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35話 笑い声

間ローファンタジー2位!

日間総合28位!

ブックマーク・評価してくださった読者様、ありがとうございます!

「あの、桜井さん。灰人の事を考えると50階層はリスクが高すぎるかと……」

「あっ! これも50階層までの探索には必要ですわね! それと着替えは持ってて……トラベルセットを忘れてましたわ!」


 桜井さんは俺の話等聞く気もないのか、ビル内にある日用雑貨店であれもこれもと、買い物かごに放り込んでいた。

 

 ダンジョン【スライム】の40階層の難易度が高いからという理由でダンジョン【獣】を選んだというのに、まったく意味がなかった。

 これなら最初からミニドラゴンスライムで経験値を稼ぐ計画にしておけばよかった。


「灰人はいいのか? 間違いなく俺達が守ってあげられない状況がある。もしかしたら……」

「兄さん。俺はさ、自分がどんだけ悪口を言われても馬鹿にされても構わないんだ。でも家族を、兄さんの事を馬鹿にする奴は許せない」


 普段俺の性格がこれの所為か、どこか砕けた雰囲気を持っている灰人だが、家族の事となるとこうなってしまう。

 男手一つで俺達を育ててくれた父さんの事は勿論、俺の事まで良く慕ってくれている。


 別に灰人と暮らすことが嫌なわけではなかったが以前一度だけ一人暮らしを灰人に勧めた事がある。

 

 その時の灰人は自分を捨てるのか、もしかして俺に持病があって余命がもうないのか、自分をどこかの養子にする気なのか等、あらゆる可能性を疑い、俺に対してしつこく質問攻めをしてきた。

 

 家族への愛があるのは嬉しい事だが、もうちょっと独り立ちして欲しいというのが兄の本音だ。ブラコンは女性にも受けないだろうしな。


「買いましたわよっ! さぁ戻ってあいつにぎゃふんと言わせますわよっ!」

「はい! 桜井課長!」


 2人の盛り上がり様に、俺はもう反論出来ず、黙ってダンジョンに戻ったのだった。


 はぁ、しばらくはこうやって押し切られることが増えるんだろうな。



「ホーンラビット狩りがないと思ったよりすんなりですわね」

「灰人が10階層でボスに一撃入れられなければ、ですがね」


 俺はそういうとじっと灰人を見つめた。


「あれはごめんって何度も言ってるじゃないか。それに、俺だって色々試したいことがあるんだよ」


 10階層でのボス戦。灰人は急に俺達の前に立ってみせると、剣に力を籠め何かをしようとした。

 しかし、あまりにその何かが発動するまでが隙だらけで、一撃を入れられてしまったのだ。

 致命傷にはならなかったが、見ていて心底冷や冷やした。


「それは構わないが、ボス戦の時は俺が相手をある程度弱らせてからにしてくれよ。それと桜井さんが御手隙の時な」

「それも分かってるって」

「お説教は終わりましたわね。次は20階層。行きますわよ」


 俺達の会話が終わるタイミングで桜井さんは目の前にある20階層への階段を下り始めた。


 20階層のボスはゴールドホーンラビット。

 範囲攻撃持ちでパーティーで戦うには相性最悪の相手だ。

 

 出来れば俺が角を折ってから2人には攻撃をしてもらいたいところだが、2人ともやる気満々でさっきから俺より早くモンスターに攻撃しかけてるんだよなぁ。



「キーッ!!」



 俺達が20階層に辿り着くと、ゴールドホーンラビットがあいさつ代わりに威嚇をしてきた。

 

 今にも飛び掛かってきそうなゴールドホーンラビットの姿を捉えると俺達は重心を落とし戦闘の構えをとる。



「ふふふふふ」



 戦闘の幕開け。その瞬間、俺はどこからか人の笑い声が聞こえた気がした。男の低い、怪しげな笑い。


「どうしたんですの? 白石君」

「い、いやなんでもな――」



「キーッ!!」



 俺が声に気をとられているとゴールドホーンラビットはその角に電気を溜めだした。

 

 俺が一番恐れていた攻撃。出来れば電気を貯められる前に、角を折りたかったんだが……。


「間に合うか?」


 俺は慌ててゴールドホーンラビットの元へ駆け出した。

 『瞬脚』の範囲にゴールドホーンラビットを入れてしまえばチャンスはある。

 

「キーッ!」

「駄目か……2人とも避け――」



 ひゅんっ。


 

 ゴールドホーンラビットが電気を帯びた角を振り上げると俺は2人に避けるようにと注意喚起をしようと振り返った。

 すると俺の頭上近くを透明な白の斬撃が通り過ぎ、ゴールドホーンラビットに向かって行った。


「キーッ!」


 斬撃はゴールドホーンラビットの頬辺りを掠め、ほんの少しだけHPゲージを削った。


「兄さん! 今だっ!」


 俺はその声を聞き慌てて止まりかけた足を動かした。


 ゴールドホーンラビットの角に電気を帯びている様子はない。

 どうやら今の攻撃で散ってしまったようだ。


「≪透視≫、『瞬脚』」


「キィアァーッ!!」


 俺は一度に2つのスキルを使い、そのまま一気にゴールドホーンラビットの角を真っ2つに折ったのだった。

お読みいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけましたらブックマーク・評価を何卒宜しくお願い致します。

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