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194話 海中洞窟

「みんな大丈夫?」

「いてて、お陰さまで」

「がぁっ!」


津波に飲まれた俺達は勢いよく流され、しばらく身動きが取れないまま海中を彷徨った。


そして辿り着いたのは巨大な岩壁にぽっかりと空いた大きな穴。


その穴は複雑に、長くうねった道になっていて、俺達はその終着地点で浮上した。


するとその先にあったのは広い空洞。


陸になっていた為、ゆっくりと海から出て周りを見る。

壁や足元には白く発光する岩が点在しているお陰で中は暗くない。


「それにしてもまさかこんなところがあるなんて……流されてこなければ絶対知らないままだったわね」

「海中洞窟ってところか?しかも先に続いてる」

「……。もしかしたらだけど私達が利用してるワープステーションに近いものがこの先にあったりしないかしら?こんなところに広い洞窟……それくらいの何かがあっても不思議じゃないわよ」


確かにダンジョンっていうのはゲーム何かだと特別な場所ほどそれに見合ったアイテムや仕掛けがあるものだ。


もと来た道を戻ったとして、海に沈んだ階段を探すのは面倒な上に海中でモンスターと戦わないといけないかもしれないというリスクもある。


それと正直なところこの先に何があるのか確かめてみたいという好奇心もある。


「……ここはメアの勘を信じてみるか」

「じゃあ一度スキルを解くわ。とその前にこの手を何とかしないと。トゲくん」

「がぁ」


メアに声を掛けられるとトゲくんは凍ったメアの手と自分の身体の一部をペロペロと舐め始めた。


意外にも口内な温度は高いのかあっという間に氷は溶けてしまった。


現れたメアの手は赤く、明らかに凍傷していたが痛がる素振りがない。

我慢強いのか、もう手の感覚がないのか。


メアはトゲくんの背中から降りるとシャボンにそっと息を吹き掛けた。

するとあれだけ頑丈だったシャボンは簡単に弾け飛び、強烈な破裂音を辺りに響かせた。


「まさか今のでビビったの?」

「いや、今のは驚くだ――」



――ドッドッドッド



今の破裂音に呼応する様に洞窟の奥から複数の足音が聞こえ出した。


「今ので奥にいた奴らが慌てて駆けつけてるっぽいな」

「シードンの群れね。ていう事はやっぱりこの先にはシードンがフロアを上がってくる別ルートがあるって事よね」

「可能性は高い。不幸中の幸いってこういうのを言うんだろうな。メア、これ飲んでその手を治しとけ」

「うん、ありがと」


俺はメアにポーションを投げて渡すとジャマハダルでを取り出して構えた。


「《透視》『即死の影』」


いつの間にか効果が切れていた2つのスキルを再び発動させると、俺は早速即死の影によって生まれた羽を飛ばそうとした。


しかし……


「がぁっ!」

「いいわよトゲくん!」


俺が攻撃を仕掛けるよりも先にレベルアップしてより強力な冷気を吐けるようになったトゲくんは思い切り息を吐き瞬く間に道ごとシードンの群れを凍らせてしまったのだった。

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