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196話 始まったな

「経験値が取得出来るアイテムか。凄いな」


これがあればモンスターと戦うリスクを追わなくてもレベルアップ出来る、か。

地上で売ったら一体どれだけの値段になるか気になるところだ。


「通常サイズなら大体70000~80000の経験値になるわね。多分だけどシードンから大量の経験値を取得出来たのはその個体がこれを完全に取り込んでいたからじゃない?」

「真珠の経験値分が反映されていたって事か。それでまだ取り込めていない個体は貰える経験値が少なくて、真珠もドロップ品として残ってるって事か」

「取り込めていない、それが出来なかったの方が正しいのかも。シェルプリーストの真珠って本当に硬いから」


メアは指を弾いて真珠を叩いて硬さをアピールする。


「でもメア達メロウはこれを割って経験値を得ているんだよな?」

「これが結構大変なのよ。こうやって鱗を使って表面の一番硬い部分を削り落とさないといけないから」


メアは真珠を自分の下半身にびっしりと敷き詰められた鱗に押し当ててごしごしと擦る。


さらさらと落ちていく削った際に生まれた粉はキラキラと光り、なんだか勿体なくも思える。


「がぁ」

「あっ!それは食べ物じゃないわよ」


するとシードンを食べていたトゲくんが地面に落ちた真珠を削って生まれた粉をペロペロと舐め始めた。


旨そうに見えたのは分からなくはないけど、それはちょっと意地汚い気もする。



「――これであらかた削り切れたわね。これならトゲくんにも割れる筈……」


メアが作業を終えてトゲくんを見ると驚いた表情を見せた。

それもそのはず、今までのレベルアップよりも明らかにトゲくんは大きくなっていたのだ。


「これだけで経験値が貰えるなんて、そんな事今まで無かったのに……」

「今回の真珠は通常よりも大きかった。という事はシードンの体内で育った真珠はより沢山の経験値も内包されていて、表面の粉からですらそれが得られたって事か」

「これは余計に経験値稼ぎが捗りそうね。でも何でシードンの体内で育つのは何で……」

「シェルプリーストよりも沢山の栄誉を取り込んでる、もっといえば殺して、捕食している数が多いって事だろうな。相当な数がいるだろうし、共食いしてる可能性も――」

「仲間を食べてるっていうの!?なんだかこいつらがおぞましいモンスターに見えてきたわ」


メアはシードンの死体に軽蔑の視線を送った。


「おっ。こっちにもあったか」


その視線につられてシードンの死体を見ると口からコロンと真珠が吐き出ているのが見えた。


俺はそれを拾うと、《透視》で急所を探りジャマダハルを翳す。


「少し勿体ないが取得経験値の量は把握しておかないとだからな」


強めに真珠の急所を突く。

すると真珠はあっさりと2つに割れ、ゆっくりと消えていく。


その姿は、まるで割られる事が自分の役目だと知っていたかの様にも見えた。


『600000』


そして表示された取得経験値はアダマンタイトスライムの一部の半分であり、さっきまで苦戦していた【7】のシードンを遥かに越える量だった。


こんなに簡単にこの経験値……。

経験値インフレ、始まったな。

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