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神殺しの獣  作者: Key-No.92
第四章 無数にある分岐点(上)
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第三十五話 賢者の原石




 青白い線の流れに従い、咲弥達は遺跡の中間付近にいた。

 黒い外壁にある青白い線はどれも、眼前にある平たい壁にすべて集束している。どの線から辿(たど)ろうと、やがてはここへ到達する仕組みになっている様子であった。


 すべての線が(まじ)わるところに、再び青白い玉が生まれる。

 玉が弾けると音が流れ始め、遺跡は歌いだした。


《ようこそ。我らがアジトへ。ようこそ。僕らのアジトへ。ここが、アジトの入口さ。さあ、合言葉を唱えて、目の前にある扉を開いてみて》

「えっ……扉? 合言葉……?」


 咲弥は目を丸くして、静かに驚いた。

 扉らしきものは、どこを探しても見当たらない。

 さらに言えば、合言葉など知るはずもなかった。

 メイアが眉をひそめ、問いかけてくる。


「そう歌ったのか?」

「あ、はい。でも、扉もありませんし、合言葉なんか……」


 周辺を観察しても、ヒントらしきものは発見できない。


《さあ、合言葉を唱えてくれよ。君になら、わかるはずさ》


 無茶を言ってくれるなと、咲弥は心からそう思う。

 当時の人ならば、簡単に推測できる合言葉なのか――

 資料によれば、少なくとも五千年以上も昔の遺跡なのだ。


 (さか)えていた時代のことなど、咲弥が知る(よし)もない。

 悩む咲弥の隣で、メイアがぼそっと(つぶや)いた。


「合言葉、か……そもそも、このアジトとやらが、いったいなんのために造られたのか、それすらもわからないからな」


 造られた目的が判明すれば、確かにヒントとはなり得る。

 遺跡に関して理解している点は、特定の場所に行けば音を流して歌い、壁に刻まれた青白い線は入口への道標となる。それ以上の情報は、現段階では特に――

 咲弥はふと、胸の中で何かが引っかかる。


「あの……メイアさん」

「なんだ?」

「どうして、この遺跡は僕達……あ、いや……訪れた人を、導くんでしょうか? 勝手な想像ですが、普通なら侵入者が来ないようにするものじゃないんですか?」


 咲弥は悩ましく思い、首を(ひね)って見せる。

 メイアは腕を組んだ。


「当然、罠の可能性は捨てきれないぞ」

「あ、まあ……それも、そうなんですが……そうです、ね」

「何が()に落ちない?」

「いえ……()()()()排除すべきでは? と、思いまして」

「合言葉を間違えたら、罠が発動するんじゃないか?」

「ああ……そう、なん、ですかね……」


 納得はしたものの、やはりまだ何かが引っかかっていた。

 それはいまだ流れている曲と歌が、テーマパークみたいな調子だからなのかもしれない。だからこそ、余計に違和感が強いのだと思われる。


 咲弥はぼんやりとした記憶を、必死に手繰(たぐ)り寄せた。

 最初に聞こえた歌を口ずさみ、ふと疑問を(つぶや)く。


「友……友達……? なんで、友達……?」

《そう。僕らは友さ。合言葉は友――友達》

「えっ――?」


 途端に青白い光の線が、大きな扉の形へと変化した。

 重々しい音を響かせながら、建造物が激しく揺れている。

 メイアが(あわ)てた声を(つむ)いだ。


「お、おい! 合言葉に、失敗したのか?」

「えっ? いや、なんか……正解しちゃいました」

「なんだと……正解はなんだったんだ?」

「友達……だ、そうです」


 怪訝(けげん)なメイアと同様、咲弥も理解不能な心境であった。

 青白く描かれた扉が、悲鳴をあげながら開かれていく。

 内部は漆黒に満ちており、一歩先すらも見えない。


《さあ、来てごらん。僕が待っているから》

「待っている? 遺跡の中に、本当に人が……?」

「おい、説明しろ」


 咲弥は流れた音声を、翻訳して伝えた。

 メイアは戦闘態勢を取り、注意を(うなが)してくる。


「気をつけろ。何が出ても、不思議じゃない」

「……はい!」


 咲弥は黒白を解放して、戦闘準備を整えた。

 そしてメイアと並び、扉の先を進む。

 ほどなくして、咲弥ははっと息を呑んだ。


「なっ、なんなんだ、これ……」


 小さな光の(つぶ)が無数に舞い、色鮮やかな光の線が踊った。

 やがて派手(はで)な演出は、何もなかった空間に、人工的な物を次から次へと生む。まるでパソコンの中にでも入ったような――仮想現実を彷彿(ほうふつ)とさせるものであった。

 そんな感想から、咲弥の脳裏(のうり)にある人物が浮かぶ。


(……これは、クードさんの言ってた……?)


 クードも咲弥と同じく、天使に選ばれた使徒の一人だ。

 雑談まじりに、クードから聞かされた話がある。


 クードのいた世界は、電子に満ちたところだったらしい。実際に見たわけではないが、咲弥がいた世界よりも、遥かに文明の(さか)えた世界だと感じた記憶がある。

 眼前に広がる光景が、おそらくは()()なのだと想像した。


 とても、未来的な世界観――

 とはいえ、まったく理解が(およ)ばないわけではない。

 だがメイアにとっては、驚愕するほかないのだろう。

 メイアは(あわ)ただしく、周囲をひどく警戒し続けていた。


「いきなり物で溢れた……? どうなっている……?」


 原理は不明だが、ぼんやりとした説明ならば可能だった。

 咲弥が口を開きかけたそのとき、またはっと息を呑む。


「やあ。ようこそ、僕らのアジトへ!」


 ほかの人工物と同様、両手を広げた肌の黒い男が、瞬時に形作られた。白衣みたいな(よそお)いをしていることから、医者や研究者といった印象を強く抱かせる。

 メイアが攻撃態勢に入り、(けわ)しい顔で言い放った。


「なぜ、オドが感じられない……お前、何者だ!」


 メイアの声は低く、威嚇(いかく)に近い口調だった。

 男は慌てた様子もなく、物腰はずっと(やわ)らかい。

 それも、そのはずであった。


 もし男に攻撃したとしても、何も意味はない。

 本物にしか見えないが、立体的に表示されただけの映像に過ぎないからだ。


「あの、メイアさん。たぶんこれ、ただの映像です」

「映像、だと……? そんな、ばかな!」

「ああ、安心してほしい……危害を加える気はないから」


 男は両手を使い、なだめるしぐさを見せる。

 それから右へ左へと歩き、人差し指を振りながら言った。


「まず説明しておくと――この建物はね、もとは大陸随一の研究施設なんだ。とても慣れ親しんだ場所だからね。だからここを、最後のアジトにしたのさ」


 (にら)んだ通り、やはり研究者のようだ。

 ただ、最後の――そこが、咲弥の胸にひっかかる。

 メイアが警戒したまま、咲弥に問いかけてきた。


「おい。なんと言っている?」

「ここは研究施設で、最後のアジトだと言ってます」


 咲弥は簡潔(かんけつ)に伝えた。

 こちらの事情も()まず、男の喋りは止まらない。


「あぁあ、そうそう……ちょっと紹介が遅れてしまったね。僕は、パラケルスス」

「パラケルスス――っ?」


 咲弥は驚愕のあまり、声が少し裏返った。

 その人物に、特別詳しいというわけではない。

 そもそも、実在か架空の人物なのかもわからない程度だ。だがアニメやゲームなどで、錬金術が題材にされた話には、よく出てくる名だと記憶している。


「パラケルスス? なんだ? それは」

「あ、いいえ……少し、聞き覚えがあった名でしたので……関係はないので、気にしないでください。それでこの方は、パラケルススさんだそうです」


 メイアに言い訳しながら、咲弥は男の声に耳を(かたむ)けた。

 翻訳しながら話を聞くのが、本当に難しく思う。


「まあ、パラケルススっていうのは、ただのあだ名なんだ。それよりも、僕の作った曲と歌、どうだった? こう、いい感じにワクワクと()れたかい?」


 身振りや手振りから、陽気な雰囲気が伝わってくる。

 見た目は大人だが、とても童心に溢れた人であった。

 パラケルススはなぜか、少し寂しげに微笑む。


「気に入ってもらえたなら、(うれ)しいけれど……」

 なんとも言えない表情で、パラケルススは肩を(すく)めた。

「ここに来られた。ということは、つまり――僕の言葉が、()()()()()()()()()()……って、ことだよね? いったい、どれくらいの時間が()ったのかな?」


 パラケルススの疑問は、誰にも答えられないに違いない。

 返答は期待していないのか、パラケルススは話を進めた。


「たとえ、数百万年以上の時が流れていたとしても――またここを訪れられるような、超高度な文明まで発展させられた生命体が、現れたってことだよね」


 咲弥は眉をしかめ、小首を(かし)げた。

 失われた古代文明の言葉の翻訳は、例外を(のぞ)けば並大抵の努力では済まない。大袈裟(おおげさ)な物言いも相まってか、何か別の意味が、そこに込められている気がした。

 パラケルススは腕を組み、悩ましげな表情を見せる。


「僕が使っている言語は、ちょっと難解だっただろうね……でも、この程度も解き明かせないようじゃ、そこまで文明が発達してないってことではあるけれど」


 咲弥はそれとなく理解に達する。

 流れていた音と歌は、試練の一つだったようだ。

 咲弥はここぞと、隙を見計らって話しかけてみる。


「あの、すみません……ちょっと、いいですか?」

「質問? ごめんね。先に言っておくけど、僕は答えられる質問と、答えられない質問がある。だから、気をつけてね」


 忠告を受け入れ、咲弥は最初に抱いた疑問から追求する。


「ここでは、何を研究されていたんでしょうか?」

一概(いちがい)にはこれとは言えないね。いろいろな部署があって、それぞれ多種多様な研究をしていたからさ。僕がいたのは、医療専門のところだね」

「医療専門……」


 パラケルススはこくりと(うなず)いた。


「僕が一番と(ほこ)れる研究はね、あだ名の由来ともなった――賢者の石さ」

「け、賢者の石?」

「とはいっても、神話や伝承にあるような本物じゃあない。別に非金属を貴金属に変化させたりとかはしないし、人間を不老不死にするみたいな効果もないから」


 パラケルススは陽気に笑った。


「でも、どんな(やまい)も治せるし、食べればどんな傷も(いや)せる。まあ本物には及ばなかったから、僕らはあれを()()()()()と名づけた。ああ、でも注意してくれ。たとえ手足を失っても治せる――けれど、賢者の原石の量も増えちゃうからね?」


 メイアへの翻訳も忘れ、咲弥は驚きのあまり絶句した。

 自然と身が震え、寒気すらも覚える。

 メイアの予感は正しかった。

 ここに神々の果実の情報は、確かに眠っていたらしい。


「神々の果実は……賢者の原石……?」

「なんだ? どういうことだ?」

「ちょ、ちょっと、待ってくださいね」


 咲弥は一時的に翻訳をやめ、パラケルススに質問する。


「その賢者の原石は、どこで入手できるんですか?」

「それにはまず、精製方法を軽く説明する必要があるね」


 パラケルススは、そう前置きしてから語った。


「この世には、二つの世界がある。それは、顕界(げんかい)と幽界――僕らが生きる場所が顕界さ。幽界はその逆で、精神世界とも呼べる場所となる」


 パラケルススは指をぱちんと鳴らした。

 すると彼の付近に、青白い光を放つ結晶が出現する。

 鮮やかで(やわ)らかな光に、咲弥はつい見惚(みほ)れた。


「この(あお)い石は、その幽界にしか存在しない。美しい結晶に思えるだろ? おっと、しかし注意してくれ。僕らは、この結晶を死蒼石(しそうせき)と名づけた――その名の通り、生物の()()()()()()性質がある」

「生命力を、奪う……?」


 資料のほうに、生命を(むさぼ)る鉱石獣の記録があった。

 何か関係があるのかは不明だが、今はパラケルススの話を集中して聴く。


「目を持つ生物であれば、人も例外じゃない。ひどく危険な代物だけど、この死蒼石こそが、賢者の原石を精製するのに必要不可欠な、素材の一つなのさ」


 つまり神々の果実は、何かの命を代償(だいしょう)に作られていた。

 その事実に、咲弥は少しばかり恐怖する。

 パラケルススは再び指を鳴らし、絵図を空中に展開した。


「死蒼石が奪った生命力は、水に溶け込む性質がある。その水に溶け込んだ生命力を抽出しながら、とある特殊な素材と調合をしなければならない」


 パラケルススの口調と、絵図のせいだろうか――

 まるで、科学の授業を受けているかのような気分になる。

 どうでもいい感想は捨てて、咲弥は真剣に耳を()ました。


「水中にある成分に加え、大気中にも含まれている成分――それは、マナと呼ばれる自然界の特殊エネルギーだ。適切な量を抽出したのちに、調合――限界をも超えて凝縮すれば、賢者の原石は形作られることとなるわけさ」


 宝石のような紅い石と一緒に、地図が浮かび上がる。

 パラケルススは説明を続けた。


顕界(げんかい)には、幽界と(つな)がりやすい場所がある。このアジトの真下にある地下空洞――僕らは幽界と繋がる原理を分析し、すでに解明もしている。ある一定の法則を(つか)めば、無理矢理繋げることも可能なのさ。魔術と科学の――融合でね」


 咲弥は驚愕のあまり、一歩を後退する。

 魔神が実行した行為を、大昔の人もまたおこなっていた。

 人が踏み込んではならない、禁断の領域ではないのか――そう感じられる。


 だがそこにこそ、咲弥の求めていた答えもある気がした。

 すぐ問いたかったが、パラケルススの発言は止まらない。


「それは死蒼石を、こちらに顕現(けんげん)するためだ。そのお陰で、研究は無事進み、賢者の原石は見事に誕生した――さてと、問題のありかについてだね」


 パラケルススの(そば)に、また別の図がもう一つ展開された。

 おそらくは、研究施設全体の図面だと思われる。


「賢者の原石が、生成されている場所はここさ。地下空洞の水を大量に利用する必要がある――だから必然的に、地下に僕らの研究所を移すことになったのさ」


 当時と現在では、地形が大きく変わっている。

 それでも、なぜ神々の果実が川で発見されたのか――

 漠然とではあるものの、絵図から推測できた。


 特殊な水を、研究所では大量に使用している。

 不要になった水を排出した先が、川へ繋がっていたのだ。


(さらに地形が変化してしまったから、神々の果実は、ここ何十年も発見されなかったのか……?)


 咲弥は疑問まじりに、そう解釈した。


「おい。いい加減に説明しないか!」


 メイアが(しび)れを切らしたらしく、咲弥の肩を(つか)んだ。

 咲弥ははっと我に返り、これまでの説明を始める。

 しかしすべて話し終える前に、パラケルススが真顔のまま再び口を開いた。


「さきほども言ったように――」

「え、ええぇっ? ちょ、メイアさん。待ってください!」


 咲弥はありかを伝える直前で打ち切る。

 パラケルススは、こちらの事情などお構いなしであった。


「賢者の原石には、死蒼石(しそうせき)が奪った生命力が必要――だから長い時の流れで破壊、または生物から生命力が奪えていない場合は、賢者の原石は生成されなくなる。人で換算すれば、五千人程度の生命力が必要だからね」


 地形変化以外にも、そんな理由があるのかもしれない。

 事情が判明すると同時に、狂気の科学に少し怖気(おぞけ)()つ。

 また、別の恐怖にも縛りつけられた。


 もし神々の果実が(おおやけ)の事実ともなれば、悪用しようとする者が現れても、なんら不思議ではないだろう。賢者の原石を生成するために、人の命を犠牲(ぎせい)にする――

 そんな想像が、咲弥の脳裏(のうり)にぴたりとくっついた。


 確かに作り方を間違えなければ、最高の薬ではある。

 それにしても、生物の命を奪わずには作れないのだ。


 いまさらながらに、遺跡を開いたのは失敗だった可能性が浮上してくる。しかし、まだ間に合う。事実を知ったのは、咲弥とメイアのみしかいない。

 口止めが必要と考えた瞬間、パラケルススが言ってきた。


「君の期待に、きちんと応えられたかな? 実を言えばね、僕が答えられるのは、今現在僕の脳にある記憶だけなのさ。音声と映像システムが君の声や動作を拾い、それに見合った回答と動作を自動的に映しだしている」


 不思議と、そこに驚きはなかった。

 遥か大昔の人間が、今もなお生きているとは思えない。

 動作や回答があまりに綺麗なため、つい錯覚(さっかく)しそうになる――目の前で話しているパラケルススという人物は、本当にただの映像に過ぎないのだ。


「こうして、記録と映像を残しているのはね……もちろん、君の疑問に答えるためじゃない。ある事実を、どうか未来の君に、そして人類に伝えたかったのさ」

 とても神妙な面持ちで、パラケルススは声を(つむ)いだ。

「僕はここが、最後のアジトだと言ったね? そのわけを、まずは君に伝えたい」


 確かにそこも、気になる話ではあった。

 だが本音を言えば、先に幽界と()いだ方法が知りたい。

 そう思いはしたものの、もうすでに語り始められている。

 メイアへ簡潔(かんけつ)に翻訳しながら、咲弥は自分の欲を(りっ)した。


「今も生き残っている人間は、もうきっと、僕しかいない。各地で天変地異が起こり、なすすべもなく、人類は壊滅した――でもね、本当は前々から()()()()()()()()ことなんだ。数々の遺跡には、あらゆる記録が(のこ)されていたからね」


 咲弥は眉をひそめ、小首を(かし)げた。

 パラケルススはため息をつき、何度も(うなず)いている。


「君はたぶん、このアジトに来て驚いているよね? 僕らも最初の頃は、数々の遺跡で驚かされてばかりだった。未知の秘術に、未知の科学――」


 当時の光景か、あらゆる場所に立体的な映像が流れた。

 メイアと同様、これには咲弥も驚きを隠せない。

 パラケルススは、両腕を大きく広げた。


「そうして人類は、少しずつ繁栄(はんえい)を極めた――けれど、ある一つの遺跡から、僕ら人類は滅びの予言と出会ったのさ」


 パラケルススは咲弥達側に、まっすぐ目を向けてきた。


「事実、この世界はね……ある神様によって、ずっと何度も破壊されては、再生されている。遺跡にあった記録から――僕らも、その神様をこう呼んでいるんだ」


 パラケルススは少しの間、(おだ)やかに目をつぶった。

 そして、彼は目を開き――


「破壊と再生の神、()()()()――と、ね」


 咲弥はまた翻訳するのも忘れ、ただただ――

 全身の血が凍りつくような、そんなひどい寒気を覚えた。




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