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神殺しの獣  作者: Key-No.92
第四章 無数にある分岐点(上)
134/222

第六話 三つ巴




 森の王ルグルガルフ――

 六つの目は個別に動かせるのか、縦横無尽に動いている。

 (つか)んでいたガルス族の遺体を地に落とし、ルグルガルフが戦闘態勢を取った。


 咲弥はルグルガルフへ迫りながら、どう攻撃を仕掛ければいいのか模索する。(まと)っている雰囲気からも、ただならない気配が漂っていた。

 ルグルガルフがおもむろに、右手をゆらりと高く上げる。


(……なんだ?)


 ルグルガルフが手を振り下ろし、地を力強く叩きつけた。

 黒い魔法陣が瞬間的な速さで、地面に複数描かれていく。

 すると黒い魔法陣の中から、野獣系の魔物の群れが一斉(いっせい)に飛び出してくる。


(闇属性……? 召喚魔法……?)


 いやな予測に、際限(さいげん)なく恐怖が湧く。

 それでも咲弥は、速めた足を(ゆる)めない。

 ネイが前を向いたまま、大きく声を張った。


「雑魚の殲滅(せんめつ)は紅羽、防衛はゼイド! 私とあんたで一緒に森の王を討つわよ!」

「了解しました」

「おう!」

「はい!」


 ネイの指示に従い、咲弥は森の王にのみ集中する。

 とはいえ、召喚された魔物が簡単に通すはずもない。

 それでもなお、咲弥はルグルガルフだけを目指した。


 咲弥とネイへ、猛禽類(もうきんるい)に近い魔物の群れが飛翔して迫る。

 そう認識するや、咲弥の横を細い光線が追い抜いた。

 枝分かれする光の矢で、猛禽類の魔物は脳天を(くだ)かれる。


 そして今度は、類人猿の魔物が火と雷の魔法を放つ。

 地面が素早く盛り上がり、土の紋章術でゼイドが(ふせ)いだ。


 この世界で出会った仲間――もう結構な付き合いになる。

 だからこそ、安心して任せられた。不安など微塵(みじん)もない。

 まずはネイが、ルグルガルフの横へと回り込んだ。


「風の紋章第三節、戦神の号令(ごうれい)


 ネイが描いた若草色の紋様が砕け、暴風が吹き荒れる。

 またたく間に、光沢感のある風の槍が五つ作られた。

 おそらくは、オドとマナの複合エネルギー――エーテルが込められている。


「貫け!」


 ネイが風の槍を、ルグルガルフへと一直線に放つ。

 ルグルガルフは鷹揚(おうよう)に、手のひらを前に伸ばした。


 虚空に、黄緑色の魔法陣が浮かぶ。ルグルガルフ()()()、他属性の魔法を扱えるのだと知る。その事実に、咲弥は嫌な連想が働き、じわりとした恐怖を覚えた。

 ネイの風の槍が方向を変え、途端に咲弥へ飛来してくる。


「んなっ!」


 驚きはしたものの、咲弥は落ち着いて行動に移る。


 物質すべてを破壊する黒手(こくしゅ)――

 精神すべてを支配する白手(はくしゅ)――


 たとえエーテルで発生した紋章術でも、咲弥の白爪(はくそう)ならば容易に裂けるのだ。

 ただ問題は、そこではない。


 ネイの紋章術を、まるで奪い取ったような印象を抱いた。

 奪取(だっしゅ)か操作か、あるいは反射といった可能性もある。

 どんな絡繰(からく)りか、まだ情報が少ないためよくわからない。


「なら――黒爪(こくそう)空裂(からさ)き」


 黒爪にオドを込め、咲弥は勢いよく虚空(こくう)を裂いた。

 それは飛ぶ斬撃となり、ルグルガルフへと向かう。

 今度は魔法陣を浮かべない。

 ルグルガルフは右の手のひらで、空裂きを(ふせ)いだ。


(……硬い。なんでも奪うわけじゃないのか……?)

 咲弥は思いながらに、空色の紋様を右手付近に浮かべた。

「水の紋章第一節、螺旋(らせん)の水弾」


 右手付近に青い(うず)が生まれ、そこから水弾を()つ。

 ルグルガルフが再び、黄緑色の魔法陣を顕現(けんげん)した。

 水弾が途端に、今度はネイのほうへと方向転換する。

 ネイは持ち前の身軽さで、水弾を軽々と回避していた。


(やっぱり、そうか……そういうことか……!)


 術者のオドを媒体(ばいたい)に生み出された紋章術――またはオドで作られたすべてを、ルグルガルフは意のままに操れる魔法を保持しているのだろう。

 ネイも察したらしく、咲弥に叫んできた。


「オド縛りじゃ、私にはきつい! あんたの補佐に回る!」

「了解です!」


 それは事実上、ルグルガルフとの一騎打ちを意味する。

 しかしそれでも、咲弥は了承しておいた。

 ネイがこちらの様子をうかがいながら、邪魔(じゃま)になりそうな魔物を狩り始める。


 こうして補佐してくれるだけでも、充分にありがたい。

 咲弥は即座に、ルグルガルフへと視線を戻した。

 零級(ぜろきゅう)に指定されていた事実から、ほかにもまだ何かあるに違いない。


 初めて遭遇した零級の魔物は、ジャガーノート――

 龍を思わせる首を、背にイソギンチャクのごとく生やした亀っぽい魔物だ。無限の暴食と再生と進化を繰り返し、背の龍で全属性を扱う最悪な生物だった。

 警戒を()かさない咲弥の目に、不穏(ふおん)な光景が飛び込む。


 補佐に転じたネイに向け、ルグルガルフが左手を向けた。

 咲弥はとっさに、ネイとの距離を縮めていく。

 緑色の魔法陣が描かれるや、周囲の草木が(いびつ)に成長した。


 無数の植物が、ネイに襲いかかる。おそらくは拘束(こうそく)系統の魔法だと思われる。

 ネイが素早く回避しているが、規模が尋常ではない。

 ネイの足に、一本のツタが到達した。

 咲弥は黒手を高く(かか)げる。


「黒爪空裂き!」


 飛ぶ斬撃が、ネイの足を這うツタを裂いた。

 植物自体は、そこまでの強度はない。

 咲弥は素早く、ルグルガルフに視線を戻した。


(なんだ……何をしてんだ……?)


 ルグルガルフが機敏(きびん)な動きを見せる。

 なぜか魔物の死骸(しがい)に加え、ガルス族の遺体に指を刺した。

 血を吸い込んでいるのか、あるいは――

 咲弥の目もとはひどく(ゆが)み、心の底から震撼(しんかん)する。


 ルグルガルフに指を刺された箇所(かしょ)から、勢いよく木の根や草花が飛び出してきた。さらに光の矢や紋章術などで大きく欠損(けっそん)した部分を、植物が補い始めている。

 死したはずの魔物やガルス族が、再び活動を始めたのだ。


 おそらくは、傀儡(くぐつ)の一種だと思われる。

 ルグルガルフの異能に、震撼するほかない。

 ジャガーノートの超再生とは異なる、最悪な力であった。

 じわりとした嫌な感覚に、咲弥は手汗をかく。


(零級……やっぱり、異質な魔物なんだ……)


 紅羽が即座に、傀儡の魔物を光の矢で射った。

 ほぼ同時に、ルグルガルフにも光の矢を向かわせている。

 だが黄緑色をした魔法陣が浮かび、拡散する光の線が(いびつ)な軌道を描く。


 折れ曲がった光の線が、咲弥やネイに襲いかかってきた。

 やはりオドを媒体にしたものなら、自在に操れるらしい。

 白手で(ふせ)いだ直後、咲弥はさらなる最悪を目撃する。

 傀儡にされた生物は射抜かれてもなお、まだ動いていた。


 体のどこを欠損したとしても、植物が即座に(おぎな)っている。

 傷が深い生物ほど、代替となった植物の割合も大きい。

 最終的には、肉片が残らずとも動いている予感がした。


 ルグルガルフを討たない限り、どんどん状況は悪化する。

 咲弥は分析を終え、ルグルガルフへと向かう。

 その瞬間、空を切り裂く音が耳に届いた。


「ぐっ……!」


 咲弥は息を詰め、回避した。反撃などできるはずがない。

 たとえ遺体といえども、やってきたのはガルス族なのだ。

 どう対処すればいいのか――その刹那(せつな)の悩みに、わずかな隙が生まれる。

 別の遺体だったガルス族が、咲弥に槍を突き入れてきた。


(しまっ……!)


 咲弥は反射的に黒手で護りに入る。しかし間に合わない。

 焦燥感に恐怖が入り混じり、(しび)れに近い衝撃が体を走る。


 死を連想するや、目の前にいるガルス族の槍が槍によって(はじ)かれた。そしてそのまま、盛大に地へと叩きつけられる。

 ぎりぎりのところで、ジークの槍が炸裂(さくれつ)して護られた。


「咲弥殿、ためらうな! それはもう、ガルスではない!」


 ジークが(いさ)ましげに、そう叫んだ。

 わかってはいても、本能が拒否している。

 咲弥が苦い思いを抱くなか、ジークは同族の遺体と戦う。


 ジークの顔は渋い。それも、当然の話だった。

 たとえ罵倒(ばとう)されようとも、生まれ育った村を護るために、ジークは村へと戻ってきたのだ。もう死んでいるとはいえ、同族と平気に殺し合えるはずがない。


「ここは、任せてくれ! 咲弥殿は、森の王を……!」

「……わかりました!」


 咲弥はジークの気持ちを汲み、ルグルガルフを目指した。

 精神系統が不可ならば、物理攻撃に打って出るしかない。

 幸い、(すさ)まじい攻撃力を持つ黒爪が咲弥にはある。

 限界突破を連発してでも、早々に討つしかないのだ。


「……えっ……?」


 最悪な事態は最悪を(まね)き、そしてさらなる最悪を生む。

 咲弥の視界の端で、無数の黒い影が走る。

 自然と視線が、上空へと移った。

 それはまるで、黒い流れ星にも思える。


(……あ、れは……なんで……?)


 咲弥は目を大きく見開き、息を大きく呑み込んだ。

 ル・ダ村に、また新たな災厄が攻め込んでくる。


「ガァアアアアアア――ッ!」


 空を舞う複数体の飛竜フォティタスが、咆哮(ほうこう)を重ねた。

 黒い流星の中で、ただ一か所――

 まるで夕日を連想する(いろど)りが、夜空に発生している。

 一体の飛竜がホバリング状態で、巨大な火球を放つ。


 空から落ちる火球を、ルグルガルフが右手で豪快に(ふせ)ぐ。

 火球を放ったフォティタスが、まるで隕石(いんせき)のごとく降る。

 想定外の衝撃的な景色に、咲弥は我が目を疑うほかない。


 蝙蝠(こうもり)に近い翼を持つ、赤黒い体色をした飛竜――視覚的にフォティタスの上位種だと思える個体が、星々が瞬く空から舞い降りて建物をひしゃげさせた。

 赤黒いフォティタスが、大口をあけて強烈な咆哮を放つ。


「ガガァアアアア――ッ!」

「グォオオオオオ――ッ!」


 ルグルガルフもまた、強烈な雄叫びで応えた。

 耳を(つんざ)く声の衝突に、咲弥の鼓膜(こまく)が痛む。

 フォティタスが羽ばたいて飛び、建物が激しく倒壊する。


 フォティタスは猛火を吐き、ルグルガルフへと向かう。

 火の息吹を受け、ルグルガルフは黒い魔法陣を描いた。

 突如として空間が揺らぎ、フォティタスが墜落する。

 だがフォティタスは、踊り狂うように姿勢を整え直した。


 フォティタスが口の前に、深紅の魔法陣を浮かべる。

 力を集約(しゅうやく)しているのか、赤く細い光の線が残光(ざんこう)のごとく、魔法陣へ向かって無数に走った。けたたましい音を(とどろ)かせ、紅いレーザーが放たれる。


(ぐっ……)


 あまりの熱に、咲弥は両腕でつい身構えた。

 灼熱(しゃくねつ)の紅き線が、ルグルガルフに襲いかかる。

 黄緑色の魔法陣が発生し、熱波が上空へ伸びて散った。


「ガガァアアアア――ッ!」

「グォオオオオオ――ッ!」


 フォティタスがルグルガルフに近接戦闘を仕掛ける。

 それはもはや、災害と呼べるほどの戦いであった。

 正直、こんな戦いに突っ込むなど、正気の沙汰(さた)ではない。

 しかし、静観しているわけにはいかなかった。


(このままじゃあ……ここは滅茶苦茶になる)


 空を(かけ)るフォティタスが、あちこちに攻め込んでいる。

 ほうっておけば、この一帯は焦土(しょうど)と化してしまうだろう。

 咲弥はぐっと歯を()み締め、思考を働かせた。


 これまで遭遇してきた魔物の傾向――

 飛竜達の親玉が、もし赤黒いフォティタスなら、討てれば飛竜全体が沈静化する可能性は高い。自分達の被害状況を、考えられるだけの知能はあるのだ。

 咲弥は状況を見計らい、激しい殺し合いの中に飛び込む。


 フォティタスが、ルグルガルフの左肩に噛みついた。だがそんなフォティタスの首を(つか)んで、ルグルガルフは鋭い爪を何度も走らせている。

 咲弥はフォティタスの背後へ回り込んだ。


 黒爪を綺麗に(そろ)え、空色の紋様を――咲弥は気づく。

 フォティタスの視線が、咲弥のほうへ向いていた。

 空を切る轟音(ごうおん)とともに、尾が(むち)のように振るわれる。


「まずっ……!」


 ()ぎ払われた尾を(かが)んで()け、同時に黒爪を振るう。

 金属を引っかく音が響く。信じられないくらい硬い。

 外皮を軽く傷つけた程度でしかなかった。


 咲弥が攻撃に転じた直後、ルグルガルフの右手が向く。

 即座に白手(はくしゅ)を大きく広げ、咲弥も左手を前へと伸ばした。

 黒い魔法陣から衝撃波が放たれる。だが、白爪で裂いた。


 間髪入(かんぱつい)れず、ルグルガルフの右手を黒爪で引っかく。

 しかし、ルグルガルフもまた硬い。

 限界突破を併用しなければ、致命傷など程遠(ほどと)く思える。


 フォティタスがルグルガルフの腕に()みつきながら、硬い片翼(かたよく)で咲弥に攻撃を仕掛けてきた。瞬時に作った腕の盾に、強烈な一撃が叩き込まれる。

 恐ろしいほどの力に、咲弥はなすすべもない。

 まるで踏み潰されるように、地面に強く叩きつけられた。


「がはっ……!」


 痛みで意識が少し飛ぶ。

 思考する間もなく、不吉な光景を捉える。

 咲弥は傷みを全力で(こら)え、再び両腕で盾を作った。

 今度は、ルグルガルフの蹴りが飛んでくる。


「ぐっ、ぐぐっ……!」


 ルグルガルフの力もまた、強烈であった。

 咲弥の体が、軽々(かるがる)と上空へ蹴り飛ばされる。

 すべてが敵となる、()(どもえ)の戦い――

 咲弥が一時的に、脱落するかたちとなった。


「咲弥様!」


 紅羽が全身を使い、咲弥を空中で受け止めてくれた。


「ありがとう!」


 空を(かけ)る一体の飛竜が、奇妙な動きを見せた。

 咲弥を空中で、仕留(しと)めようとしていた気配がある。

 もし紅羽に護られなければ、いろいろと危なかった。

 ただ、自身を(たしな)めている暇などない。


(くそ、どうする……!)


 思考を巡らせながら、咲弥は紅羽と地に降り立った。

 猛獣など比にならない。激しい殺し合いが続いている。

 全開放の限界突破が、咲弥の脳裏(のうり)をかすめた。


 激痛と気絶を代償に、両方を討てるか――

 もし成功しなければ、仲間に負担をかける結果を生む。

 それどころか、殺される可能性も充分に考えられた。


「咲弥! 突っ込めぇっ!」


 ゼイドの叫びが響いた。黄土色の紋様が浮かんでいる。

 ゼイドの意図を呑み、咲弥の体は自然と駆けだした。


「ネイ! 紅羽! 俺はジーク達の護衛だけに回る!」


 ゼイドの言葉は、戦線離脱を意味する。

 そうなる理由を、ゼイドは唱えた。


「来い、土の精霊バグラカブラ!」


 強く輝いた黄土色の紋様が、大花火のごとく破裂した。

 地に円陣が描かれ、流砂を思わせる大渦(おおうず)が発生する。


 (くさり)が巻きつく、鉄製の黒い(ひつぎ)を背負った――汚れた包帯で全身をぐるぐる巻きにしているミイラが、流砂の中から浮き上がるようにやってくる。

 フォティタスとルグルガルフが、危機を察知したらしい。

 二体の視線が、土の精霊バグラカブラへ向いた。


「ゲハハッ! 爽快愉快(そうかいゆかい)! やべぇの相手にしているな!」

「あれの動きを止めろ! 咲弥が討つ!」

「いいぜ! さあ、異物どもに目にものを見せてやろう」


 土の精霊バグラカブラが、超音波に近い叫びを上げた。

 フォティタスとルグルガルフが、回避の姿勢を見せる。

 だが、もう間に合わない。


 地面が(ゆが)み、二体の魔物を砂で(から)め取る。

 砂は即座に、強固そうな岩へと転じた。

 咲弥は黒爪をまっすぐに(そろ)え、空色の紋様を浮かべる。

 まずはフォティタスへ向かい、大きく跳躍(ちょうやく)した。


黒剣(こっけん)限界突破!」


 フォティタスの首へ、咲弥は限界突破した手刀を振るう。

 金属を削るような音を響かせ、バチンッと首を両断した。

 ゼイドが作ってくれた最大の好機を(のが)せない。

 咲弥はすぐ――ルグルガルフがけたたましい咆哮(ほうこう)を放つ。


「グォオオオオ――ッ!」


 (すさ)まじい衝撃が放たれ、一歩を踏み出せない。


(クソッ――間に合わなくなる!)


 精霊召喚の時間は短い。

 ここを(のが)せば、またルグルガルフは解き放たれてしまう。


 咲弥は全神経を集中させ、足に力を込めた。

 だが、ルグルガルフも必死になって咆哮を続けている。

 吹き飛びかけたそのとき、銀色の影が咲弥へと迫った。


「光の紋章第五節、極光(きょっこう)の障壁」


 前面に光の幕が張られ、衝撃が一気に消える。

 次いで、ルグルガルフの上空からネイが落ちてきた。


「うるさぁあああああい!」


 ルグルガルフの顔面に、ネイが踵落(かかとお)としを放った。

 ルグルガルフは(ひら)いた口を、強制的に閉じさせられる。

 咲弥はお礼よりもまず、空色の紋様を浮かべた。


「黒爪限界突破!」


 咲弥は唱えながらに、ルグルガルフへ黒爪を振るう。

 黒爪が(くう)を強烈に裂き、そして――

 ついに、ルグルガルフの体に届いた。




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