1章 第五話 妹の為なら不可能は無い
だんだん妹ちゃんが壊れ始めます。元から壊れ気味でしたが、旅に出た事でオープンしていきます。次回はその妹ちゃん視点です
王城に魔法を発動させ、妹を馬ゴーレム(今後馬ゴ)
に載せて、俺は妹が落ちないよう体の前に座らせた。
そして、捕まるよう声をかける前に、(まるでコアラこっちの世界には居ないが)しかりと、ガッチリと抱きついてきた。
正直、馬ゴにではなくて俺に乗ってる?ようなものだった。一応腕が疲れないかと聞くも、「お兄様のにぉい」と掴む力が増し、痛かった。
仕方ないので防護魔法と結界魔法をかけて絶対に、何があっても落ちないように設定し、馬ゴを走らせた。
最初の目的地は隣国の冒険者の国と言われる、多数のダンジョン、魔の森を有するまさに冒険者が集まる国であった。
別にダンジョンや森に興味がある訳でなく、訳ありで未成年、かつ美幼女が比較的安全に身分を作るには最適であったし、ギルド登録しておけば他国に行くのも楽だからでもあった。
冒険者ギルドで魔力登録を行い、偽造など不可能な技法で作られて冒険者カード、その情報は、各国のギルド同士のネットワークにより1ヶ月置きに、隣接した国のギルドへ送られる。
最速で大陸中のギルドに回るのは6ヶ月くらいだと言う。遅いと二年かかるとも言われているが。
登録した国であればすぐに依頼を受ける事が出来るが、隣国で依頼を受けるには1ヶ月待つ必要があった。その為、今回は自国ではなく隣国の登録が必要だった。
通常王都から隣国境界線まで、馬車で10日、早馬でも5日の行程なのだが、俺の馬ゴは疲れ知らず、速度は3倍、多分明日の夕方には国境付近の街に着く予定なのである。
妹が怖がったらすぐさま速度を落とすつもりなのだが、「クンカクンカ」と怖がる様子も無いので、途中にいた業者や旅人を驚かせないよう、隠蔽魔法、気配遮断魔法等を駆使し、最速で隣国へ向かうのであった。しかし妹よ、クンカクンカするのはいいが、お兄様の服は鼻紙ではないからね。
日が大分傾いたので、夕食、野営の準備と思い、野営に合いそうな場所を探す為、速度を下げるが、ここで大事なことに気がついてしまった。
この可愛い妹をテントで寝かす事だ。なんたる失態、兄としてあるまじき行為だ。キチンとした宿で無ければならないのに、野宿とは、兄失格である。
だが、これは妹愛を試す試練なのである。無いなら作ればいい。単純な話だ、俺には魔法がある、知識もある、妹愛は最大だ、ならば、なせない事など何も無い。
俺は未だ、クンカクンカする妹をそのままに街道から少し外れた人目がつかない場所に降り、状況を確認した。気温、魔物、害虫など妹に害すべきものを全て除外と思っていたが、今後のことを考え、以前より考えていた魔法を創造する事とした。
使用魔法は、空間魔法、ゴーレム魔法、錬金魔法、浄化魔法その他12の魔法を混ぜ合わせ、作るは別空間に、トイレ、バス、キッチン、はたまた寝具等を設備した前世での一軒家を模範とした(全ては妹の為に)快適な家を創造した。
この魔法の良いところは、何処で発動しても大丈夫であり、一年後だろうが50年後だろうが、別大陸だろうが同じように住める事だ。欠点は妹が居ないと使えないだけである。完璧な魔法だ。自画自賛だが妹が気に入らなければ意味がないのも事実、その為にはまず、コアラ状態、クンカクンカ状態の妹を地面に下ろさなければならないのだが、俺にそんな過酷な事が出来るか自信は無かった。
お読みいただきありがとうございます!
妹ちゃん可愛い?と思ったり
お兄様がんばれとか、
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