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89話 速攻

「次は50階層ですけど、休憩は大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫です」


 40階層の階段を下ってからここまで全力疾走でここまで順調にやってきた。

 フロアにいるはずのモンスター達は先に行った探索隊の人達が一掃してくれ、その影すら見えず快適そのもの……。

 

 だが、俺の心はダメージを負っていた。

 バフを掛けてもらっているっていうのに、追い付くどころか抜かそうとすら思いながら全力で走っているのに、前を進む猩々緋さんとの距離はずっと同じ距離のまま。

 しかもバフを掛けていない猩々緋さんは、息を乱すことなく余裕の表情を浮かべているのだ。


 まさかまざまざと実力の差を見せつけられるのがこんなに悔しいと思えるなんてな。


「ではこのまま進ませてもらいます」


 俺の返事を聞くと猩々緋さんは、脚を止めることなく階段を下っていく。

 


「ぐるう゛ぁぁあああああぁあっっ!!!」



 すると、階段の先からけたたましい鳴き声がここまで聞こえてきた。

 明らかに凶暴そうなその鳴き声にスライムらしさは一切感じない。


「……。ちょっと早すぎますね」


 ぽつりと呟く猩々緋さん。

 確かに、道中の状況を見るにボスのリスポーンはまだのはず。

 この先で既にボスが待ち構えているというのは不自然だ。


「……。先に私が様子を窺います。少し先に行ってますね」

「え?」


 そういうと猩々緋さんはスピードを上げ、一気に階段を下っていった。

 

 まるで『瞬脚』を連続して使っているのかと錯覚をするような速さの猩々緋さんはあっという間に小さくなり、俺の視界から姿を消す。


「ははは、すご――」



「ぐるう゛ぁぁあああ――。う゛っ!!」



 乾いた笑いを溢しながら呆気に取られていると再び、ボスの鳴き声が響く。

 しかし今度の響いてきた鳴き声は、途中で遮られ、その後には呻き声のようなものが聞こえた。


 もしかしてもう終わってしまったのだろうか?


「まさか、そんな……」


 いくらS級2位と言えど、50階層の、しかも小紫の手によってモンスターが凶暴化しているとされている状態のモンスターをこんな早く片付けられはしない。

 

 そう思いながら、俺はようやく50階層に足を踏み入れる。


「あ、白石さん。確かにモンスターは強くなっているみたいで、それにボスの数も増えているようです。この先も気を付けて行きましょう」


 するとそこには、笑顔で待っている猩々緋さんの姿と横たわる通常色の2匹のドラゴンスライムが倒れていた。


「この、数十秒で2匹も……。あっ!! 猩々緋さん上っ!!」


 その光景に呆然としていると、唐突に上空に横たわる2匹よりも大きな個体のドラゴンスライムが姿を現した。

 

 俺が直ぐ気付けなかったのは、このドラゴンスライムが認識阻害系のスキルでも持っているからなのだろうか?

 だとしたら厄介な敵と言わざるを得な――



 ぶしゅっ。ずどん。



「いやぁ、こんなに大きなドラゴンスライムは初めて見ましたよ。でも、強さに違いはないみたいですね」


 俺は一度もドラゴンスライムと猩々緋さんから目を離してはいない。

 それなのに、今何が起こったのか全く目で追えなかった。

 分かるのは、猩々緋さんがドラゴンスライムの頭部を右手に携え、横たわるドラゴンスライムの数が1匹増えたという事。

 

「ぐ、るぁぁあ……」

「おや?」


 猩々緋さんの持っていたドラゴンスライムの頭が勝手に動き出し、呻き声を上げた。


 そしてそれに呼応するようにして、横たわっていた他2匹のドラゴンスライムも地面を這うようにして動き出す。


「なかなか面白いモンスターですね。そう思いませんか? 白石君」


 死んだはずのドラゴンスライムが動いている様子をニヤニヤと笑いながら観察する猩々緋さん。

 その子供のような純粋な視線は、どこか狂気すら感じる。


「「「うるがぁぁあああぁあああ!!!」」」


 そんな事を思っている間に、ドラゴンスライム達は一箇所に集まると、姿を変え三つ首の新しいモンスターへと姿を変えた。

 どうやらこれがここの階層ボスの真の姿らしい。


「【ギドラスライム】……って既視感が凄いな」


 新たに俺達の前に姿を現したボスに対して俺はそう呟くのだった。

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