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始まりの光
太陽よりも輝く光が平凡な日々を暮らす人々や街を包みこんだ日、世界の軸は曲がってしまった。
空に飛んでいた警備用ドローンや、民間のヘリコプターは次々と地面に突っ込み、車は動くことを忘れ、町から明かりは消えた。
その非現実的光景はだれの目にも焼き付いただろう。
それを拡散しようとスマホを取り出した若者たちは驚く。スマホの電源すらつかないのだ。
夢でも見ているかのような感覚。それを共有できない不安。
近所から聞こえてくる噂話。
何もわからない。
だが、昨日のような日々はもう来ないかもしれないということだけは感じていた。