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202話 喰うと増える

「ふっ!」


シードンは俺の鳩尾目掛けて拳を振った。


慌ててジャマダハルを盾にしてそれを受けるが、あまりの攻撃の重さに膝がガクンと折れる。


ジャマダハルからは軋むような音さえ漏れ、一発でもまともに喰らえばどうなってしまうのか、嫌でも最悪の場合を想像してしまう。


「『隠蓑』解除」


俺は自分の場所を特定されていては、隠蓑にデメリットしかないと判断して隠蓑を解除した。


すると【5】のシードンは驚くような顔を見せ、一瞬だけ力を緩めた。


「見た事のないモンスターだな……。メロウに似た顔つきだが」


【5】シードンはまじまじと俺の顔を見つめ、顎に手を当てた。

毒状態だってのに随分余裕な表情だ。


「人間を知らないのか?」

「人間……聞いた事がないな。そもそも俺が生まれたのが数ヵ月前という事もあるだろうが……。メロウの奴らにはまだまだ聞き出す事があるみたいだな」


【5】のシードンは顎に手を当て思考を巡らせているようで視線を下に向ける。


それにしても、シードン討伐に向かったメロウは返り討ちにあってたか……。

幸い生きてはいるようだけど、酷い拷問を受けている可能性も……。


「人間というのはダンジョンで暮らしているのか?群れの規模は?全ての個体がお前のように話す事が出来るのか?強さは?異なる性別はいるのか?」

「……。それを聞いてどうするつもりだ?」


矢継ぎ早に質問を投げ掛けてくる【5】のシードン。

その表情はひどく興奮しているように見える。


「メロウの集落を落とした後の事を最近は考えていてな。違う種族を陥れるという楽しみが無くなったらどうしようかと……。ただ人間という種族がいるならば……。想像のネタは多い方がいい」

「下衆だな」

「俺達シードンはあまりにも増えすぎた。だが、その中で揉まれ、他者を蹴落とし……終いには殺す快楽まで覚えてしまった。逆に可哀想だとは思わないか?」

「思うわけねえだろっ!!『剛腕』」


俺は腕を強化すると【5】シードンの拳を弾き飛ばし、『即死の影』による羽での攻撃を仕掛けた。


結局のところ即死耐性を持っていれば、急所に当たらない限り 効果はないが、それでも牽制としてこの羽は活きてくれる筈だ。


「奇妙なスキル。しかもスキルの保有量が多いな。面白、いっ!」


【5】のシードンは羽に自ら顔を近づけてそれを食った。


そして、その身体には黒いオーラが。

もしかしてこいつ……。


「即死効果……貰ったぞ」

「……スキルを喰ってコピー?ダンジョンのモンスターだけじゃ食欲は満たされないってことか……」

「俺達、いや俺の食欲は多大。それがこの状況下で嫌にもなった。だが、だからこそ俺は強くなれた。スキルを喰う、正確には俺はバフを喰い、それが永続される。つまり喰えば喰うほど俺の肉体は強固に、そして完全なもの近づくっていうわけさ」


バフの重ね掛けで戦ってきた俺にとって相性最悪の敵。


だが、こいつの言い方……。

きっとまだデメリットのあるバフの存在を知りはしないんだろうな。

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