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162話 食べ過ぎ

「ハングリークラブは1から9階層、アイスクラブは11から39階層のおっきいのがいないとこ!」

「えっとぉ、似てるのでピザクラブとかまぼこクラブが他のダンジョンにいるよ! ダンジョンの名前分かんないけど、場所は分かるもん!」


早速2人にスキルを使ってもらい、俺はいつものようにメモを取った。


蟹のピザにカニかまか……。

そんな面白い奴らが住み着く旨そうなダンジョンもあるんだな。

今度2人をそこに連れてってやるか。


「よし。じゃあ先に進むか。階段は……」


長く長く続く開けた砂辺。

一見すればこんなところに下への階段などあるとは思わないだろう。


だが《透視》を発動させている俺には目星がついている。

ここから少し先に見える砂の城。

流木などは意識を集中させれば透けさせて見える事が出来るのに、あれだけはそれが出来ないのだ。


きっとスキルの効果が効かないのはダンジョンの仕様だと思う。もしこの仕様がなく、階段の場所を割り出せなかったら……このダンジョンに潜らないのはもしかして階段の捜索に時間が掛かりすぎるというのも原因かもしれないな。



「またあの影」

「2つ前もいた」


9階層。

ハングリークラブとの戦闘に飽きたのかアルジャンとルージュは頻りに海を眺めるようになっていた。


お目当ては1階層でも見かけたモンスターの陰影。


受付嬢の話に寄ればシーサーペントが出るようなのでそれかもしれないが……あれって一応ドラゴンの一種だったような。

ドラゴンであの大きさなら子供の姿か?


《透視》で確認しようとしたがこのダンジョンの海には全く効果が無いようで結局分からず仕舞い。


正体が気になってしょうがないのは俺もだが、今はアイテム入手の為に下の階層を進もう。


おそらく対暑効果のある程の貴重なアイテムなら深い階層のボスドロップだろうし。


「おーい2人とも! もう行くぞ!」

「「はーい」」


俺が呼び掛けると2人は素直にこちらへ向かってくる。


純心なのはいいことだ。

進化したらエクスみたく反抗心が沸いたりするのかな?


「「んっ?」」


そんな事を考えながら2人がこちらへ来るのを眺めていると、唐突に2人は振り返り声を合わせた。


「どうしたんだ2人とも」

「「……なんでもない!」」


不思議には思ったが俺は2人を信じて10階層の階段を下る事にした。


俺には聞こえなかったがもしかして……いやきっと何かの勘違いだ。

2人もなんでもないって言っていたじゃないか。

大丈夫大丈夫大丈夫。


幽霊の存在を否定する為に自問自答を繰り返す。


そしてその自問自答が数え切れないくらいになった時、俺達の前にこのダンジョン初めてのボスが現れるのだった。


「ぎしゃーっ!!」


『ハングリーロブスター』……でっかい蟹の次はでっかいロブスターか。


「「ごはーん……うっぷ」」

「武器も腹一杯になるのか……。しばらく戻るか?」

「「うん。動けばお腹減る」」


まさか腹一杯になってしまった2人に武器に戻ってもらうと、俺はあえて《透視》や『即死の影』を使わずにボスに挑む事にしたのだった。


んー、ジャマハダル……なんだかいつもより重いな。

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