25話 5つ目の証
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「やっと10階層か……」
1フロア1フロアが広い所為か中々次の階層が見つけられず四苦八苦していたが、何とか10階層への階段を発見した。
岩や隆起した地面の近くが比較的に怪しく、他の探索者と話してみたところ、このダンジョンの階段の位置は日ごとに変わるらしい。
階段を探すのはローグライクの醍醐味だとは思うが、なかなかしんどい仕様だ。
「階段を見付けやすくなる何かがあれば楽なんだが……」
俺はぼやきながら次の階層へ降りてゆく、目標は30階層。
出来れば今日の内にそこまで辿り着いて、次のダンジョンに向かいたいところ。
一応頭の中では証をスライムで4、獣で3、ゴブリンで3の内訳で取得する予定だ。
「ぐるっ?」
「デカいな」
ボスの間はダンジョン【スライム】と変わらず、それなりの広さで清潔感が強い部屋だった。
そして、俺の目の前にいるのは巨大な大剣を片手で持ち上げられる程大きなコボルト。
鎧のような装備を身に着けていて、人間の真似事でもしているように見える。
名前はウォーリアーコボルト。見た目通りのお名前だ。
「≪透視≫」
俺は早速≪透視≫を使った。
いつもの様に赤い点が胸の位置に映っているが、今回はそれ以外にも装備品に青い点が映っていた。
「……なんにせよ。試してみないとな」
「わぶるぁああああ!!」
俺はジャマハダルを装備していると、ズシンズシンと大きな足音をたてながらウォーリアーコボルトが襲いかかってきた。
ウォーリアーコボルトがブンっと大剣で薙ぎ払いをすると、強烈な風が発生する。
それによって地面に落ちていた小石や砂が体に当たり少しだけ鬱陶しい。
しかしそれだけのこと。
攻撃は遅いし、脚も速くない。
たぷんと揺れる腹は中年のおっさんのそれ以上。
「負ける気がしないな」
俺は攻撃を掻い潜り、懐に潜り込むと胸当てに見えた青い点を突いた。
「ぐるぁっ!?」
すると青白い会心の一撃のエフェクトが発生し、胸当てはいとも簡単にはじけ、ウォーリアーコボルトの胸辺りの体表が露わになった。
察するにこの青い点は装備品などの急所。
ここを突けば、装備品でもモンスターと同じ様に会心の一撃が出せるようだ。
「ぐ、ぁああああぁああぁあ!!」
装備品を破壊され、激高したのかウォーリアーコボルトは天を仰ぎながらデカい声で吠えた。
「これは……」
吠えながらウォーリアーコボルトの体は次第に赤く、熱を持ったような見た目に変わっていく。
「ただ、動きが止まってる今がチャンス」
俺はその挙動に恐れることなく、ウォーリアーコボルトにジャマハダルを突き付けようとした。
「がぁっ!!」
ウォーリアーコボルトはそんな俺を近づけまいと、慌てて大剣を振り下ろした。
さっきまでの攻撃よりも速い。それに、俺には当たらなかったものの地面に勢いよく振り下ろされた大剣は小さめの隕石が落ちたようなクレーターをそこに作っていた。
おそらく奴のスキルは身体強化系のものなのだろう。
「ぐっああああぁぁ」
その後もウォーリアーコボルトの攻撃パターンは変わらず、俺は攻撃をさらりと躱し、淡々と自分の攻撃をさせてもらった。
念のため、まず足の腱を斬り動きを封じ、次に腕を切り落とし大剣を握れないようにし、悠々と胸の赤い点をジャマハダルで貫いた。
俺がレベルを上げていたからあまり強く感じなかったが、探索者なりたてでここに来ていたらかなりの確率で死んでいただろう。
あの無駄に広いフロアがむしろ新米探索者をここまで近づけないようにしてくれていると考えられない事もない。
「ウォーリアーコボルトの証……これで証が5個」
俺はドロップ品を回収すると、次の階層への階段に向かった。
「これは……このダンジョン分岐があるのか」
いつもなら次の階層への階段は1つだけ。それなのに俺の前には2つの階段。
もしかして罠?
「うーん……」
「あ、こっちはコボルトコース。そっちはホーンラビットコースですよ。おすすめはコボルトですね。この先にいるコボルトは装備品をドロップしますから。それにホーンラビットはあの硬い角が厄介なのでお勧めできませんね」
「え?」
「ボスお疲れさまでした! あなた強いんですね! それではよい探索を!」
俺の後ろから探索者が1人声を掛けてきた。
そしてそれに続くように上の階層から探索者が何人も降りてきた。
なるほど、みんな強力なボスとの戦闘を避けて次の階層にいるお目当てのモンスターを狩りに向かっているのか。
ボスの方が経験値は旨いのに。
因みにウォーリアーコボルトの経験値は140。レッドメタリックスライムの半分以下の経験値だった。
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