54.殲滅者G
翌日、野営の準備を整えて再び竜の顎にやって来た。
野営の準備と言っても我がアイテムボックスをもっておるので荷物らしい荷物はないがのぉ。
ただもしも離れ離れになったときの要人に水と食料はメアとフレアも自分で持っておる。
クロウラーを相手にしても経験値の効率も悪い上にメアの経験にもならんので無視して昨日進んだところまでやって来た。
(適当にビックスパイダーを倒して進むぞ。一匹ずつ残すからメアが倒すんじゃぞ!)
メア両手を握りしめて大きく頷いた。
「メアちゃん、肩の力を抜いて。心配しなくても危なくなったら私が対処するわ。」
何となくフレアに任せるのは不安なので下級眷属召喚でさらにBDGを呼び出しメアの護衛に着ける。
それを見たフレアが我に批難の視線を向けてきたが知らん。
我を不安にさせるお前が悪いんじゃ。
木々に張り巡らされた蜘蛛の巣が鬱陶しいので森に燃え広がらない程度に火魔法で燃やしていく。
蜘蛛の巣が燃やされているのに気が付いたのかビックスパイダーが昨日と同じようにワラワラと集まってきた。
昨日と同じように闇の嵐で対処していく。
インセクトキラーの効果なのか昨日よりもアッサリビックスパイダーが木々から落ちてきている気がする。
20匹中1匹をメア用に残す。
魔力操作と人形使いのレベルが上がったメアはベア手足のように操ってビックスパイダーを倒していく。
自分が直接戦うわけでないからかDBGの護衛を信じているのか思いっきりのよい動きをベアにさせているのが良い作用を起こしている。
ベアの鉄の爪がビックスパイダーを葬っていく。
うむ、メアも着実に強くなっておるのぉ。
我も負けておれん!
うりゃりゃりゃりゃ!
闇の嵐に加え炎の群狼を発動!
今の我で有ればこれだけの魔法を同時に使っても魔力掌握の効果でMPの使用と回復が均衡して全くMPが減少しないのじゃ。
ついでに炎の大黒鳥も発動じゃ!
ふっはっはっは!
ビックパイダーはなすすべなく死んでゆく。
ついでにクロウラーも死んでゆく。
はっはっはっは~!
わが軍は圧倒的ではないか!
炎の大黒鳥のお蔭で昨日よりも広範囲の魔物をせん滅してゆく。
は~っはっはっはっは!
はぁはぁはぁ。
なぜか息苦しくなってきたぞ。
頭痛に眩暈もしてきたぞ。
我は状態異常耐性を持ち再生も持っておるのにおかしいぞ。
我が感知していない特殊な攻撃を受けておるのか!
は!
メアは大丈夫・・・じゃな。
フレアはまぁ殺しても死なんじゃろ。
となると我だけが狙わておるのじゃな。
なるほどこのパーティーで最も強い我をピンポイントで狙ってくるとはなかなかの強者が潜んでおるのじゃな。
************
ピコーン
称号≪殲滅者≫を獲得しました。
・殲滅者
半径一キロないにいる1000匹以上の魔物をすべて倒す。
一対多の戦闘でステータスに補正を受ける。
************
ほへ?
強者はどこに行ったのじゃ?
いまだに特殊攻撃を受け続けておるということはまだ倒せていないということじゃ。
一キロ以上離れたところから攻撃してきておるのか?
「りゅうじんさま。大丈夫?」
(うむ、おかしなことに状態異常耐性を持っておるのに眩暈や頭痛、吐き気がするのじゃ。どこかから特殊な攻撃をされておる。メアも気を付けるのじゃ。)
「ああ、りゅうじんさまそれは特殊な攻撃ではなく魔力欠乏症ですね。あれだけの魔法を使ってもその程度すんでいるんですからすごいですね。」
・・・・・・。
(も、もちろん、分かっておったぞ。ちょっとメアをテストしただけじゃ。)
分からなかったことにショックを受けたのかメアがショボーンとなってしまった。
我が自尊心のためだけに誤魔化したせいなのでちょっとすまなく思う。
今日はここで野営を行うことになった。
我が魔力欠乏症になったせいなので非常に肩身が狭いのじゃ。
フレアはどうでも良いが我が巫女であるメアには悪いことをしたと思うのじゃ。
今晩はメアの希望通り付きっ切りで魔法の練習を知ることで何とか元気を取り戻してもらおう。
素直に謝ればいいのじゃが我一応メアの神であるからしてな。
決してカッコつかないからではないぞ。




