犬も歩けば
アイスの当たり棒を連想してしまう。
翼をはやせば飛べるかもだが
撃ち墜とされちゃあ かなわねえ
ひれをはやせば泳げるだろうが
波にのまれちゃおしまいだ
こうなりゃおいらは地に足つけて
崖にも水辺にも近寄らず
たいらな道を歩かせてもらうぜ
でこぼこのない退屈を
ありがたがって生きるとするよ
ところがよお
翼も ひれもはやさずに
たいらな道を歩いてたって
どっかに ささってたんだか
どっかから 投げつけられた棒きれが
あたっちまうこともあるんだってさ
でもまあ そいつはしょうがねえや
それでも おおごとにならねえようにと
翼も ひれもはやさずに
たいらな道を歩いてくんだ
どんなに用心してたって
棒きれひとつあたらずに
生きてくなんてできやしねえ
でもまあ そいつはしょうがねえや
そこまでは おいらもしょうちして
でこぼこのない
たいらで退屈な道を歩いてくんだ
撃ち墜とされることもなく
波にのまれることもなく
そいつがおいらの生きざまだ
あぁ そうさ
どっかに ささってたんだか
どっかから 投げつけられた棒きれが
まれにあたっちまうことまでは
そいつはしょうがねえやって
おいらもしょうちしてるんだが
だけど そいつはよしてくれ
翼も ひらもはやさずに
でこぼこのない
たいらで退屈な道を歩いてまで
おおごとにならねえようにと
危うきを避けて 生きてきたってのに
崖にも水辺にも近寄らず
でこぼこのない
たいらで退屈な道を
ありがたがって生きるてきたのに
その道がまっぷたつに割れちまって
できた裂けめ深くへ まっさかさまだなんて
これじゃあ ほんとあんまりだ
こんなことになるくらいなら
四つ足で地にしがみつく
犬ころのままでいたりせずに
翼や ひれをはやしときゃよかった
そんなふうに 悔やまれるのは
これまでのおいらの生きざまが
ずいぶんとみじめになるもんだから
だれにともなく おねがいさせてもらうぜ
どうか そいつはよしてくれ
たのむよ そいつはよしてくれ