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枕返し vs アップデート⑤

「ね……? ずっと此処にいてくれる……?」

「うん……」

「ふふ……嬉しい。現実なんか忘れて……ね? 此処にはあなたを悪くいう人も、いじめる人もだ〜れもいないわ。みんな消しちゃったもの。み〜んな、あなたの思い通り。素晴らしいことだと思わない?」

「うん……うん」

「嫌なことがあったら、アップデートして消して仕舞えばいいの。弱い部分も、醜い部分も……最初からなかったことにしちゃえば、関係ないわ。ずっと此処で楽しみましょう。夢の世界を……」

『うふふ……♡』

『うふふ……♡』

「楽しんどるようじゃのう」

「あ……コックリさん」


 ますます広がる白い湯気の中から、見知った顔が現れた。しかし、いつものこぢんまりとした姿ではない。八頭身のglamorous・BODYを見せびらかし、コックリさんが笑った。


「良かった……やっぱりちゃんといたんだ……」

「これがワシの真の姿よ」

「そうなんだ……すごいね」

「フフ。どうじゃ? この世界は気に入ったか?」

「うん……うん。すごく気に入った……」

 上手く呂律が回らない。さっきからもう、後ろから前から、すごいのだ。

「それは良かった。ずっとそのままぼんやり夢見心地で、このワシの養分になると良いぞ」

「何か言った……?」

「何もォ。ホホホホホ!」

 身体中がかあっと熱く、頭がぼんやりとして、ぼくはもう何も考えられなかった。ただコックリさんの笑い声だけが、頭の中に響き渡る。


「ささ。お主ら、風邪引くぞ。恥ずかしがってないでもっと近う寄れ」

「コックリさん……あのね」

「どうした?」

 大人の顔をしたコックリさんがニンマリと笑った。


「何が望みじゃ? 何でも言うて給う」

「あのね……コックリさん……」

「何でも叶えてやるぞ、なんせ此処は、お主の夢の中じゃからのォ! 捕捕捕捕捕(ほほほほほ)!」

「コックリさん……笑い声、違うね?」

「何?」

「あなた……だれ?」


 コックリさんがぴくりと体を強張らせた、その時だった。


「おっとォ〜ッ! 今話題の※※※現場発見〜ッ!」


 真っ白に染まった浴場の中に、突然嬉しそうな声が響き渡った。


「誰じゃ!」

「同意のない※※※は、こりゃ立派な犯罪だよなぁ〜ッ! 怪怪怪怪怪! イタイケなガキたぶらかせて、こんな処でなァにやってんだテメーら、えぇ!?」

「どうしてワシの領域に……!?」

「決まってんだろ。悪いことしてる場所には、必ず悪人がいるモンなんだよ」

「あなたは……!」


 白煙の向こうで、ふわふわのアフロが揺れている。恐らく新調したのだろう、毛並みがいつもより艶々としている。


「おい坊主。ちょっと目を閉じてろ」

「どうして……?」

「何をする気じゃ!?」

「決まってんだろ」


 なまはげのオッ……お兄さんが、ニヤリと笑った。


「小学生にはちょっと見せられないこと♡」



 ……かくしてなまはげのオッ……お兄さんは偽コックリさん達を倒した。様々な制約によって、詳細をお伝えできないのが誠に残念である。



「悠介!」


 無事元の世界で目を覚ますと、寝ているぼくのすぐそばで、ワッと3人が湧き上がった。


「無事か!? 何か非道いことされなかったか!?」

『良かった! ずっと鼻血が止まらないから、もう死んじゃうかと!』

『ったく、このポンコツ狐がよぉ。お前は毎回、どっか抜けてるよな』

「何じゃと? 無事戻って来たから良いではないか。お主こそ、今回は役立たずだったくせに」

『ンだとォ?』


 帰ってきた途端、ぎゃあぎゃあと煩い社の中に、ぼくは横になったまま思わず吹き出した。


「む?」

「そうだね……やっぱりそうでなくちゃ、ね」

「何がじゃ?」

「ううん……ごめん。無理やり良い方に変えなくても……コックリさんたちは、やっぱりそのままでいて欲しいなって、そう思っただけだよ」

「そうか……うむ。まぁ、分かってくれたのなら良いんじゃが」

『ところで、向こうでどんなことされたんですか?』


 こいしさんが不安そうに顔を覗き込んできて、ぼくは凍りついた。


『私たちずっと、心配してたんですよ?』

「え? えぇっと……そのぉ……」

『おう、そうだよ。怪我はなかったか?』

「いやぁ……あのぉ」

『どうした? 顔が赤いぞ? まだ熱があるんじゃないか?』

 ぼくが目のやり場に困っていると、なまはげがあちらの世界から遅れて帰って来て、ニヤニヤ笑った。

「お前途中から、うっすら目ェ開けてたよな?」

「なまはげさん!」


 それからぼくらは怒髪天を突いた3人に散々追い回され……ぼくは危うくなまはげと一緒に封印されそうになった……怪異の忿怒は三日三晩続いた。

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