10匹目
先ほどまでネコ二匹と人間一人、という組み合わせで歩いていたが、
今は隣に参謀のハロルド、後ろをアランとクルトがついてくる。という組み合わせで歩いていた
日が完全に沈んでしまって、回廊には火が灯される
「姫は花嫁の儀式については聞きましたか?」
「ぎ、しき?」
それどころか話の途中で気絶しちゃったんですけど・・・
「・・・どういう内容なんですか?後、候補者って?」
「おや、てっきりもうクルト殿から聞いているものだと、」
そう言ってハロルドはクルトの方を振り返った
「あ・・・私が途中で聞くのをやめたから、です・・・」
なんかこの人、印象悪いなぁ・・・
栖衣がじぃっと据わった目で見つめていることに気が付いたのかハロルドはセキを一回して話しはじめた
「候補者というのは花嫁様の旦那役になる人物です、現在私や後ろの二名を含めて六名、姫様のお気に召す男がいたら増やしてもいいんですよ?」
「は?」
突然の言い草につい声が出た
「あの、」
「なんですか?」
「即物的ですけど・・・私って子供を産む為に呼ばれたんですよね?」
「はい、身も蓋も無いような言い方をすればそうですね」
「それじゃあ、旦那は一人に絞った方が良いんじゃ?」
「人間の感覚ですとそうですが、私たちのように長命の種族は夫婦という概念自体があんまりないですから」
「はぁ・・・でも、私・・・前の人みたいに子供をどんどんなんて産めないと思いますよ?」
ハロルドはそこでふふっと笑った
「前の姫様もそう言ったそうです、ですが私たちは人間の方とは子供の出来方が違いますから」
「?」
「その気になればバンバン出来ますよ?」
顔に似合わず下ネタを振ってくるわね、この人・・・
「まぁ出産方法は他の方にお聞きください」
「はぁ」
何でそこは言わないのだろうか、
「着きましたよ」
ハロルドの言葉に、丁度今までで一番大きな扉の前で立たされた
「ここです」
「(・・・・・・はぁ?)」
後ろからアランとクルトが来て、ドアにノックした
「ハロルド・グランデル参謀長、アラン・バーゴイン近衛騎士団長、クルト・グスタフ・フォン・ファルゼン魔術師長、以上三名が『異界の姫』様を連れて、ただいま到着しました」
その声に扉が左右に開いた
ゴゴゴゴゴゴ・・・・・―――
「やぁ、よくきたね」
扉の左右に並ぶメイド姿の美女美女美女・・・!!
その中心になっている場所には椅子に座った少年がいた、両隣には左右に一人ずつ人が立っている
・・・さっきから気付きかけてたけど・・・この国、美形率高いわ・・・
「で、そっちの女性が『異世界の姫』?」
少年の言葉にいくつもの目線がこちらを向いた
・・・へにゃーん
そしてメイドたちが崩れ落ちていく
「・・・ってえぇっ!?」
真っ赤な顔で床に這い蹲るメイドたちを見て栖衣は悲鳴を上げた
「え?え?・・・何?どうしたんですか!?」
「・・・すごい魔力だね」
少年の言葉に後ろの二人も頷いた