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130話 ≪透視≫の力

「見えた! 青い点っ!」


 アダマンタイトスライムの角部分にはっきりと青い点が映った。


 やはりスキルレベルを上げる事で、強い相手の部位破壊用急所も見透かす事が出来るようだ。


 スキルレベルがどれくらいであればどの程度の相手に効くのか、そういった検証もまたしていく必要があるかもしれない。


「でも見えた所であの風をこっちにまで向けられたら近づく事も出来ないな」


 今は一色虹一達に向けられている風もアダマンタイトスライムが少し体を動かすだけで俺の元まで届いてしまう。


 というか巻き上げられる砂埃を見るに、アダマンタイトスライムの直近真横くらいまでは強く風が吹き荒れていて、近づくなら真後ろ以外は完全にアウトだ。


「あの風、どうにかならな――」



「あ゛あああああああああああああああああああああああっ!!!!!」



 攻めれない事にもどかしさを感じていると、一色虹一のバカでかい声がフロア中に轟いた。


 俺は慌てて耳に手を当てようとしたが、それをするよりも前に出る方を優先しなければいけない事を直感した。



 なぜなら声によって風が切り裂かれるようにして、一瞬途絶えたのだ。



 もしかしたらこれが一色虹一のスキルなのか?

 そんなことが一瞬頭をちらつくが今はそれどころじゃない。


 風が引き裂かれ、アダマンタイトスライムの動きが一瞬止まった今が好機。


 俺はジャマハダルを強く握りしめ『瞬脚』を発動。

 角、ではなく羽のような部位にも青い点が見えたのでまずはそれを破壊しにかかる。


「あっ!」


 羽のような部位までまだ距離があるというのに、アダマンタイトスライムと目が合ってしまった。


 次の『瞬脚』発動までのリキャストタイムを考えると、まるで間に合わない。


「くそっ! なら……」


 俺は足を動かしながら、横目で適当にスキルポイントを割り振り『瞬脚』のレベルも一気に上げた。


 横目で適当に割り振ったせいで≪透視≫が13レベルまで上がってしまったのは痛かったかもしれない。


「『瞬脚』」


 レベルを一気に上げた事でリキャストタイムが大幅に減り、2回目の『瞬脚』も無事発動。


 これなら間に合うと思った矢先、アダマンタイトスライムは既に羽のような部位を動かし始めていた。


「ざーんねん」

「くっ!」


 強風が吹き、それは次第に強くなる。


 ここを逃せばアダマンタイトスライムの強力な一撃が飛んでくるはず。


 俺はジャマハダルの片方を地面に突き付け、強風から突風に代わる瞬間を耐え凌いだ。


 でもこんなのをしたところでどうしようも――


「えっ?」


 突風の中に見えた青い点。

 目を半開きにしている所為でそれがなんのどの部分の急所なのか把握は出来ない。


 ただ、もしかしたら……。


「くっ、おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおお!!!」


 俺は風で吹っ飛ばされそうになりながら、もう片方のジャマハダルを前に突き出した。


 それは攻撃というには弱弱しく、頼りないものだったがそれでも先端はなんとか青い点に触れてくれた。


「なにっ!?」

「ふ、くはははは!」


 アダマンタイトスライムの驚きの声と一色虹一の笑い声が重なった。


 そしてそれと同時に風は完全に真っ二つに割れ、アダマンタイトスライムの羽のような部位までへの道を作られる。


「しゅ、『瞬脚』っ!!」

「や、やめ――」


 更に『瞬脚』で一気にその道を突き進むと俺は力一杯羽のような部位に見える青い点を貫き、それを完全に破壊したのだった。

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