃり、と地面をかむ。
シンデレラちゃん?と、気遣わしげに伸ばされた掌を拒否するように、激しく首を左右に振った。
「…シンデレラちゃん?」
「…危険、なんですね」
兄様のきれいな目が、動揺を映してほんの少しだけ揺らぐ。
ねぇ、兄様。あなたは気付いていますか?あなたは私に嘘をつくとき…、
こつこつこつこつ、がっ、がっ、がっ!
「え…?」
思考をさえぎったのは、人の荒い足音。すぐ目の前にせまった大柄な体と、その人の手に握られた鈍い銀色の光。
「スィリス!」
珍しいほど荒立った兄様の声を感じた瞬間、私の視界は真紅に染まった。
「遅筆」って、改名しようかと半分以上本気で思っています。…すみませんごめんなさい遅筆でごめんなさい穴に埋まりたいですむしろ誰か私を生き埋めにぃぃいいいいい!!!(錯乱)
すみません。取り乱しました。はい、更新です。そして次回あたり、兄様がちょっと、ちょーっと壊れます。主に性格的に。…もし、読んでいただければ嬉しいです!
そしてそして、読んでくださった方、その上お気に入り登録をしてくださった方!皆様本当にありがとうございます!作者が書いていられるのは、全て皆様のおかげです!ありがとうございます!