表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネコの花嫁  作者: 啓輔
7/19

6匹目

※2010.08/23

「栖衣様、午後からアラン様とクルト様がお迎えにあがるそうです」


ヘレンはそう言って鏡台からいくつもの髪飾りを出していた。


「へ・・・お迎え?・・・どこかに行くん、ですか?」

「はい。ですから一度お風呂に入って身を清めましょう」


ヘレンは磨いていた髪飾りを鏡台に置くと、割れたお皿を元に戻した時と同じように右手を口に当て、呪文を呟いた。


「ひぃっ!?」


栖衣は何か見えないものに持ち上げられたように宙に浮かんだ。


「あわわわわ!?」

「大丈夫です。決して落としませんから」


そのまま栖衣は宙を浮きながら部屋の奥にあったバスルームへと連れて行かれた。


(最初部屋になかったテーブルや椅子もこうやって持ってきたんだ!)


食事の時に何故気が付かなかったんだろう。栖衣は呆然としてしまった。


「栖衣様ぁ~」


地面に下ろされた栖衣はどうするべきなんだろうと脱衣所で突っ立っていた。するとそこに後ろから声が掛かった。


「ビアンカ、ちゃん?」

「はうゎ・・・いい匂い」


ビアンカは耳をぴくぴくさせながらふらふらと栖衣に近づいていく。


「だ、大丈夫?」

「平気ですぅ」


しゃがんだ栖衣の胸元にダイブしたビアンカははっと自分の使命を思い出したように立ち上がった。


「それでは今からお風呂に入りましょうぅ、」


ビアンカの後ろからへレンが脱衣所に入ってきた。


「ドレスとアクセサリーはアリスとナタリーに任せてきましたから、それでは栖衣様準備いたしましょうか」

「え?えぇと・・・は、はい」


そうやって栖衣はお風呂の中へと連れて行かれた。






「ういしょ、ういしょ」

「つるつるですぅ・・・」

「はわわっ」

「いい匂い・・・」


お風呂でごしごしと洗われた後、栖衣はヘレンには髪に何かをすり込まれ、他の三匹には肌に良い匂いの何かを塗られていた。


「(あわわ・・・に、くきゅうが・・・ぷにぷにして気持ち、いいっ)」


「アリス、ナタリー、ドレスとアクセサリーは用意できましたか?」

「「はいっ」」


二匹は手を洗うと部屋へと走っていった。


「こちらです」

「こ、こちらです」


ナタリーは魔法で黒のドレスを浮かせて、アリスはとたとたと両手にアクセサリーケースを抱えて走ってきた。


「こ、これを着るんですか・・・」


栖衣は口元をひくつかせた。

無理もない・・・胸元は大胆に開いて、背中は丸見え・・・裾は相変わらず長いが、この形の服じゃブラは着れない。


(・・・これはダイナマイトボディーのお姉様が着る服では・・・)


栖衣がそう思うのもおかしくなかった。


「えっと、私もうちょっと布が多い服がいいな・・・なんて」


じっとこちらを見つめるヘレンの目が少し怖い気がするが栖衣はいつでも撤回ができるように弱気な姿勢で軽く講義してみた。

きらきらと栖衣を見つめるナタリーには悪いが流石にこれを自信満々に着こなせるようなスタイルじゃないのは自分で理解していたからだ。


「そうですか・・・」


しょぼんとした顔を見せたナタリーだったがすぐに次のドレスを出してきた。


「ではこれはどうですか!」


そう言って差し出された同じ黒色のドレスは先ほどより布が多くて栖衣はほっとした。


「こ、これなら・・・えっと、じゃあ着替えるね」


そう言って栖衣はドレスを受け取った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ