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93話 パーフェクトヒューマノイドスライム(分体①)

「これは……」

「壁、ですね。しかもこの色……《透視》」


 50階層を後にした俺達は54階層で足を止めた。

 というより止めざるを得なかった。


 なぜなら俺達の目の前には高く聳える銀色の壁が立ちはだかっていたから。

 

 猩々緋さんはその壁をコンコンと軽く叩き、とりあえず俺はその後ろで《透視》を発動させてみる。

 壁の色の既視感。

 俺の予想が正しければこれは、50階層のシルバージャックパラサイトスライムが武器として扱っていたあれと同じ仕組みだろう。


「どうですか?」

「はい。見えます。この壁にも急所の点が」


 壁の中央部分に見えた点。

 俺はジャマダハルを取り出すと、その点に刃を突き刺す。


 すると、壁に張り付いていたであろう銀色のスライムが雪崩のように落ち始めた。

 どうやらシルバースライム達がこの壁を覆い、強度を高めていたのだろう。


 でも何故?


「ん? あいつだけ色が」


 流れ落ちて消えていくシルバースライム達を眺めていると、その中に1匹だけ黒光するスライムを見つけた。

 HPゲージもそいつだけ若干残っている。


 名前は【メタルマジックキャンセラースライム】。

 全く聞いたことのない名前のスライムだ。


「【マジックキャンセラースライム】……私も初めて見ます」

「猩々緋さんでもですか」


 猩々緋さんですら見た事がないスライム。

 という事は相当レアなスライムなのだろう。もしかして経験値も多い?


「取り敢えず、俺が倒しておきます」

「では私はこの壁を」


 お互いに狙いを定めて攻撃を繰り出す。

 しかし。



 キィン。

 カン。



 ジャマダハルが弾かれる音と金属に何かがぶつかったときの音、この2つの音が辺りに響いた。


「いやぁ、【マジックキャンセラースライム】は量産が難しいスライムだから殺されると困るんだよねぇ。それとこの壁をまた作るのは面倒だからやめてもらってもいいかな?」


 俺と猩々緋さんの目の前に現れた銀色の薄い壁。

 それは俺達の攻撃を遮っただけでなく、流暢な日本語でぶつくさと言葉を紡ぐ。


 これだけ流暢に喋るモンスターはあれ以来。

 それにしてもこの声。どこか聞き覚えが……。


「ははは、久々の再会だっていうのにそんな神妙な顔はないんじゃないかな?」


 銀色の薄い壁はにゅるにゅると動き出し、1つの塊になった。

 そして、それは人の形に変わる。


 シルバージャックパラサイトスライムの人間みたいな風貌ではなく完全な人間の姿に。


「こむら、さき?」

「お久しぶり。それでそちらはS級2位の猩々緋君かな? 君の噂は聞いているよ。最強の補助探索者だってね」

「……」



 ぎり。



 猩々緋さんが奥歯を強く噛みしめると、小さい歯ぎしりの音が聞こえた。


「……。ふぅ。……あなたが小紫さんですか。大人しく投降して頂ければ、痛いようにはしませんよ」


 猩々緋さんは自分を律するように深呼吸をすると、恐ろしい笑顔を浮かべ小紫に語り掛けた。


「投降? ははははははっ!! そんなものするわけないじゃないか!! 折角モンスターの研究に最適な場所と実験道具を手に入れたっていうの――」



 カン。



 目にも止まらぬ速さで猩々緋さんの蹴りが小紫の顔面を捉えた。

 しかし、小紫に痛がる様子はない。

 それどころかその表情はどこか楽し気に見える。


「はははははははっ!! S級2位の攻撃をもってしても傷つかない体!! これをもってすればあらゆる素材……モンスターも人間も僕のものだ。白石君、猩々緋さん、それにこの先に進んだ探索隊の奴らもね」

「小紫……」

「小紫……その名前で呼ぶのはもうやめてもらってもいいかな? ほら君の目に映っているモンスター名を読み上げてごらん」


 俺の目に映っていた名前は【パーフェクトヒューマノイドスライム(分体①)】。

 小紫という文字はどこにも見当たらなかった。


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