2章 第二十八話 チンピラの最後の日
遅くなりました。本日二話目です。
難産でした。頑張って描きましたが、少しホラー風になってしまいました。
ザマぁ回です。
今後もよろしくお願いします。
日も落ち、草木が眠る時間
「やっと、俺たちの番か、先に攫えなかったが、収納の腕輪を奪って仕舞えばこっちのもんだな」
チンピラ風の男は、10数人の部下に命令を出した。
「野郎ども、稼ぎ期が来たぜ、依頼は簡単、ガキとメスガキ2匹攫うだけだ。今日はいい酒飲むぞ、こらーっ!」
今まで何度もやってきた“サライ”だ。しかも今回はガキ。部下達も報酬による楽しみを考えていた。
「ボスぅ、チョットぐらい味見してもいいかなぁ、先っぽだけだもいいから」
「ア!壊さなければ良いぞ、壊れたらやべーことになるがな。オメー、そっちか?」
「グフゥ、美少年ガキのSiriは今までないんで」
「そっちかよ」ボスはSiriを隠した。
「いいか、まず俺と後3人で家に侵入するから残りの奴は家の周りを見張れ、馬車に酒ダルは用意しておけよ、憲兵に見つかっても厄介だ、開始は、2刻後だ。良いな、いくぞ」
チンピラ達は、各々現地に向かう。ボスはナイフやら束縛に必要な道具を身につけていく。
「収納の腕輪か、いい金になりそうだぜ」
部下にも言っていない珠の情報。奪って逃げるのもありだな。なんて呟きつつ準備をしていくが、急に眠くなったように、目が閉じて、椅子に座った。
「寝てたか?昨日興奮して寝れなかったからな、でも丁度いい時間だな」
ボスは、再度装備を確認して、ディー達の家を目指して部屋から出ていく。
アジトから少し離れているが、間に合うタイミングでの起床だった。
「ついてるな、これは幸運の女神も味方してくれそうだ」
ディーの家の前には突入する3人が待っていて、
「ボス、全員配置についてます。ターゲットも家から出ていません」
「いい報告だ。よしいくぞ」
とボスがナイフを取り出して、報告した部下の胸を刺した。
「ボす なん で」
口から血を出しながら倒れていった。
残りの二人も気づくと首から血が吹き出して、地面を見ていた。
「俺何してるんだ?」
ボスは血まみれのナイフ、返り血の服、血が滴る手を見た。
「ボス何かありましたか?」
異変に気づいた部下達が集まり出した。
「大丈夫だ。問題ない」
ボスは集まってきた部下に向かってナイフを投げる。次々に投げつけられるナイフは的確に部下達の命を刈って行った。
「何してるんだよ」
ボスは自分が自分でない誰かに操られている感覚に陥る。
気づくと走り出し、次々に部下を殺していく。その動きは最高の暗殺者では無いかと思うほど、素早く、的確に、そして無駄無く殺していく。
数分後にはディーの家の周りは血で染まっていた。
「何で、何で、どうして俺が・・・」
ボスは全身真っ赤に染まり、意識が遠くなっていたが、人の気配を感じ、慌てて無意識に走り出した。
向かった先はどうも自分の家だったようで、2度ノックして、カギが空くの待って直ぐに家の中に転がり込んだ。
「おかえり、アンタって何だいその血は?怪我でもしたかい?」
待っていたのは、女房のようで、ラフな服だが、真人間とは違う雰囲気をしていた。
「怪我は無いから大丈夫だ。チョットとちっただけさ」
事態が分からず、適当に答える。
「ならいいけど、あんま心配させないでおくれよ、このお腹の子の為にもさ」
ボスは、驚き女房の顔を見た。
「やっと出来たのよ。これからはさ、三人になるよ」
ボスは嬉しいと歓喜をあげて、女房を抱きしめた。ナイフを持ったまま。
「アンタ、なにすんだい。嬉しいって言ってくれたのに」
女房は背中から心臓にナイフが刺さっていた。
ボスはナイフを引き抜き、今度は腹に向かってナイフを突き刺した。
2度、3度と繰り返し。
「何してるんだよ、俺 誰だよ。誰がこんなことしたんだよ」
もう息をしていない女房を抱きしめて叫ぶ。
殺したのは間違いなくボス自身の手だ。だけど違うと違う筈だと叫ぶ。
「わかった、夢だ。夢に間違いない。なんて胸糞の悪い夢だ、今本当の俺はアジトの椅子で寝てるんだ。そうだそうに違いない」
ボスはゆっくりと女房を床に置き、家の寝室に向かった。
「ここで寝れば、現実に戻るさ。早く起きてガキども攫わないとな」
ボスは血まみれの服のままベットに横になり目を閉じた。
「グッバイ、ナイトメア」
と呟いて。
ボスは椅子の上で目を覚ました。
「やっぱり夢かよ。タチが悪い」
ボスは椅子から立ちあがろうとするが、立てない。
「何だ、何故立てない」
足を見ると足が無い。膝から下が無いのであった
「なんだよ、なんなんだよ!これも夢かよ」
癇癪を起こすが誰も答えてくれない。
ふとボスの目の前に黒い霧が現れる。
「まだ地獄は始まったばかり、楽しんでよ」
霧の中から男とも女とも年齢すらわからない声が聞こえる。
「誰だ、お前か?俺様の足を奪ったのは」
「クスクス、奪ったって、何を言ってるの?返してもらっただけだよ、ねえ居たでしょ。面白半分で足を奪われてしまって、命すら無くした人が」
黒い霧から声が漏れるが、
「そんな奴覚えてねーよ。早く俺の足返せ」
「そうか、覚えてないのか。じゃ思い出させてあげる」
霧から黒い霧が発生して、ボスの体を包む。
ボスの口から人とは思えない悲鳴が上がる
「嘘だ、アイツは死んだ。殺したはずだ」
息も絶え絶えに言葉を発する。
「思い出してくれた、そうだよ、お前が何の罪もない、善良な人をただ面白いだけで、自分勝手な理由で、足を斬り、苦しむ人姿を見て笑ってた。そして無惨な方法で殺した。」
「お前がアイツなのか?だったら許してくれ。悪気は無かったんだよ。謝るからさ」
必死に頭を下げるが、誠意のカケラすら感じさせない。
「クスクス、僕は私は、その人であってその人では無いよ、ねえ他にも居たでしょ、腕を切ったり、指を落としたり、色んな人に弄ぶ事させたりさ、全部思い出して」
「全部ってお前達は、その時のアイツらなのか?」
「正解。お前に無惨に、残酷に、悲惨に、自己快楽の為に痛ぶられ、辱めを受けて、怨念を持って死んだ者たちだよ」
「何で今更、死んでまで、死んでも出てくるんだよ」
ボスは発狂する。
「そんなの関係ないよ。丁度いいタイミングだっただけで、僕たち私たち俺たちは、運が良かっただけでさ、今から説明してあげる、何が起きるか分かったほうが、恐怖が増すからね」
「嫌だ。助けてくれ、謝るしこれからは心入れ替えて真面目になるからな」
「バカなこと言うね、自分がしてきた事まだ思い出さないの?ここにいる全員が許して欲しいって言ったよね、でも結果は?」
ボスは何も言えない。当たり前である。
「じゃ、これからキサマには全員の痛み苦しみ悲しみを同じように体験してもらうよ、決して終わることの無い、永遠に近い体験を」
「嫌だ嫌だ嫌だ。何故俺様がそんな事しなくてはならないんだ、弱いお前達が悪いんだ。俺様は悪く無い。直ぐに元の世界に返せ。夢から醒させろ」
「いいよ、夢から覚ましてあげる、でもまた眠りについたら戻ってきるけどね、クスクス、いっぱい用意してるから直ぐに戻ってきてね」
ボスは自宅のベットの上で目を覚ましたが、全身の血はまだ乾いていない。
慌てて部屋を出ると、まだ血が流れている女房の体。寝ていたわけで無い。ただ目を閉じたそんな刹那の時間しか経っていない。
「おい、何処が現実なんだ?これは夢だよな、さっきのも夢だよな、早く目が覚めてくれ、気がおかしくなっちぃまう」
答えてくれるものは居ない。
そして家を出て、ただ闇夜を走っていくだけであった。
「クスクス、逃げても死んでも無駄なのに、絶対に逃げられないよ、死んでもちゃーんと用意しているからね。地獄すら生温、歓迎会がね」
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