61.G穴を開ける
ありゃ?
さっきまで空を飛んでおったはずじゃがなんで地面にひっくり返っておるんじゃ?
それにさっきから体中が痛いし熱いのじゃ。
気のせいか体中から血が出ておる気がする。
再生スキルで傷を修復しておるのじゃが次から次へと血が出てきておるようじゃな。
そう言えばさっきの攻撃で新しいスキルを獲得したが身体に多大な負荷がかかると言う情報が流れておったのぉ。
コレがそれかぁ。
確か迷宮で手に入れたポーションがあったはずじゃ。
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・高級ポーション
切れた手足も繋げることができるGには勿体無いポーション。
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物凄く悪意のある鑑定結果じゃ。
使う予定はなかったが持って置いてよかったわい。
さてビックマジックスパイダーはどうなったかの。
我が振り返った先には何もなかった。
木も草も地面さえもじゃ。
(おお~、おそらく我がやったのじゃと思うが・・・。気絶して全身血だらけになっただけのことはあるのじゃ。)
「りゅうしんさま~、りゅうしんさま~、どこです!だいじょうぶですか!」
う?
どうやらメアがこっちにやって来たようじゃ。
ビックマジックスパイダーの討伐が終わったら戻ると言ったんじゃがなぁ。
もしかして我が落ちるところを見られたか?
い、いやかなり離れておったはずじゃから見えてないはずじゃ。
「メア、気配はあるので大丈夫ですよ。ってなんですかあの穴は!」
「わぁ!大きくて深い穴だよ。フレアお姉ちゃん、りゅうじんさま、真っ暗で底が見えないよ!」
メアは森に空いた大穴を見て感嘆の声を上げる。
いくら我がスーパー強いりゅうじんさまでも少しくらい心配してくれてもいいじゃよメア?
我に気が付かない二人に痺れを切らして自ら姿を現す。
「あ、りゅうじんさま。無事だったんですね。よかったぁ~。」
メアは決して我を心配してないわけじゃなかった!
はっ!
泣いてなんかなぞ!
ホントだぞ!
「もしかしてこの穴ってりゅうじんさまが空けたんですか?」
(ふっふ~ん、そうじゃぞ。すごいじゃろ!)
もし人型であったなら胸を自慢げな声で言っていたであろう。
「いや、やりすぎでしょ!物凄く遠回りすることになったじゃないですか!」
迷宮の次の階層は反対側にあるために反対側がやっと薄っすらと見えるほど大穴を迂回して進まないといけないため1日以上は余計な日数がかかりそうだ。
(そ、それは。)
困ったぞ。
まさか次の階層の位置がそんな場所にあるとは考えてもいなかったのじゃ。
このままではビックマジックスパイダーを一撃で葬ったすごいりゅうじんさまでなく大穴を開けて無駄な労力を増やしたバカになってしまう。
(あ、あれじゃ!飛んで行けば良いんじゃよ!)
「そりゃ、りゅうじんさまは飛べるから良いでしょうけど私とメアは飛べませんよ。」
(BDGに手伝わせるから大丈夫じゃ。)
問題があるとすればどう見ても魔物の虫に運ばれる獲物に見えること。
もし魔物が襲い掛かってきたら我が二人を守らんとな。
いや、下級眷属召喚でできるだけ多くの眷属を召還しよう。
もし途中で墜落なんてしたらあの大穴じゃ助かる可能性は低い。
二人の下にも複数の眷属を配置してもしものときは対応させよう。
「仕方ないですね。りゅうじんさまに身を任せるのは不安しかないですが・・・。」
ムムム、失礼な奴じゃ。
大切な巫女がおるんじゃ。
心配せんでも万全の態勢でエスコートするわ。




