31.G変な女につかまる
ふう、思ったとおり弱かったが不利と思うとすぐに逃げ出したのはちょっと焦ったぞ。
魔物は不利になっても逃げなかったからのぉ。
「りゅうじんさま!」
な、なんじゃ!
誰もおらんはずなのに声がするぞ!
我の≪超脳力≫は何も感知しておらんぞ!
ど、どういうことじゃ!
これはあれじゃ!
空耳じゃな!
フ~、我を驚かすとは空耳とは恐ろしいのぉ~。
「りゅうじんさま!りゅうじんさま!私はここです!」
ぬお!
また空耳か!
まさか誰か居るのか!
しかも私と言われても我には心あたりの知り合いはおらんし、我は『りゅうじんさま』とやらではないぞ。
とにかくどこに居るのか分からんことには始まらんぞ。
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ピコーン
仕方ないので≪適応≫の効果で≪気配感知≫を獲得しました。
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なんか久しぶりにアナウンスを聞いたな。
しかも今までにない方法でコケにされている気がするぞ・・・・。
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ピコーン
称号≪小者臭を纏うもの≫獲得しませんでした。
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うぬぬぬ。
まぁ良いわ、早速獲得した≪気配察知≫で姿の見えないヤツの姿を捉えてやるぞ!
む、どうやらあの茶色く汚れた袋のなかに誰かおるようじゃぞ。
(お前は何でそんな袋の中に入っていのじゃ?)
「ああ、りゅうじんさま。やっとお会いできました。」
何か背中をゾワゾワした感覚がするぞ。
(な、何を言っておるんじゃ、我は『りゅうじんさま』とやらではないぞ?)
「いえいえ、そんなはずはありません。この気配はりゅうじんさまに間違いありません。」
気配で特定できるものなのかのぉ。
(我はお主に会ったこともないし、そもそも我は龍ですらないぞ。)
そうじゃ、我は竜でも龍でもないのじゃ。
『りゅうじんさま』とやらなわけがない。
「いえ、あなた様はりゅうじんさまで間違いありません。たとえ龍の姿をしていないとしても関係ありません。龍神の巫女たる私には分かります。」
姿は関係ないのか?
そこはすごく重要な点のはずじゃが?
あ、だから『りゅうじんさま』なんじゃな。
(しかし、我は最近この世界に来たばっかりじゃし、お主に会ったことすらないはずじゃぞ?)
「はい、私も今日初めてりゅうじんさまにお会いしました。」
それで我がそのりゅうじんさまとやらが我であると確信するのはおかしいぞ。
(我はりゅうじんさまでは無い。お前の勘違いじゃな。我はもう行くぞ。)
こんな面倒なやつの相手は時間の無駄じゃ。
我には勇者と魔王を倒すという崇高な目的があるんじゃからな。
「待ってください。りゅうじんさま。お困りのことはありませんか?これでも私は役に立ちますよ。」
(特に困ってはおらんな。)
「りゅうじんさまが何を成されようとしているのか分かりませんが情報収集とか必要ですよね?私なら街や村で情報取集ができますよ!」
う、思わず足を止めてしまった。
確かにここがどこかも分からんし、勇者や魔王の居場所も分からん。
それにここらいったいの魔物を倒したが強い魔物がおらんかったので強い魔物がおる場所も知りたい。
(そ、そこまで言うなら情報収集を任せるのもやぶさかではない。)
「ふっふ~ん、ですよね。りゅうじんさま。」
なんで得意げな雰囲気をだしておるんじゃコヤツは?
(う~む、しかしあんな弱い奴らに捕まるようなのは足手まといじゃな。他を当たることにするぞ。)
「待ってください。私はそれなりに腕は立ちます!今回捕まったのはりゅうじんさまに会うためなんです!」
さっぱり意味が分からん。
(何度も言うが我は『りゅうじんさま』無い。それに我に会うために捕まったって意味が分からん。ここに我が来たのは偶々じゃ。)
「りゅうじんさまはりゅうじんさまなのです。」
面倒じゃ。
このままじゃと話が進まんぞ。
「分かった。もう好きに呼べ。」
「ありがとうございます。りゅうじんさま。」
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ピコーン
名づけが行われました。
りゅうじんさまとフレアとの間に契約がなされました。
りゅうじんさまはフレアの従魔になりました。
ステータスが更新されました。
称号《りゅうじんさま(笑)》を取得しました。
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なぬ?
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