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神殺しの獣  作者: Key-No.92
第三章 訪れる邂逅
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第十二話 悲哀の葬送曲




 緊迫(きんぱく)した状況下、咲弥は最悪な状態に気がついた。

 少し力を入れただけで、左肩に激痛が走る。指先は反応を示してはいるものの、白手(はくしゅ)はまるで動かせそうになかった。


 捕らわれた人達を救うには、シェリアを討つしかない。

 黒手(こくしゅ)だけでも動かせれば、まだ充分に戦えるだろう。

 咲弥は瞬時に悩み、迷い、そして――


「紅羽、まず三人を助けよう」

「了解しました」


 多くは語らなかったが、紅羽は了承してくれた。

 おそらく、咲弥の意図を呑み込んだに違いない。


 シェリアが再び、虹色の魔法陣を描いた。

 咲弥と紅羽は、瞬時に別々の方向へと()ね飛ぶ。

 爆弾じみた音が響き、音速の衝撃が飛んでくる。


「あっ……ぶ……」


 さきほどまでいた場所が、ふと咲弥の視界に入る。

 拳の二回りほどある大穴が、石の地面には残っていた。

 奇跡的にかわせたが、次は上手くできるとは限らない。


「ばか弟子が! わしらに構うな!」


 怒号に近いラルカフの指示に、咲弥は困惑する。

 ラルカフは、口調を同じままに続けた。


見誤(みあやま)るな! 敵は、お主の気持ちなんぞ()まん!」

「ですが……!」

「ばかたれ! それが()()()()じゃ!」


 救うよりも討て――ラルカフは、そう言っているのだ。

 咲弥の気持ちが大きく()らぐ。ラルカフが発言した通り、咲弥の心情をよそに、シェリアが荒々しい攻撃を始めた。


 応戦している最中、咲弥の心に幾度(いくど)となく疑問が浮かぶ。

 救いたい気持ち、護りたい気持ち――

 ふと、天使の言葉が脳裏によみがえる。


『人を――世界を救う必要はありません』


 見知らぬ惑星に、わずかな情報を与えられて放り込まれ、そこで多くの人と出会い、学び、日々を過ごしてきた。

 別に英雄になりたいなど、はなから思っていない。

 救世主になりたいと、そう望んでいるわけでもない。


 ただ、自分の手の届く範囲――大切な人達を、護りたいと願うぐらいは、許されてもいいはずだと結論を出したのだ。

 しかし現状、そんな希望すらも(かな)わないでいる。


「それでも、僕は――どんな最悪な状況であったとしても、護れるなら全力で護りたいんです! 誰に何を言われても! そこだけは、絶対に曲げられません!」


 シェリアが(いばら)を縦横無尽に操り、咲弥へ攻撃を仕掛けた。

 咲弥はわざと攻撃を受け、シェリアの意識を引きつける。


「ぐぅ……」


 奥歯を()み締め、必死に痛みを(こら)える。

 空色の紋様を浮かべ、オドの発生を一時的に()き止めた。


黒爪(こくそう)空裂(からさ)き、限界突破!」


 空を裂く衝撃が、再び捕らわれた者達の茨を断裂(だんれつ)する。

 紅羽が状況を的確に判断して、落下する三人を救出した。

 また奪い取られるわけにはいかない。


「黒爪空裂き!」


 シェリアの本体に向け、通常の空裂きを放った。

 当然、そんなものは茨によって(ふせ)がれる。


「まだだ! 黒爪空裂き!」


 無駄とわかっていても、咲弥は放ち続ける。

 狙い通り、紅羽が脱出するまでの時間稼ぎにはなれた。

 無数の茨が集い合い、大樹を思わせる形となる。

 まるで茨の棍棒とも呼べる代物が、咲弥へ振り抜かれた。


「ぐぅぉあああ!」


 黒手を盾にするが、あまりに力の差は歴然であった。

 咲弥はそのまま、大きく弾き飛ばされる。


「咲弥様」


 背後から可憐な声が飛ぶや、背に柔らかな感触を覚える。

 紅羽が全身を使って、咲弥の体を支えてくれたようだ。

 吹き飛ぶ威力が急激に弱まり、(なん)なく着地する。


「あ、ありがとう!」


 お礼を告げ、縄で囚われた三人の前に素早く移動する。

 茨が、どこから襲ってくるかわからない。

 奪われないように、全神経を集中して周辺を警戒した。


「まったく……ばか弟子め……」


 師の小言が飛んだ瞬間、不意の意思が流れ込んでくる。

 その澄んだ意思は、水の精霊グレイスからであった。


(なん、だ……?)


 これまで、咲弥の声にはまったく応じなかった。

 そんなグレイスからの意思に、咲弥は少し困惑する。

 訳がわからないものの、とにかく空色の紋様を浮かべた。


「水の精霊、グレイス様」


 紋様が蒼く輝いて破裂する。

 散らばった欠片が集い、素早く蒼い魔法陣を生んだ。

 強く輝きながら回転を始め、円の中が蒼く塗り潰される。


 そこから水の精霊が、咲弥達の前へ鷹揚(おうよう)に歩み現れた。

 水の精霊グレイスは、パチンッと指を弾き鳴らす。するとシェリアを閉じ込めるように、清らかな水の壁が発生した。


 中から茨で攻撃しているが、まるでびくともしていない。本来はバリアとして扱う力を、(おり)として利用しているようだ――柔軟な発想に、咲弥は少しばかり驚く。

 グレイスが優美(ゆうび)に、肩越しに目を向けてきた。


「咲弥。即刻、この場から離れなさい」

「え?」

「哀しき者に、時間をかけている場合ではありません」


 唐突(とうとつ)なグレイスの発言に、咲弥は戸惑いを隠せない。

 何を伝えたいのか、その真意がまるでわからなかった。


「なんじゃ、こりゃあ……水の精霊……?」

「あぁ……精霊様……」


 ラルカフとマザーが、驚きの声を上げた。

 ネイと紅羽は目を大きくし、ただ黙って見つめている。

 グレイスに向き直り、咲弥は首を横に振った。


「すみませんが、それはできません」

「まあ、そう言うとは思っていました」

「すみません……シェリアさんを、ほうってはおけません」

「わかりました。では、頑張るほかありませんね」


 呆れたと言わんばかりに、グレイスは首を左右に振る。

 それから、シェリアのほうを振り返った。


(あわ)れな少女に、安らかなるひとときを」


 グレイスが広げた右手を、ぎゅっと握り締める。

 その瞬間――シェリアがけたたましい悲鳴を上げた。


「キャァアアア――ッ!」


 水壁の内側で、無数のレーザーが一斉(いっせい)に放たれたのだ。

 逃げ場のないシェリアは、そのまま貫かれている。

 あまりの出来事に、咲弥は茫然とした状態へと(おちい)った。


「グ、グレイス様……?」

「あとは、(なんじ)らでどうにかしてください」


 そう告げるや、グレイスは空気に溶けるように消えた。

 同時に、オドをごっそりと失った感覚を覚える。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 息切れしながら、咲弥は前を向いた。

 シェリアの体が、また(まぶ)しい光に包まれる。

 すると魔物化が解けたのか、人のシェリアに戻っていた。


「グレイス様の力……?」


 とてもそうは見えなかったが、思ったままを(つぶや)いた。

 咲弥の思考は、シェリアを見てすぐ否定に入る。

 シェリアは体中から、おびただしい血が流れ出ていた。


「がはっ……!」

「シェリア!」


 ネイの悲鳴じみた声が飛んだ。

 いつの間にか縄から()かれたネイが、駆け寄っていく。

 しかしシェリアは、銀のナイフをネイへと向ける。


「来ないで!」

「シェリア……」

「まだ、戦いは……終わってない!」


 ふらりと揺れ、シェリアは吐血する。

 それでも、銀のナイフは下ろさなかった。

 ネイは一歩を前に歩み出る。


「ねえ……もう、やめてよ……」

「あんた達を殺して、私も死んで、カイトを生き返らせる」

「そんなことをしたって、あいつが喜ぶわけないじゃない」


 ネイは(のど)の奥から(しぼ)り出すように、震えた声で説得した。

 赤髪に指を通し、シェリアは両手で頭を抱える。


「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!」

「シェリア! いい加減、正気に戻って!」


「全部、あんたのせいじゃない! あんたが……あんたが」

 目もとから涙を流して、シェリアは金切り声で言った。

「あんたが、カイトを殺したんじゃない!」


「……シェリア……」

「あぁああああああああああっ!」


 銀のナイフを高く(かか)げ、シェリアはぎこちなく疾走する。

 魔物化から解放され、満身創痍となったシェリアの状態を見た。それから、ネイの行動をただ呆然と眺め、どこか気が(ゆる)んでいた事実は否めない。


 もう終わったと、心のどこかでそう勘違いをしていた。

 咲弥は瞬時に、(おのれ)の勝手な意識を呪う。


(な、ん――っ!)


 咲弥は我が目を疑った。

 ネイは両手を大きく広げ、死を受け入れる姿勢を見せる。

 ネイとの記憶、シェリアとの会話、ラルカフの言葉、自分自身の感情――さまざまな思いが、咲弥の胸の中を巡った。


 正解など、きっとどこにもない。

 覚悟など、あるはずもなかった。

 どう考えても、対処が可能な距離にはいない。

 それでも咲弥は、足に全力を込めた。


(ネイさん……!)


 もっとしっかり気を張っていれば、こうはなっていない。ネイが前に進んだとき、自分も(そば)に寄っていれば、あれこれ方法はあった。

 そんなタラレバが、脳裏を通り過ぎる。


 シェリアから受けた傷のせいで、白手は動かせなかった。

 現状、動かせるのは黒手しかないものの、盾代わりにして護るには距離が遠い。とはいえ、空裂きで銀のナイフのみを狙うのは、技術的にも不可能であった。


 時間的な問題から、紋章術での対処もできない。

 シェリアへ向かう紅羽達の姿が、咲弥の視界の端にいる。つまり誰もが、紋章術での対処が不可能だと判断していた。

 しかも紅羽の固有能力は、再使用の時間が経っていない。


 つまりネイ以外の誰もが、間に合わない距離にいるのだ。

 だがネイは目を閉じ、今も死を覚悟して待ち続けている。

 さまざまな思考から、(ひね)りだされた唯一の方法――

 咲弥は黒爪を前へ突き出し、紅羽を向かないままに叫ぶ。


治癒(ちゆ)だ!」


 まず可能か否か、それは咲弥自身にも不明だった。

 これまで一度も、試した経験などない。


 黒白の籠手は、オドを込めれば解放に(いた)り、さらにオドを込めれば、三倍くらいまでは巨大化ができる。

 だから一部分――全体を爪にだけに集中すれば、三倍とは言わず、長く伸ばすことも可能ではないのかと考えたのだ。


 そして――


「ごめんなさい……こうするしか、ありませんでした」


 咲弥はシェリアに、そう謝罪をした。

 思考停止に近い状態で、咲弥は目を()らさずに見据える。


 銀のナイフだけを狙うのは、いずれにしても不可能だ――シェリアの胴体に、長く伸びた四つの黒爪が刺さっていた。爪越(つめご)しに、刺した感触が伝わる。

 純白の紋様を描く紅羽の姿を捉え、咲弥は解放を解いた。


「光の紋章第三節、光粒(こうりゅう)の陽だまり!」


 紅羽が、口早に声を張って詠唱した。

 シェリアの付近に、ちかちかとした光が発生する。

 しかしシェリアは、血を吐き出してから力なく微笑んだ。


「ごめん、ネイ……」

「シェリアァアアッ!」


 倒れていくシェリアを、ネイはとっさに抱きかかえた。


「なんで……どうして……」

「ネイ……」

「つらいなら、言ってよ……苦しいなら、話してよ……私が憎いなら、私だけ狙いなさいよ。私達は家族じゃないの?」


 涙するネイの頬を、シェリアはそっと拭う。


「ごめん……もう、止まんなかった」

「ばか……! ほんと、ばか……!」

「カイトと同じとこ……逝けるかな……? 無理かな……」

「嫌よ……シェリア……あんたまで失ったら、また、私……紅羽! お願い! シェリアを治してあげて!」

「問題ありません。必ず治癒します」


 断言した紅羽の姿に、咲弥は心の底から安堵(あんど)する。

 人生で初めてといえるぐらい、咲弥は脳を酷使(こくし)した。その甲斐(かい)もあってか、シェリアの傷は少しずつだが()えている。

 シェリアは首を小さく振り、ネイの頬に手を添えた。


「ばかね……あんたには……もう――っ!」


 まるで世界が止まったような、そんな感覚に(おちい)る。

 シェリアの胸から突然、黒い影が飛び出した。


 何が起こったのか、何一つとして理解できない。

 わかるのは、ただ――

 言い切るその前に、シェリアはこの世から旅立ったのだ。


「シェリア……? シェリア! 嫌ぁあああ――っ!」


 ネイはシェリアを抱きしめ、大きく泣き叫んだ。

 悲痛な泣き声を聞きながら、咲弥は消失感に満ちる。


「呪いか……あるいは、禁術の代償か……シェリアの奴め、わかっておったんじゃな……まったく、ばか弟子めが……」


 咲弥はまたも、自責(じせき)の念に駆られる。

 事実が何かは、当然わからない。ただもし呪いであれば、白手の異能で、どうにかできた可能性はある。自身にかけたラシャスの呪いは、解呪(かいじゅ)できたからだ。


「どうして……なんで近場ですら、僕は護れないんだ……」


 自分の力不足が、胸を苦しめるほどにつらい。

 途端に、咲弥の背に衝撃が走った。

 ラルカフが叩いたらしい。師は静かに涙を流していた。


「正解なんぞない。一歩、また一歩、足を進めるだけじゃ」

「師匠……」

「ネイは護れた。それが……お前さんが、必死に導き出した答えじゃろ? 結果はどうであれ……目だけは(そむ)けるな」

「……はい」


 咲弥は腕で涙を雑に拭い捨てる。

 しかしとめどなく涙が溢れ、止まることはない。

 不意に、どこか温かい感覚を覚えた。

 シェリアの治癒(ちゆ)をやめ、紅羽の手が咲弥へと向いている。


「左腕、大丈夫ですか?」


 さすがに、気づかれていたようだ。

 紅羽の問いに、咲弥は無言の(うなず)きで応じる。



 紅羽の治癒術(ちゆじゅつ)により、傷を負った体の痛みは(やわ)らぐ。だが(きざ)まれた心の痛みまでは、どうしても消えることはない。

 そしてこれからも、心の傷は増えるだろう。


(ここまで……ネイさんや師匠を(さら)った魔物を見なかった)


 どこにいるのか、または(ひそ)んでいるのかはわからない。

 いずれにしても、被害が出る前に討つ必要はある。

 悲しみに満ちた空間に――突如(とつじょ)、影が異常に揺れ動いた。

 奇妙なぐらい影は舞い踊り、そして一か所に(つど)っていく。


「あぁーららぁ。なあに、失敗してんだか」


 どこか(にご)(よど)んだ、女の声がした。

 集まった影の中心から、人らしき指が突き出た。

 自然と咲弥の目もとが(ゆが)む。

 人型の何かが、影からゆっくりと()い上がってきた。


 女っぽい見た目だが、瞬時に人ではないと理解に及んだ。

 漆黒の角と翼を二つ生やし、肌が異常に青白い。黒い目に紅い瞳を持つ――まるで悪魔を彷彿とさせる容姿であった。


「まったく、やれやれとしか言いようがない……僕が遊びで作った秘術で、事態がどう転ぶのか楽しみにしていたのに」

「なんじゃ……こやつは……」


 ラルカフの(つぶや)きに、影からの来訪者が反応を示した。

 気味の悪い笑みを浮かべ、手を軽く振る。


「初めまして、僕は魔神の配下で――十天魔(じゅってんま)の内の一体さ。なあに、気軽にニギルちゃんと呼んでくれても構わないぞ」


 咲弥は背筋が凍ると同時に、心臓が強く鼓動を始める。

 討つべき対象だと思われる、その配下との邂逅(かいこう)であった。


(十天魔……十……? 僕ら、使()()()()()()……)

「簡単にいうと悪魔? 魔王? うぅん、なんでもいいか。君ら人類に(なら)い、魔人(まびと)としちゃおう。まだ寝覚め悪くてさ、頭が上手く働かないんだよね」


 まるで世間話でもするように、ニギルは声を(つむ)いだ。

 どこか人間臭さを感じる反面、邪悪な気配が(にじ)んでいる。

 本能が危険だと、何度も警鐘を打ち鳴らしていた。


 水の精霊が警告したのは、ニギルのことに違いない。

 ラルカフが、緊張した面持ちで問う。


「魔神……十天魔……?」

「そう。てか、魔神様もお寝坊さんだよねぇ。配下達は結構起きつつあるのに、いまだ揺りかごの中で、お寝んね中さ」


 ニギルの発言に、咲弥は少し驚かされる。

 いまだ魔神は、復活には(いた)っていない。しかし、それでも世界中の魔物達は、呼応するかのように活発化している。

 ニギルはからからと笑った。


「なので、配下達がちょっと頑張ってんだけど……でもさ、僕達にだって、少しぐらいの息抜きは必要だと思うんだよ」

 ニギルは胸の前で、小さく両手を広げた。

「なのに、そのゴミ――失敗しちゃうんだもんなぁ」


 何に対してゴミだと言ったのか、一瞬わからなかった。

 理解するなり、咲弥は胸の奥が潰れそうなほどに痛む。


「魔にはなりきれない、半端なゴミめが。僕の時間を返してほしいよ。まあそれでも、それなりには楽しめたのかなぁ。あーあ……折角、孤児院の虫けらどもをみんな魔に変えて、背を押してあげたのになぁ……」


 咲弥は短く息を呑み、戦慄に打ち震える。

 確かに孤児院での事件は、シェリア自身も困惑していた。彼女の言葉からも、故意(こい)ではなかったとはっきりしている。


 魔人がまるで遊ぶように、子供達を魔物に変えたのだ。

 悪魔を連想させるニギルの顔に、冷徹な笑みが張りつく。


(あわ)れで無能なゴミめが。(うしな)った者を生き返らせるなんか、天の奇跡でもないと不可能……いいや、天にすらも無理か。その憐れさだけは、笑えたかなぁ」


 耳障(みみざわ)りなほど、ニギルは大きく笑った。


 突然――それは、やってくる。

 自分の中にある何かが、ぷつんと切れた音――

 そんな音を、咲弥は確かに聞いた。




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