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169話 難しい女性

「リヴァイアサン……」


 様々な媒体でその姿が描かれてきた海のドラゴン。

 大抵のゲームや漫画等だと後半の強敵として登場する事が多いイメージだ。


 シーサーペントの上位存在という点からも相当な強さがあるのは容易に想像出来る。


「はっきり言って今のあなた程度の力量でどうにかなるモンスターじゃないわ」

「じゃあ倒せるまでレベル上げしないと。レベル上げに最適な場所ってあるか?」

「レベル上げに最適な場所は知っているわ。でもあなたがレベルを上げてそれを倒すまで待つのはこっちとしても大変なのよね。他の人間が入ってこないか常に厳戒態勢にしなくちゃいけないのに、あなたの為にずっと人員を割くのはあまりにも……」

「でも俺はどうしてもアイテムを手に入れたいし、それまでここを出るつもりは――」

「私に考えがあるわ。とにかく今から私達の集落に向かって、詳しくは移動しながら話すわ。あ、あとこれ」


 女性はまたどこからか縄を取り出し、ニコニコしながら俺の手を拘束した。


「えっと、これは?」

「拘束していない状態の人間を集落に連れて行ったらみんなに余計警戒される、それどころか集落に入る事すら出来ないかもしれないわ」

「まぁそれはそうか」

「それに私、この武器、子供の人間2人にずっと拘束されてて……なんていうかやり返してやりたい気持ちが無いわけじゃないのよね」

「その事は申し訳なかったけど、仕方ない対応だったというか……」

「口答えしないでくれるかしら? 私はあなたの要求を受け入れたけどそこまで気を許したつもりはないわ。そんな口答えする余裕があるなら直ぐに記憶を消さない私の思いやりに感謝でもしていなさい」


 女性は俺の言葉に苛立ちを覚えたのか、キツい言葉を投げかけてきた。


 さっきまでそんなに悪い雰囲気じゃないと思ってたんだけど。


「……女の人は、難しいなぁ」

「人……。あなたは種族が違うからってなんでそういう態度が出来るの? あいつらと違い過ぎて……ちょっと頭がおかしくなる」


 女性はなにか呟きながら頭に手を当て、少し苦しそうな表情を見せた。


 俺そこまで気に障るような事言ったかな?


「さっき渡したポーション、毒とかそういったものは入ってないからちゃんと飲んでくれ。ここから一緒に行動する人がそれじゃあこっちまで困る」

「人……。うるさいっ! ちょっと静かにしてなさい!」


 火に油を注いでしまったのか女性は、更に怒りを露わにした。


 俺はこれ以上面倒な事にならない様に仕方なく口をつぐむ。


「そう。それでいい……。ん、んぐ。……はぁ」

「飲むのかよ……。いや、それでいいんだけど」

「う、うるさい!! 仕方なく、仕方なくよ!!」


 女性は顔を赤くしながら飲み干したポーションの空き瓶を俺に投げつけると真っ赤になった顔でどこかにジャマハダルをしまい込んだ。


「いくわよ! 話し過ぎると調子が狂う!」

「集落は何階層なんだ? もし深い階層まで潜っていくならこの拘束をしてるのは危ないんだが……」


 両手が使えない、しかもジャマハダルもない。

 正直そんな状態でこのまま潜っていくのは不安だ。


 シーサーペントは強かったがこの女性自体はそこまで強そうじゃないし。


「安心しなさい。普通に階段を使えば時間が掛かるかもしれないけど、私が居れば集落まではあっという間よ。『磁力空気泡マグネットエアバブル』」


 女性は不安そうな俺の顔を一見すると両手に小さな一粒の泡を出現させ、ゆっくりと口で空気を送り込み俺が包み込まれる程の大きさまで膨らませるのであった。

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