7匹目
「栖衣様ぁ綺麗ですっ!」
ナタリーは白黒の縞々尻尾をぶんぶんと振り回している、興奮しているらしい・・・
メイド服にあいた穴から出ている尻尾を栖衣は目で追っていた
「栖衣様っアクセサリーはこちらをお付けくださいっ」
アリスがとてとてと走ってくる
「アリス、(可愛い・・・!)」
「黒のドレスに合うように銀のチョーカーを持ってきました」
その手に渡されたのは銀のチョーカーだった
栖衣がチョーカーを受け取ると後ろから椅子がぶつかってきて栖衣は膝カックンの要領で椅子に座らされた
「わっ」
「その間に私は髪を梳きましょう、ナタリーは右手をビアンカは左手のネイルをお願いね・・・アリスは栖衣様の靴を持ってきて」
「「「はい」」」
三匹は良い返事をした後、自分の配置へとついた
「栖衣様、左手お借りいたしますぅ・・・」
ビアンカはそう言ってちいさな手で栖衣の左手を取った
栖衣の持っていたチョーカーはすぐに後ろのヘレンに取られて首へとまかれた
「栖衣様右手をお借りしますね」
ナタリーがそう言って栖衣の右手の爪を磨き始めた
「(・・・こ、こわい)」
・・・ここまでよくされると自分はどういう態度をとれば良いのだろうか
あっという間に髪を整え、さっきまで磨いていた銀の髪飾りをつけられた栖衣は(あわわわわわわ)と心の中で慌てた
爪はぴっかぴかになり薄くピンク色のマニキュアを塗られる
椅子の上で緊張しながら硬直していた栖衣はその時扉がノックされる音を聞いた
「失礼します」
入ってきたのはアランだった
「ア、アランさんっ」
さっき会ったときに思い切り泣いてしまったことを思い出して栖衣は恥ずかしくなって顔を逸らした
「アラン様!レディの部屋に返事も待たずに入ってこないでください!」
そこにヘレンの雷が落ちた
「すいません」
栖衣はびくっと飛び上がってしまったがアランは気にしていないみたいだ
「まだ栖衣様のご用意は終わってません、部屋の前でお待ちください」
「まぁもう靴だけみたいですし、いいでしょうヘレン?」
へレンにアランがそう言うと奥の扉から丁度アリスが出てきた
「アラン様?」
「アリス、」
振り返ったアランはアリスを見て近づいていった
「頑張っているみたいだね」
「はい、アラン様が来たってことはお兄様も?」
「クルトは扉の前で待ってるよ」
「それじゃあ急ぎますね」
そう言って二人は栖衣の前に歩いてきた
「アリスはクルトさんの妹なんだ」
栖衣の言葉にヘレンは頷いた
・・・そういえば同じ色だよね、毛の色・・・
靴を足元に置かれて栖衣は右足から高いヒールのそれを履いた
「あわわ・・・結構高いね」
立ち上がった栖衣は先ほどよりみんなとの身長差が広がったことに気が付いた
「とても綺麗ですよ、栖衣様」
アランにそう言われて栖衣は顔を赤くした
・・・相手はネコ、相手はネコ・・・
栖衣は心の中で呪文のように何度も繰り返した