28話 昇級
「15番の札をお持ちの方。こちらの窓口でお願いします」
ダンジョン協会本部1階、探索者昇級受付。隣には探索者登録受付その横に探索者相談窓口。
まるで役所のような作りだとここに来る度に思ってしまう。
特にこの整理券はいかにもって感じだ。
「はい」
俺は自分の番号が呼ばれ、小走りで窓口に赴いた。
昇級受付には、俺以外にもう2人待っているようだったが、こんなに毎日昇級する人がいるのだろうか?
「お待たせ致しました。本日は昇級の手続きでしょうか? それとも降級通達の取り下げでしょうか?」
「昇級の手続きをお願いします」
「かしこまりました。それではまず探索者証のご提示をお願いします」
俺は言われるがまま探索者証を取り出した。
それにしても降級通達の取り下げっていうのはなんだ?
字面が不穏でしかないんだが。
「はい、ご提示ありがとうございます。D級からC級への昇級ですね。そうしましたら、ボスモンスター討伐証10種のご提示よろしいでしょうか?」
「はい」
俺はアイテム欄からボス討伐証を10種類取り出すと窓口のお姉さんに手渡した。
お姉さんはボス討伐証を1つ1つ真剣なチェックし、終わるとニコッと笑ってみせた。
お姉さんの目はチェック中若干の青が混じっていた。
忠利が持つ『鑑定』の様にこのチェックも何かしらのスキルを使っていそうだ。
「はい。確かに10種類揃っていますね。こちらは全て引き取らせてもらいますがよろしいですか?」
「問題ありません」
「ありがとうございます。そうしましたら今度はこちらに給与の振込先の口座とお名前、ご生年月日、携帯番号、メールアドレスをお書き頂いた上で母印をお願いいたします。それと振込先のキャッシュカードか通帳のコピーが必要になりますので、どちらかお預かりしてもよろしいでしょうか?」
「どっちも持ってきたので……はい、よろしくお願いします」
「お預かりします」
お姉さんは通帳を預かると真後ろにあったコピー機で通帳のコピーをとった。
普通こういうのは自分で持ってくるのが普通だし、預からせたり預かったりという事はないのだが、まぁこんなにコピー機が近くにあれば問題ないか。
「はい。ありがとうございます」
通帳を戻されると俺は手続きの書類の記入を続けた。
C級とD級の最大の違いは給与。これからはダンジョンのドロップ品だけで生計を立てる、という不安定な事も無くなるのだと少しだけ気が楽だ。
十分ドロップ品の回収が出来て、気にしない人もいるのだろうが、やはり元会社員だからか固定給が無いと不安になってしまう。
「書き終わりました」
「ありがとうございます。こちらをお使いください」
俺が1通り書き終え書類を提出すると朱肉で汚れた指を拭く為のウエットティッシュを手渡された。
母印なんて、なんだかんだ初めてだ。
「それではC級への昇級という事で今後の説明と注意事項を申し上げます。よろしいでしょうか?」
「はい。大丈夫です」
「ありがとうございます。こほんっ。C級からは給与が発生致します。給与はランク、序列によって異なりA級以上の方々にはボーナスが給付されます。これらは快適な探索者生活を育んで頂く為、更には命を顧みずダンジョンに挑んで頂く皆様に対する探索者協会からの感謝であると思ってください」
探索者にボーナスなんていうものがあったのか……。
A級以上の探索者思っている以上に高給取りなのかもしれない。
「序列に関しましては、こなした依頼、その数、ボスの討伐数、レベル等々によって評価し、最近では毎朝9時頃に更新されます。C級以上の各探索者様の探索者証に記載される序列は魔法紙の効果で自動更新されます。C級の場合序列が大きく変動しやすいので、毎日ご確認して頂く事をお勧めします」
「自動更新ですか。そんなことが出来るんですね」
「はい。後日新しい探索者証がご自宅に届きますので、それ以降は探索者証で確認してください。届くまでの約1週間は探索者協会HPでのご確認となりますのでご理解お願いします。ここまでで何かご質問はありますか?」
「えっと、因みにC級は何位からのスタートになりますか?」
目指すはC級10位。
スタートラインは早いうちに知っておきたい。
「今ですと254位からになります。最近は探索者の方々も増えていますので。他にご質問はありますか?」
「いえ、大丈夫です」
254位か。想像はしていたが10位以内は中々に厳しいラインなのかもしれない。
「続きまして依頼についてですが、こちらから直接依頼させていただく事もありますが基本的には探索者様に今受けられる依頼リストをメールにて配信致しますので、その中から選択して頂いて返信して頂くようお願い致します。もしやり方が分からない、スマホを持っていない等の事情がある場合には探索者協会2階にて同じお手続きをすることも出来ますのでご利用くださいませ」
「はい。分かりました」
「依頼達成の報告、依頼物の納品も2階にて受け付けておりますのでそちらをご利用ください。その際探索者証をお忘れないようにお願い致します」
「はい」
「他の細かい規約等は新しい探索者証と一緒に書面でお送りさせて頂きますので届き次第目を通して頂くようお願い致します」
「分かりました」
「最後になりますが依頼を受ける事がない場合や何度も受けた依頼を反故にすると降級の通達が届きます。罰金の支払いで取り下げは出来ますが、くれぐれも気を付けて頂くようお願い致します」
俺は一通り説明を受けると、探索者協会を出た。
『探索者協会』
すると早速、スマホに探索者協会からメールが届くのだった。
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