42.Gメアのご機嫌を伺う
森の木の向こうに見えたブレスの外壁は人が米粒ほどの大きさに見える距離であってもハッキリと視認できるほど高いのじゃ。
あ、あんなのは唯の逃げ込むための巣穴じゃ!
・・・・・・・強がってもいかんのぉ。
あの壁を吹っ飛ばせるくらいの魔法は身につけるんじゃ。
勇者や魔王の力だけではなくあのような防壁を作り上げる人間どもも侮れんぞ。
「りゅうじんさま、りゅうじんさま。見てよとってもおっきな壁だよ。」
(そんなペチペチ叩かんでも分かっておるんじゃ。)
「ブ~。」
そ、そんな顔をしても我は悪くないぞ。
「ブ~。」
(す、すまんかった。許してくれメア。)
「ブ~。」
何か、何かないか!
そ、そうじゃ。確か迷宮内で手に入れたアイテムに・・・。
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・クマの人形ゴーレム
魔力を使用して自在に操ることができる人形
使用し続けることで成長するかも・・・。
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アイテムボックスからクマの人形を取り出し魔力を注ぐ。
ふっふっふ、我の背中で独りでに立ち上がったクマの人形を見てメアが目を見開いておるぞ。
ここでクマの人形にお辞儀をさせるのじゃ。
「わ~、すごい~、可愛い~。」
ついでに踊りを踊らせてやるのじゃ。
「キャー、クマちゃんすごい!」
最後にバク中してメアの膝の上に着地させたのじゃ。
(メアには我の巫女になった記念にこれを与えるのじゃ)
「ホント!うれしい~、りゅうじんさまありだとう。」
(後で操作のやり方を押してやるのじゃ。)
「私にもクマちゃん操れるの!やった!」
ふっふっふ、我の思惑通りになっておるとも知らずにいい気なのもじゃ。
「りゅうじんさま。メアちゃんを甘やかすのはダメですよ~。」
なんじゃ、その冷ややかな目は!
(なにを言っておる。我の巫女で唯一の信者なのじゃ。機嫌を損ねて着いて来ないと言われたら困るのじゃ。)
「あ~、はいはいそうですね~。でも必要以上に甘やかしても良いことはないですよ。それで私には何か無いんですかねぇ?」
ふん、我のことをメアの心配するフリをしながらも実は本当の狙いはそっちじゃな。
(なぜに巫女でも信者でもないフレアに我が何かを与えるわけ無いのじゃ)
「ムッキー、りゅうじんさまはもっと私のことを大事にすべきですよ!私がいないと情報収集が出来ないんですからね。」
いまのところ有用な情報を手に入れたことはないのぉ。
(ブレスの街の場所も分からず、龍神の顎などのダンジョンの情報も伝えず。全く情報に関しても我に貢献しておらんの。)
「そ、そんなことないですよ。ブレスの街が何処にあるのか行商人さんに聞いたのは私なんですからね。」
それは我の翻訳機代わりの役割でしかないぞ?
(それはメアでも出来るな。早くフレアにしかできない活躍を見せてほしいのぉ。龍神の巫女殿。)
「ううう。やっぱり、りゅじんさま酷い従魔です。」
(それを言ったらフレアは役立たずの主じゃなぞ。)
「りゅうじんさま、もう少しフレアお姉ちゃんに優しくしたほうが良いの。困ったとき助けてもらえなくなるよ。」
「そ、そうですよ。りゅうじんさま。メアちゃんもっと言ってやってください。」
フレアめ、メアが擁護していることを良いことに急に調子付きおったぞ。
(・・・・・うむ、善処するぞ。)
「何ですか。その間は絶対優しくするつもりないでしょ!」
(さ~てどうかのぉ。)
「ムッキー、泣いて助けてくださいって言っても助けてあげないんですから!」
(そんな日がいつか来ると良いのぉ。)
「はぁ、仕方が無いお姉ちゃんたちなの。」
メアにまで呆れられて可愛そうなフレアじゃ。
さていつもでもフレアで遊んでいてもいかんぞ。
もうすぐ外壁の門に着くが我はちゃんと入れるのかのぉ。
なにしろ主が残念フレアじゃからな。
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