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132話 崩壊?

「あ、がぅ……」


瞬く間に膨れ上がったアダマンタイトスライムは、苦しそうに低めに唸り声を上げ、その場から動く事もままならないようだ。


「炸裂させたエネルギーが硬すぎる表面部分を突破出来ずに中で暴れ続けてるっぽいな。HPもガンガン減ってるし、放っといても死ぬなこれ」


一色虹一の言う通りアダマンタイトスライムのHPは急激に減っていく。

メタル系スライムとはいえ内部からの攻撃には耐性が無い、或いは低いようだ。


それに身体を変化させたり切り離したりする事も難しいのか、アダマンタイトスライムは自分の身体の端々を少し伸ばしては戻して少し伸ばしては戻してを繰り返している。


毒のダメージも入ってるし、最後は思いがけずあっさり終わったな。


「あ、ぅ、くそ……。……。ま、さかこんな、しょうもない、幕切れなんて、笑、えるね。……白石君」


アダマンタイトスライムの表情が変わり口調も……。


「もしかして……小紫か?」

「君の毒……。あれが、きっかけでね。自分でも、びっくりさ、はは」


小紫は自分が生きていたという事実に嘲笑して見せた。


「命乞いでもするつもりか? 悪いがどんなに情けをかけられても俺はお前みたいな奴を助けてやりたいなんて微塵も思わない」

「分かっ、てる。それにもう、どうにもなら、ない」


小紫の身体からぼこぼこと音が漏れる。

これ、本当に爆発しないよな?


「ただ、自分の、研究成果だけは残したい。自分の生きた証として……」

「それは出来ないな。お前の研究は危険――」

「それってモンスターを進化させる薬の事?」


研究の成果という言葉に反応したのか、一色虹一が話に和って入ってきた。

よく見れば剣も人の姿になって、この話に興味津々といった様子。


「モンスターを、強制的に進化させる薬、他にも、モンスターに投与することで、多大な効果をもたらす薬品を、いくつか……」


そう言うと小紫は指先だけでアイテム欄を開き、見たことのないアイテムをおもむろに取り出し始めた。


そのアイテム達を一色虹一と剣が次々と回収していく。


「まだまだ、モンスターの研究を、続けたかった。体表の硬さ、固有スキル、耐性、繁殖……。モンスターの数を強制的に増やして、いずれは、スタンピードを引き起こし……モンスターが地上を闊歩するところが見たか――」


アイテムを全て出し尽くしたところで小紫のHPは完全に0になり、薄ぼんやりとなり始める。


小紫は最後まで本当に欲深い奴だった。


もし、小紫を倒せずここを放って置くことになっていたなら本当にスタンピードが、しかも強制的に進化させられた強力なモンスター達によるものが起きていたかもしれない。


そんな事を考えただけで寒気がしてしまう。


「うっひょー! お宝! お宝!」

「ねぇちょっとその進化の薬って私にも効くのかしら?」


シリアスな雰囲気を壊すように一色虹一達は盛り上がる。


探索者協会に提供して、薬について調べて貰いたいんだけど……ちゃんとそれように渡してくれるよね?


「そういえば、ダイヤモンドスライムを、倒したんだったね……。ふふふ、気を付けた方がいい。崩壊は、もう始ま――」


小紫の姿が遂に消えてしまった。

角から発せられていた攻撃も一緒に消えたのは良かったが……崩壊って一体何の事だ?

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