表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/17

 空は青く澄んでいて、風は穏やかに吹く。

 鳥は自由に空を飛び、海の音は心を休めてくれる。

 見渡せば平和が広がっていた。


「ここはいいな……」


 その風景を見ていると口からこぼれる言葉……。

 俺の声は穏やかに吹く風にさらわれていくような感じがした。


「そうね、けどここに慣れすぎるのもよくないわよ。現実がどちらかわからなくなるもの」


 隣に立つ少女の名前は風上かざかみ紗奈さな。白銀の長い髪と白いワンピースは風にゆられ、どこか寂し気な赤い瞳は地平線よりも先を見ているようだった。


「命令が来たわ。優介、行ってきなさい」


 紗奈は視線をこちらに向け、元気のない声で言った。

 平和を感じられるひと時が終わるのは、いつも突然だ。


「紗奈、この戦いはいつ……いや、何でもない」


 考えても何も変わらない。

 そしてこの島、ユリュシオンは平和な島だ。

 そんな島まで戦いの色に染めることはしてはならない。


「この戦いが終わっても、本物の平和は訪れないでしょうね。人は愚かだもの……」


 隣で目をつむりながら、メモ帳にとてつもない速さで何かを書く紗奈。その小さな体には日本の未来がかかっているのだ。


「ヘリはもう準備できているのか?」


 視界に広がる自然豊かで心地よい青空を見ながら聞く。


「ええ、もう準備できているわ。その他の情報は追って連絡するわね」


 紗奈は目を開き、風になびく白いワンピースを押さえながらメモ帳の一ページを差し出してくる。


「ああ、頼む」


 紗奈が渡してきたメモ帳の一ページをポケットにしまい、俺はヘリポートへ向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ