55話 覚え
「大分見た目が変わったな。銀色が混ざってるのはやっぱりシルバースライムの素材を使ってるからなのか?」
「たぶんな。それよりも能力が大分上がってるぞ。それに鑑定を使わなくても武器の能力が見れるようになった。1回アイテム欄に入れて武器の名前をダブルタップしてみ」
俺は忠利に言われるがままアイテム欄にジャマハダルを仕舞い、アイテム欄に追加されたジャマハダルをダブルタップした。
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武器種:両手刺突剣
名前:ジャマハダル☆☆
攻撃力:88
スキル:浸食、即死慣れ
武器特性:会心威力アップ
次回進化必要素材:ファングヒポモスの大牙×20、シルバースライムの心臓×5
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「攻撃力って全部50固定だと思っていたが……」
「進化した事でステータスの部分に個性が出たな。多分今まではどの武器も同じ攻撃力で代わり映えしないから、ステータスを見れなかった、というより見る必要がないっていう風に判断されてたのかもしれないな」
新しく追加されたスキル『即死慣れ』は文字通りなら即死効果アップのパッシブ系スキルだろう。
シルバースライム戦で即死の確率の低さに何度か冷や冷やさせられていた事を思うとこれは有難い。
「進化素材のファングヒポモスの大牙ってやっぱり【重獣】のモンスターだよな? 何階層にいるとか分かるか?」
俺は聞き覚えのないモンスターの居場所を忠利に聞いてみた。
こんなに早く武器を進化させられるのならこの1週間のうちにもう1段階位進化させておきたい。
「ファングヒポモスは確か50階層以降の通常フロアで沸いてたと思うが、あれは結構めんどくさい相手だぞ。地中に潜って身を隠し、油断した探索者を下からそのデカい牙で貫こうとしてきやがる。牙が麻痺牙になっているから、掠っただけでも致命傷に繋がる。他のダンジョンだったらボスとして配置されてもいいレベルのモンスターだと思う」
「また麻痺か……」
ミニドラゴンスライムやゴールドホーンラビット。どいつもこいつも雷だの麻痺だのめんどくさい。
「ただ、俺も何度か倒したことはあるが、大牙なんてドロップしなかったぞ。ドロップ品は魔石と皮だけだったはず」
「そのパターンどこかで……」
部位破壊で新しいドロップ品。
まさにダンジョン【獣】のホーンラビットやゴールドホーンラビットと同じパターン。
もしかすると牙を破壊する事で経験値大量獲得が出来るかもしれない。
ここまで挑んだダンジョン2つと今回のダンジョン情報。
俺はこの3つから1つの仮説を立てた。
各ダンジョンには必ず経験値豊富なモンスターが潜んでいる。
最難関の1つダンジョン【竜】にも同じように経験値モンスターが居るのならば、それは是非狩ってみたい。
「ふふふ……探索の楽しみが増えたな」
「な、なんだよ急に変な笑い方して……。まぁ、あんな事件があったばかりで疲れちまってるのは分かる。ただ、そんなに気負わず頑張ればいいんじゃないか。別にもしランクが上げきれなくても輝明の力が必要だってことはいずれ探索者協会のお偉いさん達も気づいてく――」
「よし! 俺はしばらくダンジョン【重獣】に籠る。2徹、いや3徹は余裕でいける。元ブラック企業社員を舐めるなよ」
「……はぁ。灰人も輝明も……。俺は心配だよ」
そうして俺はため息をつく忠利から探索用のアイテムをいくつか購入すると、店を出た。
期間は1週間。家に帰る時間さえ惜しい。
俺は急ぎ足でダンジョンに向かいながら、一応灰人にしばらく帰らないというメールを送る。
ピロン。
「おっ。もう返信きた」
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from:白石灰人
to:白石輝明
こっちは気にしないで大丈夫だから。
程々に頑張れ。
俺も程々に頑張る。
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短い文面だったが、俺は『俺も程々に頑張る』という言葉に少し安堵を覚え、薄っすら笑みを溢すのだった。
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