41.G龍神の顎を知る
行商人の男にメアのことを頼まれたあと偶にゴブリンやウルフが出てきたがダークカッター改めダークブレードで一刀両断してくれたわ。
「りゅうじんさま、すご~い!」
我が巫女メアが満面の笑みで我の雄姿に称賛を送っておるのじゃ。
「すごいですねぇー。」
表情一つ変えずに口先だけで言葉を発するフレアとはやはり違う。
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ピコーン
素直になれないそんなあなたに
称号≪ツンデレもどき≫をプレゼント。
・ツンデレもどき
全くツンデレになっておらず。
常に言葉の節々に褒め言葉をちりばめているイタイ人。
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久しぶりの称号獲得だが非常に悪意を感じるのじゃ。
今まで一度も称号の説明なんか出たことないのじゃぞ・・・。
今回は機嫌が良いから見逃してやるのじゃ。
寛大な我に感謝するんじゃな。
「りゅうじんさまって言えば嬢ちゃん達は龍神の顎に挑戦するのかい?」
「いえ、その予定はありませんよ。」
「そうなのか嬢ちゃんの従魔くらい強かったらかなり深い階層までいけるんじゃないか?うちの護衛なんかと比べられないくらい強いからな。こいつも嬢ちゃんの従魔の10分の1でも強ければ旅が楽なんだがなぁ。」
「あぁ、お前また俺に喧嘩売ってんのかぁ。いつでも相手になんぞ!」
また喧嘩を始めおった。
この二人はこれが正常運転らしいのじゃ。
すでに5回以上同じようなやり取りを繰り返しておる。
初めはフレアも二人の仲裁に入っておったが三回目の喧嘩で諦めてただ眺めるだけになったのじゃ。
(フレア、龍神の顎とはなんじゃ。)
「龍神様の力が与えられると言われているダンジョンですよ。」
(龍神の力じゃと!是が非でも我力にして勇者と魔王を倒す力とするのじゃ。街に着いたらすぐに行くぞ!)
「行きませんよ。今の私達ではよくて中層どまりですよ。もっとアイテムと装備を整えないと無理ですよ。」
その我が何も分かってないみたいに呆れ顔はなんなんじゃ。
確かにすぐにダンジョンに行くのは無理じゃな。
我はどんな状況であろうとすぐに適応してみせるがフレアとメアはそうはいかんのじゃ。
フレアは良いとしてもメアは唯一の巫女にして信者失う訳にはいかんぞ。
我一人で龍神の顎に挑むと言う手段もあるがそれではいかんのじゃ。
勇者や魔王と戦うときに邪魔されないようにするためにフレアにもある程度強くなってもらわんとダメじゃ。
となるとやはり準備期間が必要かのぉ。
(む、そうかでは資金集めとレベルアップしてから挑むぞ。して龍神の力が得られるダンジョンのことを勇者と魔王と戦う我に黙っておったのは何故じゃ?ん?)
すでにデェフォルドになるほど見てきたがフレアが見事な滝を額から出しておるのじゃ。
これは忘れておったのか?
残念フレアなら十分有りえるぞ。
「それは~、忘れてた訳じゃなくて~、え~、りゅうじんさまに言いたくなかった訳でもなくて~、あれですよ、そう、りゅうじんさまがこの話を聞いたら準備も何もせずにダンジョンに挑むと思ったからです。そうです。現に今もメアちゃんが居なかったら私の話を聞かずにダンジョンに行っていたでしょ!」
(可愛そうじゃからそういうことにしておいてやろう。)
「りゅうじんさま、全く信じてない。本当なんですよ。」
(分かった、分かった。それで他に我に言っておくべきことがあるんじゃないのかのぉ?)
眉間にシワを寄せながら首を傾げておるがおまえがするとイラっとするのはなぜじゃ?
「う~ん、特に無いと思いますよ。」
(ホントかのぉ?)
「・・・・ホントですよぉ。」
返事に間があった気がするがのぉ。
(そうか、龍神の顎なんてダンジョンがあるんじゃ、龍神の翼や龍神の爪なんてダンジョンがあるんじゃと思ったんじゃがなぁ。)
「・・・・・・。」
(んん?ジー。)
「ジー。」
よしメアもっと見つめてやるんじゃ。
「・・・・、分かった、分かりましたよ。ありますよあります。でもどっちにしろ装備や準備を整えて龍神の顎を攻略してからお話しますよ。」
(ふむ、まぁそれで良いじゃろ。)
「よいじゃろ。」
そんな風に話しておると遂にブレスの街の外壁が姿を表した。
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