70.G調査に向かう
竜の顎から戻ってすぐはメアに休息が必要だとのフレアの助言を聞き入れて1日休みを取った。
メアとフレアは休みを利用して街で買い物やら食事やらをしたらしいが我には理解できんことじゃ。
ただメアが我にお土産としてクレープとやらを買って来たのはさすが我の巫女である。
フレアはこう言った気遣いができないから信者にすらなれんのじゃとつくづく思う。
我が何をしておったかと言うと竜の顎へと言って我自身と眷属のレベルアップをはかっておった。
おかげでレベルは上がった。
また新たな発見として眷属が得た経験値の一部が我に流れてきていることも分かった。
なぜかと言うと食事中に急にレベルアップしたからのぉ。
そので微々たるものであるかもしれんが基本眷属には四六時中戦ってもらおうと思ったのじゃが眷属共が初めて我に反抗したのは驚いた。
ブラック企業やパワハラとか言われてちょっとショックじゃったが交渉の末3交代制での活動で決着がついた。
それでも横暴だなどと言われたが我もこれ以上譲歩する気はない。
我がのんびりしている間にも勇者どもも強くなっておるだろうしな。
そうした休日が終わった翌日我らはギルドに来ていた。
「この依頼を受けましょう。」
フレアが一つの依頼書を持ってメアと我に見せてきた。
ふむ、ゴブリンの巣の調査かぁ。
依頼料の相場は分からんが金が無いのか?
竜の顎でかなりの数の魔物の素材を手に入れたはずなんじゃがな。
我としては早く次の竜の試練を受けたいのじゃが。
「この依頼はりゅうじんさまのために受けるんですよ。」
我の不満を察したのかフレアがそんなことを言う。
(我のためじゃと?今更ゴブリンを倒しても良いことはないじゃろ?)
我の言葉に勝ち誇った笑みを浮かべるのを見てカチンと来た。
「私のユニークスキルをお忘れですか?」
フレアのユニークスキル?
(そんなもの持っておったか?全くユニークスキルを使っておるのを見た覚えがないんじゃが?)
「予知スキルを持っていますよ!」
フレアは我が覚えていないのが気に入らなかったのか大声でスキル名を叫ぶ。
(フレアよ。そんな大声でユニークスキルを叫んで良いのか?)
「誰のせいですか!誰の!」
「フレアお姉ちゃん、落ち着いてりゅうじんさまも悪気があるわけじゃないから。」
粉砕の二つ名を持つメアが大声を出したので全く関係ないのにギルド内の人々特に男性陣がビクっと身体を硬直させた。
そんな中フレアの大声に驚きながらもメアが宥める。
(そうじゃぞ。周りの者たちが大声で驚いてイヤそれ以上に恐怖しておるぞ。)
「ふぅ~。」
気持を落ち着かせるためにフレアは大きく息を吐く。
「それでフレアお姉ちゃんのスキルでその依頼を受けるのがりゅうじんさまのためになるって分かったの?」
二人で会話をさせたらまた諍いになると思ったのかメアがフレアに疑問を投げかける。
「ええ、理由は分からないけどこの依頼を受ける過程でりゅうじんさまの信者が増える予知を見たのよ。」
「やったね!信者が増えるんだってりゅうじんさま!」
フレアを褒めさせるためか大げさにメアが声を上げる。
(うむ、それが本当なら我の目標である勇者と魔王を倒すことに一歩近づくな。)
「本当に決まってるでしょ!この力でりゅうじんさまに出会ったんですから。」
そう言えばそんなことがあったかな?
(ならばその依頼を受けるか。行くぞ!メア!フレア!)
「はい!」
「は~い」
しかし、ピンクの虫かごの中におるとカッコつけても全く締まらん。




