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浦川 日歌里ノウラジュウニシ【side:U】

犬も歩けば

作者: 歌川 詩季

 アイスの当たり棒を連想してしまう。

 翼をはやせば飛べるかもだが

 撃ち()とされちゃあ かなわねえ


 ひれをはやせば泳げるだろうが

 波にのまれちゃおしまいだ


 こうなりゃおいらは地に足つけて

 崖にも水辺にも近寄らず

 たいらな道を歩かせてもらうぜ

 でこぼこのない退屈を

 ありがたがって生きるとするよ



 ところがよお

 翼も ひれもはやさずに

 たいらな道を歩いてたって

 どっかに ささってたんだか

 どっかから 投げつけられた棒きれが

 あたっちまうこともあるんだってさ


 でもまあ そいつはしょうがねえや

 それでも おおごとにならねえようにと

 翼も ひれもはやさずに

 たいらな道を歩いてくんだ

 どんなに用心してたって

 棒きれひとつあたらずに

 生きてくなんてできやしねえ


 でもまあ そいつはしょうがねえや

 そこまでは おいらもしょうちして

 でこぼこのない

 たいらで退屈な道を歩いてくんだ

 撃ち()とされることもなく

 波にのまれることもなく

 そいつがおいらの生きざまだ



 あぁ そうさ

 どっかに ささってたんだか

 どっかから 投げつけられた棒きれが

 まれにあたっちまうことまでは

 そいつはしょうがねえやって

 おいらもしょうちしてるんだが


 だけど そいつはよしてくれ

 翼も ひらもはやさずに

 でこぼこのない

 たいらで退屈な道を歩いてまで

 おおごとにならねえようにと

 危うきを避けて 生きてきたってのに


 崖にも水辺にも近寄らず

 でこぼこのない

 たいらで退屈な道を

 ありがたがって生きるてきたのに


 その道がまっぷたつに割れちまって

 できた裂けめ深くへ まっさかさまだなんて



 これじゃあ ほんとあんまりだ

 こんなことになるくらいなら

 四つ足で地にしがみつく

 犬ころのままでいたりせずに

 翼や ひれをはやしときゃよかった

 

 そんなふうに 悔やまれるのは

 これまでのおいらの生きざまが

 ずいぶんとみじめになるもんだから

 だれにともなく おねがいさせてもらうぜ



 どうか そいつはよしてくれ



 たのむよ そいつはよしてくれ

 次回、交換する前に、なくさないように!


挿絵(By みてみん)


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【同一課題作品】
星の中身は甘い夢
作者:日浦海里先生
― 新着の感想 ―
[一言] どんなに慎重に行動しても、防げない時もあるので悲しいですよね。
[良い点]  のんびりと穏やかな日常が一番。  でも、大なり小なり災難は突然に降ってくるものですよね。  器用に避けて通ることができるのなら、それに越したことはないですが……。  土台自体が危うくな…
[一言] 死と天災は生きている限り避けられないもの 天災の方は必ず遭うとは限らないですけどね
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