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神殺しの獣  作者: Key-No.92
第四章 無数にある分岐点(上)
130/222

第二話 野宿




 薄暗い森の中に、小気味よい音を立てる綺麗な川がある。

 咲弥は樹上の一部に(ひそ)み、漆黒の籠手(こて)を高く(かか)げた。


 生命の宿る宝具、黒白(こくびゃく)の籠手――最初の頃は、手首程度の長さしかなかった。それが(ひじ)までに(いた)り、今となっては肩に達するほどの長さにまで進化している。

 正直、まだ籠手と呼んでもいいものか疑問ではあった。


 咲弥は漆黒の籠手にオドを流し込み、片方だけ解放する。

 黒と赤が交じる、どこか悪魔を連想する獣みたいな手――これも最初は、モヤに近いものに過ぎなかった。だが進化を経て、光沢感と鮮明さを増している。


 そんな黒爪(こくそう)にオドを込め、咲弥は攻撃の準備を整えた。

 ただじっと、そのときを待つ。

 川音を聞きながら、漠然と視界いっぱいに川を見つめる。


「黒爪空裂(からさ)き!」


 (すさ)まじい切れ味を持つ黒爪が、虚空(こくう)を強烈に引き裂く。

 細く長い衝撃波が空中を駆け抜け、狙っていた川の一部に到達した。その瞬間、五つの爪痕(つめあと)が川の水に刻まれ、激しい水しぶきを上げる。


 空裂きはまさに、飛ぶ斬撃ともいえる代物だった。

 跳ね上がった水が、やがてまたもとに戻る。

 すると気絶した魚達が、ぷかぷかと川を流れていく。

 その先には、ゼイドが両手を広げて待ち構えている。


「ほいっ! ほいっ!」


 流れる魚を、ゼイドが次々に陸へと手で弾き飛ばした。

 獣人ゼイドは、見た目からして少し熊っぽい。

 そのせいか、(さけ)を捕る熊の光景が脳裏(のうり)をかすめ、より一層それらしく思えた。


 そんな感想を(いだ)きつつ、咲弥は樹上から飛び降りる。

 ゼイドが打ち上げた魚のほうへ、ゆっくりと足を進めた。

 どの魚も、三十センチ程度の大きさがある。


(結構大きいから、これだけあれば大丈夫かな……?)


 食料の調達係りは咲弥とゼイド、調理関連は紅羽とネイが担当することになっている。いつもは町や村で食料を馬車に積み込み、そして野宿していた。

 だが突発的な事故が起きたために、今回は自然から食料を入手する必要がある。


 野宿での役割は、これからもこれで固定となるだろう。

 自分の役割を全力で果たそうと、咲弥は腕を組んで悩む。

 さすがに魚しかないのも、少し(さび)しい気がした。


(魚以外となると、あとは木の実とか野草くらいかな)


 ただどれが可食となり()るのか、正直よくわからない。

 しかしゼイドなら、そういった分野も詳しそうではある。

 咲弥が考え込んでいると、ゼイドが歩み寄ってくる。


大漁(たいりょう)だ大漁だ! ちと()めて、血抜きでもしておくか」


 ゼイドが、小型ナイフと細長い針を取り出した。

 魚の脳天をナイフで砕き、細長い針を刺し込む。それからエラと尾にナイフの刃先を入れ、川の水で血を抜いていく。魚が好物だからか、かなり手際がいい。


 軽快な作業を眺めていると、ふと小さな気配を捉えた。

 咲弥は背後を振り返る。走る鳥が木々の隙間を横切った。


(ニワトリ……? お肉があれば、ネイさん喜ぶだろうな)


 少し黙考してから、咲弥はゼイドに伝える。


「ニワトリっぽいのがいたんですが、捕えておきますか?」

「おっ? 任せた。俺は魚を、野営地に持っていっておく」

「はい! わかりました!」


 ゼイドと(うなず)き合い、咲弥は素早く行動に移った。

 目と気配で探りながら、ニワトリの後を追う。

 川沿いにある森の中は、ひどく自然に満ち溢れている。


 辺り一面に枯葉が落ちており、草花はところどころにしか生えていない。その代わり(こけ)むした樹木の太い根が、まるで縄張り争いのごとく複雑に(から)み合っていた。

 数年、あるいは数十年、人が踏み入った形跡(けいせき)がない。


 人はいなくとも、魔物や猛獣がいる可能性は充分にある。

 咲弥は注意深く警戒しながら、森の中を進んだ。


「確か、こっちのほうに……」


 ほどなくして、前方に極々(ごくごく)わずかな気配が(にじ)んでいた。

 咲弥はぴたりと足を止める。じっと息を(ひそ)めた。

 自然と同化するように、(まと)ったオドを溶け込ませていく。

 自分の気配を、こうして可能な限り()つのだ。


 この隠密術(おんみつじゅつ)に関しては、実はネイが一番上手い。

 ずば抜けた察知能力を持った紅羽ですら、目視するまでは認識できなくなるようだ。もはや暗殺者の(いき)だと、訓練中にゼイドが笑っていたことがある。


 そんなネイから、咲弥は隠密術を習っていた。

 才能がないからか、正直そこまで上手くはない。それでも紅羽やネイみたいな、特殊な相手でない限りは、一定以上の効果は期待できるはずだった。


 気配は遠退(とおの)かない。咲弥の存在に気づいていないのだ。

 咲弥はゆっくり、進み続ける。

 ついに、ニワトリみたいな鳥の姿を目でも捉える。


(あせ)らない……焦らない……)


 団体で生活をする生物らしい。結構な数がいた。

 二、三羽ほど捕えられれば、食事はかなり豪華にできる。

 咲弥はタイミングを――不意に、小枝を折った音が響く。

 ニワトリ達の顔が、一斉(いっせい)に咲弥へと向いた。


「げっ……」

「グギャギャァッ!」


 咲弥は(あわ)てて、逃げ出したニワトリ達を追った。

 空裂(からさ)きの選択が浮かぶが、あまり効果的な方法ではない。

 さきほどの川みたいに、広々とした場所ではないからだ。

 樹海(じゅかい)で空裂きを放ったところで、木々に(さえぎ)られてしまう。


 しかも思いのほか、ニワトリ達はとても素早かった。

 一匹も捕えられないのは、さすがにまずい。肉料理好きのネイの耳に入れば、確実に小言が飛んでくると思われる。

 食べ物の恨みは、なるべくなら()けたほうが賢明だった。


「うぉおおおおっ!」


 咲弥はなかば無理矢理、飛び込んでニワトリの脚を(つか)む。

 かなり(あせ)ったものの、なんとか一匹だけは捕えられた。

 咲弥はほっと、安堵(あんど)の吐息をつく。

 ニワトリの足を、左手で持ち直した。


「グギャァッ! グギャァッ!」


 逆さまにしたニワトリが、逃げようと必死に暴れ回る。

 食事をもっと、(いろど)り豊かにしたい――

 それは、咲弥側の勝手な理屈ではあった。ニワトリに待ち受けている運命を思えば、かなり心が痛む。だが魚と同様、これも貴重な栄養源の一つには違いない。


 これまでもどこかの誰かが加工してくれた肉を、それこそ数えきれないくらい食べている。だから(あわ)れみや(うれ)いなど、筋違いもはなはだしい感情なのだ。

 だからといって、苦い思いを抱かないわけではない。

 咲弥にできるのは、ただ心を殺して食べるしかないのだ。


「ごめんね」


 咲弥はデコピンの要領で、黒指(こくし)をパチンッと弾いた。

 ニワトリの頭を打ち、失神させておく。

 咲弥は一度、ざっと周囲に視線を走らせた。


「……えぇっと」


 まず川から進んだ方角を考え、漠然と現在地を把握する。

 咲弥は野営地の位置を、大雑把(おおざっぱ)に割り出してから進んだ。


 しばらく歩くと、(ごく)わずかに水の音が聞こえてくる。

 きっと近くに滝がある――そこで、ふと気配を捉えた。

 それは魔物というよりは、人のものに近い雰囲気がある。

 ただ野営地は、まだ先にあるはずだった。


 もしかしたら、噂に聞くガルス族かもしれない。

 咲弥は念のため、こっそりと忍び歩きをする。

 大きな木の(かげ)(ひそ)み、気配がした場所を覗き見た。


「――いっ!」


 咲弥はうめいた口を、(あわ)てて右手で押さえ込む。

 素早く大樹に背をもたれ、進んできた方角を向き直った。

 心臓が破裂しそうなくらい、ばくばくと鼓動している。


 覗いた先には、森に囲まれた綺麗な滝つぼがあった。それ自体は別に動揺するほどのものではない。だが、そこの水辺付近で、紅羽とネイが水浴びをしていた。


 ほんのわずかに過ぎない。すぐに目を()らしたのだ。

 しかし魅力的な二人の裸体が、脳裏(のうり)に焼きついている。

 ただ紅羽もネイも、髪が腰に届くほどに長い。


 そのお(かげ)で胸の辺りが上手く隠れていた。さらにいえば、陽光を(まぶ)しいくらい跳ね返す水だったため、腰から下はほぼ何も見えていない。

 だからといって、覗きがバレたらややこしい事態になる。

 咲弥は考える間もなく、立ち去ろうと一歩を踏み出した。


「おい?」

「ひぇっ……」


 咲弥の肩が飛び跳ねる。即座に視線を(すべ)らせた。

 大樹の裏側から覗くかたちで、ネイが顔を出している。

 ネイの目は据わっており、険悪(けんあく)な雰囲気が(かも)されていた。

 悪寒を覚えるくらい、ネイは低い声音で言う。


「乙女の水浴びを覗くなんて、案外度胸あんじゃない?」

(いつ……? 早い……気取られた……? 気づかなかった……やばい……)


 咲弥は完全に、錯乱状態へと(おちい)っていた。

 しかし一周まわって、逆に冷静さを取り戻す。


「違っ……誤解ですよ。これは、ただの事故なんです」

「ふぅん?」


 咲弥は、捕ったニワトリを少し高く持ち上げる。


「証拠に……獲物を捕った帰りです」

「へぇ?」

「そうしたら、たまたまここに着いちゃっただけなんです」

「ほぉん……?」


 相槌(あいづち)を打ってはいるが、雰囲気も表情も(やわ)らがない。

 言葉が空虚(くうきょ)に消えていると気づき、咲弥は閉口する。

 ネイの青い瞳は、まっすぐ咲弥へと向けられていた。


「言い訳は、おしまいか?」

「……えっと……」


 ネイの右手付近に、ふわりと若草色の紋様が浮かんだ。

 咲弥はぎょっとする。


「ちょ――」

「風の紋章第四節、自在の旋風」


 まるでガラスが割れたみたいに、ネイの紋様が砕け散る。

 すると激しい風が吹き、咲弥の全身を軽々と持ち上げた。


「わっ……わわわぁっ! ちょ、ネッ、ネイさん!」


 何度やられても、奇妙な浮遊感には慣れない。


「とりゃぁあ!」


 ネイが大樹の裏に引っ込むなり、妙な掛け声が聞こえた。

 同時に、咲弥の体が滝のほうへ向かって吹き飛ぶ。


「おわぁああああ――っ!」


 咲弥は青々とした滝つぼへと突っ込んだ。

 水はそれほど冷たくはない。むしろ心地よい温度だった。

 ただ服が全身に張りつき、かなり重たい。

 まずは懸命に、水面を目指した。


「ぷはぁっ!」


 水面から顔を覗かせるや、咲弥はまたぎょっとする。

 ()の光を浴びる、白く(なめ)らかそうな肌を持った銀髪の少女――女性らしいメリハリのある身体は、おそらく同性ですら羨望(せんぼう)の眼差しを向けるくらい綺麗だった。


 美の極致(きょくち)とも言える女神のごとき彼女が、紅い瞳でじっと咲弥のほうを見据えてきていた。顔は無表情ではあったが、どこか(にら)んでいるような気がする。

 なかば放心状態へと(おちい)るさなか、ネイの高笑いが飛んだ。


「覗くんなら、隠れずしっかり前から覗いたらんかい!」


 咲弥は自然と、ネイを振り返った。

 いつの間にか、体に大きなタオルを巻いている。

 また紅羽に視線を戻しかけ、咲弥はぐっと(こら)えた。

 彼女はネイと違い、タオルを巻く暇などない。


 だが脳が勝手に、紅羽の裸体を思い浮かべてしまう。

 咲弥は一気に熱を発する。同時に、血の気も引いた。


「ご、誤解なんですってば――っ!」


 咲弥はそう言い訳をして、力の限り泳いで逃げる。

 滝つぼから()い上がり、一目散に野営地を目指した。

 ずぶ濡れの状態で戻ると、ゼイドに奇異(きい)な目で見られる。


「な、なんだ……? 服のまま水浴びでもしたのか?」

「はぁ……はぁ……」


 全力で走り続けたため、咲弥は肩で息をする。

 乱れた呼吸も次第に(しず)まり、かろうじてゼイドに告げる。


「い、いえ。その……獲物を捕らえたあと、ネイさん達の、水浴びに、遭遇(そうぐう)しちゃいまして……事故だったんです……」

「あぁ……そりゃあ、まあラッキーだったな」


 ゼイドは冗談まじりに、そう言ってから軽く笑った。

 咲弥は、げんなりとしたため息が漏れる。


 少ししてから気を取り直し、まずは捕えたニワトリを木に(つな)いでおいた。それからさらに木と木を縄で繋ぎ、簡易的な物干しを作る。

 ずぶ濡れの服を脱いで軽く絞り、バサバサッと広げてから縄にかけた。


 ラフな格好に着替えたあと、ゼイドの手伝いを始める。

 しばらくして、ネイと紅羽が戻ってきた。

 気まずい空気が漂う。紅羽が一直線に向かってきた。

 咲弥は固唾(かたず)を飲み、ただじっと展開を待ち受ける。


「咲弥様」

「あ……うん……」

「捕えた獲物は、どこにありますか?」

「え? ああ、魚はあっち。ニワトリは、木に繋いでるよ」

「了解しました」


 覗きに関しては触れられないまま、紅羽はニワトリっぽい鳥へと歩み寄った。


「さて、と……そんじゃあ、日が暮れる前に、ちゃっちゃと準備しちゃいましょ」


 ネイがそう(つぶや)き、咲弥は改めて謝罪をする機会を失った。

 なんとも言えない気持ちを抱えたまま、作業を開始する。

 ネイが魚やニワトリを解体し、紅羽が調理していく。

 その間に、咲弥とゼイドは寝床を作った。


 夜が訪れ、辺りは暗い闇に包み込まれる。

 手頃(てごろ)な倒木を椅子代わりにして、全員で焚火(たきび)を囲んだ。


「そんじゃ! いっただきぃー!」


 まずはネイが、颯爽(さっそう)と骨付き肉に手を伸ばした。

 それから各々、適当に食事を始める。

 ネイが大口を開け、がぶりと肉に()みついた。


「んぅ~! 裸を覗かれたあとの飯は美味いぜ!」

「グフォッ!」


 咲弥はつい、口の中にあるものを噴き出す。

 時間差攻撃か、ネイはいまさらになってぶり返してきた。

 少しむせ込んだあと、咲弥はネイに目を向ける。


「いや、だから……申し訳ないと思ってはいますが、本当に事故なんですよ」

「紅羽、言ってやりな」


 咲弥の視線が、倒木にちょこんと座っている紅羽に移る。

 紅羽も印象的な紅い瞳で、咲弥のほうを見据えてきた。


「咲弥様の、えっち」

「なに変なこと教えてるんですかっ!」


 咲弥の苦言に、ネイはからからと笑った。

 咲弥は両手を合わせ、少し頭を下げる。


「いや……事故とはいえ、本当にすみません」

「いいえ。特に気にしていません」


 紅羽はそう言い、串焼きにした魚をぱくりと(かじ)った。

 紅羽の様子に、咲弥はこっそりと安堵(あんど)のため息をつく。

 ネイが食べ終えた肉の骨を、咲弥へと突きつけてきた。


「てか、あんた隠密下手過ぎ。自然と一体化するようにって教えたでしょうが?」

「気配が突然湧き、また途絶(とだ)えました。それは逆に存在感が色濃くなります」

「どうせ私達の裸を見て、動揺でもしたんじゃないの?」

「気配を殺すのであれば、無心に(つと)めるべきです」

「ははは……」


 ネイと紅羽から交互に指摘(してき)され、咲弥は苦笑いが漏れた。

 ネイが骨を焚火に投げ入れ、いたずらな笑みを見せる。


「覗くんならさ、もっと練度(れんど)を高めな?」

「練度はもちろん高めますが、別に覗きとかしません」

「どうだか……あんた案外、むっつりだからね」


 肩を(すく)めるネイに、それ以上は何も言い返さない。

 あまり下手に反論すると、ぐいぐいと詰められるからだ。

 ゼイドが途端に、思いだしたような声を上げる。


「そういえば、近くにいる零級(ぜろきゅう)の魔物ってなんだ?」

「それがね、調べてもよくわからないのよね」

「わからない?」

「いるということ以外は、どこにも情報が載ってないの」

「へぇ……変な話だな」


 ゼイドが頬を、ぽりぽりと指先で()いた。

 ネイは肉を食べながら言う。


「まあ、別に問題ないっしょ。討伐するわけじゃないし」

「そりゃそうだ」

「目指す港町とは逆方向ですから、通る必要もありません」


 紅羽の補足を経て、咲弥も会話に加わる。


「ル・ダ村というところで、馬車が借りられるといいけど」

「まあ、ほぼ確実に無理だぞ」


 ゼイドが呆れ声で告げてきた。

 聞く限り、確かに難しい話なのかもしれない。

 いずれにしろ、明日にはル・ダ村へと辿(たど)り着けるだろう。

 実際に会い、目にしてみなければわからないこともある。


「無理だったら無理で、しばらくは野宿が続くわね。あっ、覗き禁止の立て札でも、あとで作っておこうかなぁ?」


 ネイが不敵な笑みを浮かべながら、横目に(にら)んでくる。

 彼女のからかいに、咲弥はその対処に困り果てた。


「そのお肉で、覗きの件は手打ちにしてくださいよ」


 自然と(つぶや)いた言葉に、咲弥はしまったと失言に気づく。

 ネイは座ったまま、紅羽の隣へと詰め寄った。


「聞いた聞いた? 私達の裸はたったこれっぽっちのお肉と等価だってさ」

「いや、そういうことじゃ……! ただの言葉の(あや)です!」


 慌てて言い(つくろ)うが、ネイは深いため息をつく。

 その日の夜――

 女二人から送られた視線は、ただただ痛かった。





 役割の辺りを、少しだけ修正しました。

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